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chapter5
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しおりを挟む「ねぇ。君は、だあれ?」
副委員長の後をつけていっている途中から明らかに、人通りが少ない方へと誘い込まれていることに薄々気づきながらも、副委員長の後を追った。
そして、副風紀委員長が振り返ると同時に被っていたお面を深く被り直す。
「さぁ。誰でしょうか____?」
「むぅ。ずるいなぁ、お面で隠しちゃうなんて。不公平じゃないのぉ~?」
悪戯っ子のような口調で柔く文句をいいながら
離れていた距離を詰めて、見つめ合う。
「それで、僕に何の用かな~?鬼さん?」
「お願いがあるんです。」
「お願い?」
副風紀委員長は
こてんと首を傾げながら、俺の台詞を反芻する。
「指輪が欲しいんです。あの指輪が__。」
「ゆ、びわ?」
数秒、経ってから思い出したかのように
指輪を取り出して手のひらに乗せて
「この指輪のことかなぁ?」
と、副風紀委員長は尋ねる。
「その指輪です。」
「鬼さんの物なの?」
「そうです。」
「ふぅん。そっかぁ___。じゃあ、返そうかなぁ。」
「……え?」
こんなにあっさりと返してくれるとは思わず
不意に声が漏れた。
「ふふふ、こんなにあっさり返してくれるとは思わなかった?」
下から覗き込むようにして、探るような視線を這わせる
副風紀委員長から一歩下がって距離をとる。
「でーもぉっ!!この指輪が鬼さんのって言う証拠はないね。本当は、別の子の物かも?でも、本当に鬼さんの物かもしれないから、そうだな勝負(ゲーム)しよっか?」
「勝負(ゲーム)ですか……。」
「うん。そうそう、でも正式な物じゃなくて簡単な物だよ。もしも、鬼さんが勝ったらこの指輪を返す。そして、鬼さんが負けたら、そうだなぁ_____。僕たちを、助けて。」
「助ける_____?」
「うん、助けて。僕たち風紀を、ううん、みーちゃんを助けて。」
副風紀委員長ともあろう人が何で
こんな事を言うのかは到底理解できなかったが
ふと、思い出した。
『例えばそうだなぁ、本当にこの学園のシステム機能してると思う?本当に正常なのかな?』
あの矢井島の言葉を。
そして、入学して間もない頃、壇上に立ちながら告げられた会長の台詞。
『頼りになるのはここで生き残る術はただ一つしかない。ねじ伏せろ、周りのもの全てを』
会長は、力で捻じ伏せろといった。
もちろん、それは、暴力でという意味ではなかった。
けれど、屋上で見た光景を思い出す。
明らかに、暴力を振るわれそうになっていた生徒がいた。
それは、つまり_____。
暴力を正当化しているのか
そうじゃないのなら
何者かによって、揉み消されているという可能性
それが、副風紀委員長の言っていることと関係している。
「分かりました。じゃあ、副風紀委員長、勝負(ゲーム)をしましょう。勝負(ゲーム)も決めて貰って構いません。」
「うんと、じゃあ____。勝負(ゲーム)内容は、簡単だよ。ここに、2つサイコロがある。これを振って、奇数なら僕の勝ち偶数なら鬼さんの勝ち、どうかな?1つは、僕が振る。もう1つは鬼さんが。」
副委員長が、どこから出したのか
プラスチック製の透明のサイコロを指に挟んで掲げて
そのサイコロを手渡してくる。
副委員長は、にこりと笑みを浮かべると
サイコロを上に振り上げる
月の光に反射して
キラリとサイコロが光った気がした。
そのサイコロが重力に従ってストンと落ちる様を
眺めながら、副委員長は目の前に落ちてきたサイコロを
攫うように掴み取り、握られた掌をパッと開ける。
そこには、1の目のサイコロが転がっていた。
「さてと、次は鬼さんの番だよ?」
手の中にあるサイコロに視線を這わす。
1か3か5を出せばいい、確率にしたら2分の1だけど
もしも外せば最悪の結果が待っている。
月が雲を隠して、俺と副委員長の間に影がさす時
俺はサイコロを振った。
そして、副委員長と同様
目の前に落ちてきたサイコロを眼前で攫う。
「負けました。」
「え?それって、どういう。」
「負けです。俺の負け」
「サイコロの目を見てからでも、遅くないと思うけど、いいの?」
「サイコロの目を見てないからこそ、まだ、出来る事があるじゃないですか。」
俺の言い分に副委員長は首を傾げて
困惑の表情を浮かべた。
「負けました。だから、副風紀委員長も負けてください。」
「それは、この勝負をなかったことにするってことかなぁ?」
「違います。ただ、副風紀委員長の願いも僕の願いも叶えればいいんですよ。副委員長は、俺に指輪をかえして
俺は、『風紀を助ける』それを叶えればいい。」
「そんな、簡単なことじゃあないんだよ?分かってる?鬼さんには、何のメリットもないよね。」
「ここで、指輪も返されずに風紀への協力をすることのデメリットの方がデカイですよ。」
少し考え込んだ後、副委員長は顔を上げて
此方に視線を向けた。
「いいよ。その提案、受ける。でもまぁ、安心してよ。風紀への協力の話は仮定であって、絶対ではないからねぇ?
誰かが何もしてこない限りは、ありえないことだからね。」
誰かが、その言葉が気にはなったが
ここで聞くことではないかと尋ねなかった。
そして、その契約の元。
指輪が手元に戻ってきて、ほんの少し震える手でそれを握りしめた。
「疑うまでもなかったかな?」
副委員長が柔らかく瞳を細めて微笑ましそうな表情を浮かべているのに気づき、はっと意識を覚醒させる。
_____prrrrr
突如、その場の空気を裂いた音に耳をすませると
どうやら、副委員長の携帯のようだった。
それを、素早く取るとみるみるうちに副委員長の表情が固くなっていくのを感じていると、副委員長は踵を返して行ってしまうかと思ったがスマホをおろして、視線をこっちに向けると
天使のような笑みを浮かべて、きゅっと小指を絡ませて
「約束、破ったら針千本だよ?」
と、いうと今度こそ振り返ることなく何処かに行ってしまった。
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