花は何時でも憂鬱で

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chapter5

夜の足音8

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「それで。良ちゃん、またそんな本作って何がしたいの。色々と困るんだよねぇ面倒ごとが起こるからさぁ。」

会計が腕へ腰へとすり寄っている
親衛隊であろう人たちの髪を撫ぜて
薄っぺらい笑みを浮かべながら問いかける。

「腐っ腐腐腐。これの価値が分からないとはナンセンスにもほどがありますよ。会計様。」

「ちょっと___。美波様を侮辱する気?」

「信じられない!」

「そんなに気を立てることじゃないよぉ~。落ち着いて、せっかく可愛い顔が台無しだよ~。」

会計のその一言で、不機嫌さを隠しもしなかった親衛隊の2人は素直に謝り、大人しくなった。

「俺的にはどうでもいいんだけど。良ちゃんとか、その後ろにいる部員さんとかが作るその本の対応がぶっちゃけ面倒を被ってるのは事実なんだよね~。それとも、何?
良ちゃんは、欲求不満なのかなぁ?一晩だけなら相手してあげないこともないけど?」

会計は、両端にいた親衛隊の2人の腕を
やんわりと外すとあの赤パーカー先輩へと近づいて
指の背で赤パーカー先輩の輪郭をなぞり
首から鎖骨へと滑らせていく。


そして、その指を一度離して
その首元へと伸ばそうとしている手を
赤パーカー先輩は掴んだ。


「……じゃない」

「な~に?良ちゃん」

「……冗談じゃない。そんなのこっちから願い下げだって言ったんだよ」



_____瞬間


ザワザワと騒がしかった野次馬たちの声は
一斉に静まり。


まるで、ピシリと音を立てて何かにヒビが入ったかのようにその集団は動かなくなった。


「あれぇ~。何か騒ぎでも起きたのかな~?」

その雰囲気を知ってか知らずか
突如、現れたその声に、皆、一斉に視線を注ぐ。



夕闇色の空が夜に覆い隠されつつある時刻。
けれど、その目の前に現れた人の髪色は良く映えた。



綺麗な________白。
その色は誰もが息を呑み、儚さを伴いながらそれでいて凛とした雰囲気を漂わせる。


「どうしたのー?さえちゃん?顔強張ってるよ?」

副風紀委員長のその人は
赤パーカー先輩のほっぺをムニムニと引っ張りながら
天使のような笑みで尋ねた。

「えへへ~。すっごい伸びてるね~、さえちゃん!」

「ふぁに、しヘぇ……。(何して……。)」

赤パーカー先輩が意識を取り戻しだした途端
くるりと振り返って、会計とその親衛隊へと視線を向ける。

「それで、何してたの?」

「そ、そこの佐伯良が、勝手に、モデルに美波様を使ってて本を売ってたから問い詰めてたんですよ。副風紀委員長」

「……そうですよ、これは問題ですよね?!」

辿々しくも副風紀委員長に親衛隊員は説明をしだす。


「本を売ってた?さえちゃん、それは本当?」

「へ?あ、売ってたというより配ってました!白様!!僕たち、漫研の活動は布教にありますので!!!」

「お金は、取ってないんだよね?さえちゃん」

「勿論です。白様」

親衛隊員達は、流れが良くない方向へと言っているのを
感じてか口を挟む。

「でも、勝手にモデルにしたのは事実ですし!」

「そ、そうですよ。しかも、美波様への侮辱と取れる発言、本当に好きで書いてるなら、美波様にお誘い頂いて断るなんて別の目的があって本を作っているとしか考えられません!!答えなよ、佐伯良!」

副風紀委員長がいなければ掴みかからんばかりの
目つきで鋭く睨みつけながら、赤パーカー先輩を問いただす。


「………と意味ないじゃん。……美形同士の絡みじゃないと全然、萌えないんダァァァァア!!!そもそも、腐男子というものは、影からコッソリと盗み見ながら絡みを拝むこれこそが本望!!平凡受けも美味しいよ!でもね、それが自分だと意味がナァァァイ!!だいたい、」


さっきとは、別の空気感が辺りを包む。
そこに、集まっていた人だかりの空気が和らいで肩の力が抜けたように、興味を失ったのか、一人、また一人と、その集団から抜けていく。


赤パーカー先輩がまだ熱い談義を続けそうだったので
副風紀委員長がそれを流しながら
親衛隊の方へと目配せをする。


「それで、さえちゃ、佐伯君は本は売ってはいなかったけど確かにモデルとして勝手に使ってたようだし問題はあります。」

その発言を聞いて、勝ち誇ったように親衛隊員は口元に笑みを浮かべる。


「それじゃあ、会計の親衛隊の持ち物検査の許可を取ってください。来来隊長に。」


その副委員長の言葉に隊員は明らかに動揺を見せた。

「ど、どうしてですか。」

「そうですよっ!何で、僕たちが」


「この件を問いただすなら、美波京の親衛隊は、誰一人として漫研の作った本を一冊も持っていない。コレが、前提条件ですよ。勿論、別のモデルの場合の本もですよ?まさか、他のモデルの本ならいいなどとそんな考えを、美波京の親衛隊は持っていませんよね?」

副委員長は、何も言い返せず押し黙る2人の隊員に追い討ちをかける様に言葉を続ける


「決めてくださいね。来来隊長に許可を頂きますか?」


「いえ……。僕たちは」

「あの、だから……。別に、」

「はぁ~い。ストーップ~。副風紀委員長。あんまり、俺の可愛い子達を虐めないでくれるかなぁ。」


今まで傍観を続けていた会計が劣勢に置かれつつある
親衛隊員を庇うように話に割り込んできた。


「別に、虐めてないよ?会計さん。一応、お仕事なので。」

「もうこの件は、おしまい。それでいいでしょ~。モデルになった俺がナシにしようって言ってるんだけどぉ?」

その会計の一言で、完全にその話は終わり
辺りに集まった人だかりを会計は散らしていく。



会計は、2人の取り巻きを離そうともせずに
その場を離れようとしたが、一度だけ立ち止まって
副風紀委員長へと目配せをする。



「そういえばさぁ~。委員長はどうしたの副委員長?」

「さぁ?今頃、どこかの出店にでもいるんじゃないかなぁ?」

「ふぅん。また、倒れてるんじゃないの?おたくの委員長。貧弱だから、ねぇ?」

「生憎、そんなにやわじゃないよ?うちの委員長は。だから、会計さんも安心して遊んでください、ね。」

一瞬、会計と副風紀委員長の間に生じた亀裂のようなものを感じながら、会計とは真反対へと進んだ
あの副風紀委員長を俺は追うことにした。









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