45 / 185
chapter3
出会の小悪魔
教室で本を片手にペラペラとめくるが
集中できるはずもなかった。
その原因は、きっと今朝の情報のせいだ。
それと、もう一つ。
「ねぇ、昨日のスクリーンに映ってた人って誰なの?」
「あ、あの白い髪のっ?!」
「会長様に近づくなんて許せないんだけど。」
「でも、何処かで見たことある感じだったよね!」
「あんな目立つ人、うちの学校にいるかな?」
「少しだけど、副風紀委員長の白様に似ていらっしゃるような……。」
この話題でどこもかしこも盛り上がっている。
どうやら、うちのクラスは会長の親衛隊が多いらしく
その話題で持ちきりだ。
「集中できないな。」
開いていた本をパタリと閉じる。
じっと本を見ながら今朝のことを思い出す。
よほど気に入ったのか
結局、会計はいちご牛乳を三本ほど持ち帰った。
そして、思い出したかの様に会計は帰り際に告げた。
「昨日の勝負、正式なものじゃあ無かったけど。君のお願い叶えてあげようかな~、いちごなんたらのお礼にねぇ~。」
「お願い?」
「まだ、知らなかったんだ~。正式な勝負に勝てば
何でも望むものが手にできる。まぁ、それには色々と規則があるんだけどねぇ~。根グラくん、君のお願いはなぁに?」
「……無駄な干渉はやめてください。」
「成に近づかないでくれってことぉ?」
金色の瞳が冷たく細められた。
「あなたのいう弱者への干渉です。」
「ふぅん。別にいいけどさぁ、根グラくん。君は、それに入ってないけどいいのかなぁ?」
俺の様子を伺うような
視線を受けながら
クスリと口元を緩ませて会計は告げる。
「だって、君は。俺と同じ。こっち側の人間だからね。それに、昨日は負けたしねぇ。白組」
「それは……。」
「根グラくんのせいじゃあないけどねぇ、うちの広報がやらかしてくれたからねぇ。【特別ルール その3 ゲーム不参加者がいた場合は、そのチームの負けとする】って決まりがあるからねぇ。俺にしては、譲歩してあげた方だと思うけどぉ?」
会計は、いちご牛乳のパックにストローを差し込んで
一口、口に含んだ後、俺と目線を合わせるようにして屈みながら口を開いた。
「残り時間少ない中で、倉庫からマット用意しろっていったり、根グラくんが注意をひくからその間に人を潜り込ませろっていったり、挙句のはてに俺たちに逃げ回れとかいったりする人間、何時もならどうでもいいんだけどさぁ。
君の正体がバレたら俺にまで火の粉がふりかかるのやだからなぁ。だからさぁ________。」
そこで会話を切ると会計はずいっと顔を寄せて
微笑む。
「_____絶対に見つからないでくれるかなぁ?
今日の昼休み。親衛隊が探しにくるよ。
会長って親衛隊に頼み事とかしないわけ、だから要するに血眼になりながら必死なわけね。この意味分からなくないでしょ?」
そう言い切ると、会計は玄関の取っ手を引いて
出ていくと思ったら、何かを思い出したのか
あ、と声を漏らすと振り返って
「あぁ、そうだ。〝弱者がただ散っていくだけじゃない〟ってところ_____俺に見せてくれるんでしょお?だったら、もっと見せて楽しませてよ。根グラくん?」
俺を試すように告げた。
「ほんと……めんどくさい。」
「……ぇ?………てるの?おーい!」
「……ぇ?」
「聞いてるのー?」
「………何のよう、_____だれ、ですか?」
目の前に現れた見知らぬ人物
少し色素の薄い黒の髪色に
ピンクのピン留をつけた人物が目の前に座っていた。
「えー?知らないの。僕、結構有名人なんだけどなぁ~。」
頰を膨らませながら
上目遣いで見上げてくる初対面の人物は
相当な有名人らしい
クラスがざわめいているのを肌に感じた。
「はじめまして。美音、矢井島美音だよ。佐藤蒼くん?」
「何の用事でしょうか?」
「用がなかったら来ちゃダメだったかな。ゴメンね。」
あからさまに落ち込んで見せる
その矢井島という人物に微妙な罪悪感が生じる。
「その矢井島。」
「美音って呼んでくれていいんだよ?」
ウルウルと瞳を潤ませて両手をぎゅっと不安げに握りしめる矢井島への対応に困っていた時
周りから刺さる視線を感じた。
「それに、僕___」
さっきまでの小動物を思わせる表情から例えるなら悪魔のように口元が弧を描き、歪められる。
そして、矢井島は口元を俺の耳に寄せ片手を添えながら囁いた。
「君のヒミツ知ってるんだけどなぁ」
今までの柔らかい繊細な声とは違ったような
ドスの効いた声が飛んできて
言葉が出なかった。
「昨日の白い髪の人って、君だよね?」
「______っちがうけど。」
「僕、偶然見ちゃったから言い訳してもダメだよ?
バッチリ写真までおさえてるしね。ここで、君のこと悪者にして。バラすことだって簡単なんだけどなー?」
「……何が望みですか」
「ただ、君に興味あるんだよねー。今日の用事はこれで終わりー。じゃあ、またね。蒼くん?」
バイバイと手を振って教室を勢いよく出ていった矢井島は何の用事で来たのかという疑問とクラス中から刺さる
視線を残して去っていった。
あなたにおすすめの小説
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
平穏な日常の崩壊。
猫宮乾
BL
中学三年生の冬。母の再婚と義父の勧めにより、私立澪標学園を受験する事になった俺。この頃は、そこが俗に言う『王道学園』だとは知らなかった。そんな俺が、鬼の風紀委員長と呼ばれるようになるまでと、その後の軌跡。※王道学園が舞台の、非王道作品です。俺様(風)生徒会長×(本人平凡だと思ってるけど非凡)風紀委員長。▼他サイトで完結済み、転載です。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)