花は何時でも憂鬱で

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chapter4

協力者か邪魔者か





「何や。さっきから、騒がしいなぁ?そう思わへんか、新入生くん。」

あの後、寮まで歩いて帰る体力がなかった為、ベンチで休んでいたら唐突に頭上からかけられた言葉に顔をあげた。


そして、返事をするでもなく、相槌をうつでもなく、ただ、その人が何を考えているのか、詮索するようにジッと眼鏡の奥に隠れた瞳を見つめ続ける。


「そんな、硬い顔しなくてもええで。リラックスしいゃ。別に、取って喰ってまおうなんて考えてへんよ。ただ、消灯時間にここで何を探してたんやろうな、と思っただけやで?それに、」


座っていたベンチから立ち上がり
その先輩はブレザーのポケットから何か
薄い紙のようなものを取り出して
興味深そうにそれを見つめる。


「なぁ?新入生くん。オモロイもの拾ったんやけど、見るか?」

「いえ、大丈夫です。」

「相変わらずつれないヤツやなぁ。こっちが折角誘っとるんやからのってくれんとおもろないやろ。」

その先輩はスッとベンチから立ち上がり
新歓の前夜と同様
俺のネクタイを掴んで引き寄せるとエメラルド色の瞳を細めて、囁いた。


「会長との遊びは楽しかったか?新入生くん。いや、謎の白髪くん?」

「………は、……ぃ?」

「ククク。やっぱりなぁ、見かけによらず可愛ええ反応するんやな。それに、当たりみたいやしな。」

「……何を勘違いしてるのか知らないですけど。」

「勘違い?俺が、証拠もなしに聞くと思うたんか?色々なモノは、隠せた見たいやけど。この腕についてるものは隠せなかったみたいやなぁ。」

腕輪のある右腕へと移る視線を
感じて、それを無意識に身体の陰に隠す。


「これが、何なんですか。」

「コレ、見てみぃ。」

その薄い紙のようなものを
裏返して見せられるとそれは写真だった。



_____しかも


会長と一緒に映る写真で
右腕にはっきりとその腕輪が映った写真だった。



「誤魔化すなんて考えない方が身のためやで。」

グッと口を引き結ぶ。
諦めのため息を漏らすようにして
口を開く。


「それで。何をしようとしてるんですか。」

「俺は、おもろい事があればええんやけどなぁ。この写真、晒すのもオモロそうやなぁ。なぁ?どうしてほしい?」

「何が………望みなんですか。」

「会長の【的】として晒すのもオモロいが、どうにもそれは好かんしなぁ?それなら、堂々と
うちの会長と戦ってもらった方が
おもろいと思わへんか?かつての、唯賀勝羽と春田叶多みたいにな。」

「そんなの………無理、です。」

「そんなら、しゃあないか。噂・情報好きの放送部にでも流す方がオモロそうや。」

「………待ってください。」


表舞台で堂々と戦うなんてムリだ。
俺にはできない。


どうすれば………?



考えろ、考えろ、考えろっ……!


「ククク。考えてることバレバレやで。
冗談や、冗談。新入生くんが出てきたら面白そうやと思っとるけど無理強いは趣味じゃないんやわ。」


その人は、ブレザーのポケットへと写真をしまい込み
ネクタイを掴んでいた手もするりと離す。


「それにや。どうも、雪のお気に入りみたいやから。
勘弁したるわ。」

「雪……?」

「そのうち、また、会うやろ。なぁ?新入生くん。結構、ギリギリラインやで。今の状況やと。」

「どういう意味ですか?」

「最終警告や_____。会長には、これ以上近づかんほうがええで。そうやないと、前生徒会長みたいに残酷に身も蓋もなく取って喰われるからな。」

その人の髪がサラリと揺れて
キラキラと月の光を浴びて光った。


「1つ、聞かせてください。貴方は、誰ですか。」

「まぁ、そのうちな。イヤでもしることになるやろ。ほな、消灯時間もとっくに過ぎとるし。帰ろか?」


探し物に後ろ髪をひかれながらも
ここで断るわけにもいかず
その人の数歩後ろを歩き続けた。



オーロ世代



春田叶多



色々と聞きたいことはあるけれど
今は、何でも知ってそうなその人に
聞くことはなかった。


今は、ただ


ここに来た目的を果たしたかったから。





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