104 / 185
chapter6
白鬼3
仄暗い赤色の髪
腕につけられている風紀委員の紋章。
「風紀の出る幕ではないですよ。何か手違いがあったのではないですか。坂田風紀委員長」
「九重。手違いじゃない。とある中立者からのれっきとした通報だから。それに、その生徒の怪我をどう説明する?」
「さぁ?僕には、いえ、僕達には図りかねますね。直接、聞けばいいのでは?」
「じゃあ、この状況は?」
「会長様に無礼だと思った場合、少々手荒なことにはなるかと。いきすぎたのならば、僕が風紀室に行きますが。」
九重の言葉に、ぴくりと眉をひそめた風紀委員長は
俺へと近寄る。
黒マスクの押さえつけていた生徒も九重の視線に気づいて後ろへ下がった。
「この傷はどうした?」
風紀委員長は視線を合わせるようにして
しゃがむと
さっき河井に殴られた頰を視線でなぞられる。
「これは………」
__________ピロン、ピロン、ピロン
風紀委員長からの言葉に答える間も無く
その無機質な音が食堂中に響き渡った。
無機質な音の正体は、各々の携帯で
一斉に何かの動画が流れ出す。
それと同時に
食堂に設置されているスクリーンが下がりだして
そこにも同じものが流れた。
『探し物は、見つかりましたか?生徒会長さん』
鬼の面をして顔を隠した真っ白な髪の人物がそこには座っていた。
その映像に、全員が目を向ける。
「あれは_____新歓の時の」
「でもだとしたら、あそこにいる生徒は?!」
「元々、撮った映像なんじゃないの……」
「静かに。動揺しないで」
ざわざわと騒がしくなる親衛隊に九重のよく通る声が
響いた。その一声で、徐々に落ち着きを取り戻す。
『まず、第1に__________。宣戦布告を。この学園の生徒全員に。後悔を与えにきました。あなた達の持つ全てを壊しにきました。だから、壊されたくないのなら僕を壊してみてください。』
そして、右腕で頬杖をつく際に
俺と全く同じ腕輪がその手首につけられていた。
それに、気づいた何人かが戸惑うような声をあげた。
その声に反応した映像の中の人物はクスクスと笑いながら話し出した。
『残念ながら………僕には辿り着かないみたいですね。会長様。僕を____見つけて、壊してみてくださいよ。』
その言葉に呼応したかのように、足を止めていた会長が
眉をひそめてそのスクリーンの映像を一蹴した後
俺へと視線を向け、再び視線をスクリーンへと戻した。
「………誰だ」
会長のポツリとした声がよく聞こえた。
『僕が誰なのか当ててみてくださいよ。まぁ、そこの生徒と間違える時点で、その生徒が誰なのか分からない時点で、僕には程遠いと思いますけど。本当に知らないんですか、佐藤蒼。………佐藤と聞いて本当に分かりませんか_____。』
会長は、眉をひそめるとあの無機質な瞳で俺を探るように見つめ続けた。
「_____楪」
会長のその一言で、静寂の空気が
ぴんと張り詰めた様な緊張感を伴ったものに変わった。
『第2に____。その生徒は、佐藤純の。いや、楪純の実の子供ですよ。影でこっそり隠れていたかった人間。そうでしょ?』
愉快そうな声をあげて、その白髪の人物の映像は
それっきりプツリと途絶えた。
「これで_____この件は終わりにする。もう手がかりもない」
あの映像に映る人物で騒がしい状況の中
会長の告げた内容は更にその騒めきを煽った。
そんな中でも表情1つ変えずない会長が階段を降りてくる音に耳をすませていると、俺とすれ違いざまで立ち止まり
「悪かった__________。お前は完全な白ではないが、少なくともお前だという確証もない」
視線を向けることなく告げられる。
「が、お前が楪である以上、佐藤である以上。俺の敵に変わりはない。だから、俺の邪魔だけはするな__________。」
それだけ言い残して会長は食堂から去っていった。
あなたにおすすめの小説
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
平穏な日常の崩壊。
猫宮乾
BL
中学三年生の冬。母の再婚と義父の勧めにより、私立澪標学園を受験する事になった俺。この頃は、そこが俗に言う『王道学園』だとは知らなかった。そんな俺が、鬼の風紀委員長と呼ばれるようになるまでと、その後の軌跡。※王道学園が舞台の、非王道作品です。俺様(風)生徒会長×(本人平凡だと思ってるけど非凡)風紀委員長。▼他サイトで完結済み、転載です。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)