91 / 185
番外編
【桜紅と残虐王1】
※他サイトさんでのアクセス記念の番外編です。
「りーっちゃん。何見てるの?」
「文人が嫌がらせに送ってきた、写真」
「文人って、確かりっちゃんの従兄弟の」
「……ご名答」
ため息混じりに黒河が答えると
桜崎は後ろからその写真を覗きこみ
目を見開いた。
「……こ、これは?!」
「良かったな。お前のファンらしいぞ。たしか、桜紅だったか……?」
黒河がひらひらと写真をふって
その淡い桜色の髪をした頭から滴る血を拭う少年を指差して薄く笑った。
「何よ!ちゃんと、目を見開いて見なさいよ!私だけじゃなくて、隣に、映ってるのりっちゃんじゃない!確か、別名は残虐王だったわね!その割に、私に全然歯が立たなかったけど」
写真の中に映る、あの桜色の少年と背中合わせで立って
ボロボロの相手の胸ぐらを掴んでいる
まだ、幼い黒髪の少年を桜崎は指差す。
「おい、恋。誰がお前に歯が立たなかっただって……?」
「はいはい、ちょー強かったわね」
ニッコリと微笑む黒河にカラコロと口の中で飴玉を転がす桜崎は生返事を返す。
「つうか、今度は何味食べてんだ、お前」
「チョコレート」
「……の?」
「なんばん風味よ。私のイチオシ」
「相変わらず、味覚狂ってんな」
黒河が苦虫を潰したような表情で宣うと
桜崎は、ムッとしたように言った。
「美味しいのよ!コレ!!まぁ、りっちゃんには分からないと思うけどね」
「まぁ、世間話はコレぐらいにしといて」
「りっちゃん」「恋」
「「絶対に、こんな黒歴史はバレたくないから黙っとけよ/いてよね」」
黒河と桜崎は、2人同時に同じ台詞を呟くと
また、2人同時に視線を逸らした。
「何々ー。その写真ー?黒ちゃん、それ見せてー。」
突然、現れた声に2人は驚いて視線を向けると
桐島が興味深そうにその写真を覗いていた。
咄嗟に、黒河がその写真をくるりと反転して
見えないようにする。
「内緒です」
黒河が唇に指を当てて
微笑むと桐島が頬を膨らませてむくれた。
「むぅ。ケチケチー。でーも、黒ちゃんと桜ちゃんが仲良しだって事は知れたから、いいけど」
「「仲良くないです!!」」
「へへ。やっぱり、仲良しだねぇ。でもさ、さっきの桜色の髪の子、どっかで見たことあるなと思ったんだけど。______鮮華(せんか)ってグループの子でしょ?」
「へぇ~、そうなんですかぁ。気のせいだと思いますけどね。ねぇ、りっちゃん」
「いやいや、意外とすぐ近くにいたりするもんで、……っ」
黒河が余計な事を言わないように
桜崎が足を踏んで阻止する。
「ん?黒ちゃん、どうかしたの?」
「いえ、何でもありません」
直ぐに完璧な笑顔で微笑んで
取り繕う黒河に桜崎が、悪魔みたいだわ。昔は、可愛かったのにと呟いた。
それに、お前、後で覚えてろと視線で訴えると
黒河は桐島へと視線を向けた。
「そういえば、鮮華なんてグループ桐島先生が知ってるとは思ってもみませんでした。」
「僕も知らなかったんだけどねー、この学園の生徒にね、」
桐島の言葉を遮るように
チャイムの音が響いて、授業終了の音が鳴った。
「あ、次。私、授業だわ!」
「あ、僕!!校長に呼ばれてるんだったー!また、給料減らすぞって脅されるぅー」
黒河も、職員室から出て保健室に向かおうとした時だった。
行き交う人の中に、昔みた
桜と刀を象ったあのタトゥーを見た気がして
黒河は振り返るが何処にもそんなものは見当たらなくて
眉をひそめた。
「気のせいか……?」
「りっちゃん。ちょっと、ドアの前に立たないでよ。職員室に入れないでしょ」
「あぁ、悪い。そういえば、何で戻ってきたんだ」
「忘れ物よ。忘れ物」
「なぁ、恋。お前のあのグループって、なくなったんだよな?」
「えぇ。そうだけど、どうして……?」
「……いや、何でもない」
「変な、りっちゃんね。」
黒河は、さっさと歩いていく桜崎の背中を見ながら呟く。
「気のせいだな。ありえない」
足早に桜崎の横に並ぶと
黒河はもう一度、念を押しとこうと話しかけた。
「おい、分かってると思うけど」
「絶対に、言わないわよ。本当、りっちゃんにしたら黒歴史よねぇ。可哀想。」
あなたにおすすめの小説
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)
平穏な日常の崩壊。
猫宮乾
BL
中学三年生の冬。母の再婚と義父の勧めにより、私立澪標学園を受験する事になった俺。この頃は、そこが俗に言う『王道学園』だとは知らなかった。そんな俺が、鬼の風紀委員長と呼ばれるようになるまでと、その後の軌跡。※王道学園が舞台の、非王道作品です。俺様(風)生徒会長×(本人平凡だと思ってるけど非凡)風紀委員長。▼他サイトで完結済み、転載です。