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chapter5
西方宵
しおりを挟むサワリ、サワリと黒い髪が
風に靡いては揺れる。
あまりにも綺麗すぎる黒髪
そして、視線が交わった瞬間
息を呑むほどの美しさを持った少年は
夕日が海に沈んでいく様を眺めてから
オレンジ色から紫色そして、真っ暗闇へと変わる空を仰ぎ見て
「ここは、どんな学園かな。」
学園の一番外側に位置する
誰もいない浜辺でボソリと呟いて
その風でなびく髪を耳にかける。
そこにどれ程いたのか
そのまだ子供っぽさが残る少年は
いつまでも、無表情を称えてぽっかりと夜に浮かぶ満月を見る。
夜に輝く星々を呑み込むような闇
それに、負けないほどの【 夜 】を体現した
その少年は片手に持っている写真に
視線を移す。
「どうして……。」
その写真を見る宝石のような綺麗な瞳は虚ろで
暗い【 闇 】が広がっていた。
その闇から綺麗な一雫が流れ落ちる。
海の潮のにおいを感じながら
海に背を向けて
無機質な音を響かせて到着した迎えの車に向かう。
「宵様。今日の見学は如何でしたか。」
「……さぁ。どうだろう、でも。楽しそうな学園だったよ。」
細められた瞳は夜空に煌めく星空に負けないほど
美しくその少年の純黒の瞳の中で淡く鮮やかに輝いていた。
「不都合はございませんか。」
「ないよ。でも、もしもあるんだとしたら。それは______恐怖。」
「と、言いますと?」
その使用人の問いには答えずに
もう一度、夜空を見上げる。
キラキラと煌めく夜空も一筋の涙を流した。
「ねぇ?どうして君がいるの_______春。」
その声を拾ったものはいない。
夜の闇に吸い込まれたあの流れ星のように霧散していった。
白髪の人物が映るその写真は
強く握られて歪んでいた。
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