花は何時でも憂鬱で

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chapter6

白鬼3




仄暗い赤色の髪
腕につけられている風紀委員の紋章。


「風紀の出る幕ではないですよ。何か手違いがあったのではないですか。坂田風紀委員長」

「九重。手違いじゃない。とある中立者からのれっきとした通報だから。それに、その生徒の怪我をどう説明する?」

「さぁ?僕には、いえ、僕達には図りかねますね。直接、聞けばいいのでは?」

「じゃあ、この状況は?」

「会長様に無礼だと思った場合、少々手荒なことにはなるかと。いきすぎたのならば、僕が風紀室に行きますが。」

九重の言葉に、ぴくりと眉をひそめた風紀委員長は
俺へと近寄る。
黒マスクの押さえつけていた生徒も九重の視線に気づいて後ろへ下がった。


「この傷はどうした?」

風紀委員長は視線を合わせるようにして
しゃがむと
さっき河井に殴られた頰を視線でなぞられる。


「これは………」


__________ピロン、ピロン、ピロン


風紀委員長からの言葉に答える間も無く
その無機質な音が食堂中に響き渡った。


無機質な音の正体は、各々の携帯で
一斉に何かの動画が流れ出す。
それと同時に
食堂に設置されているスクリーンが下がりだして
そこにも同じものが流れた。




『探し物は、見つかりましたか?生徒会長さん』


鬼の面をして顔を隠した真っ白な髪の人物がそこには座っていた。
その映像に、全員が目を向ける。


「あれは_____新歓の時の」

「でもだとしたら、あそこにいる生徒は?!」

「元々、撮った映像なんじゃないの……」



「静かに。動揺しないで」

ざわざわと騒がしくなる親衛隊に九重のよく通る声が
響いた。その一声で、徐々に落ち着きを取り戻す。


『まず、第1に__________。宣戦布告を。この学園の生徒全員に。後悔を与えにきました。あなた達の持つ全てを壊しにきました。だから、壊されたくないのなら僕を壊してみてください。』



そして、右腕で頬杖をつく際に
俺と全く同じ腕輪がその手首につけられていた。
それに、気づいた何人かが戸惑うような声をあげた。
その声に反応した映像の中の人物はクスクスと笑いながら話し出した。


『残念ながら………僕には辿り着かないみたいですね。会長様。僕を____見つけて、壊してみてくださいよ。』

その言葉に呼応したかのように、足を止めていた会長が
眉をひそめてそのスクリーンの映像を一蹴した後
俺へと視線を向け、再び視線をスクリーンへと戻した。


「………誰だ」


会長のポツリとした声がよく聞こえた。


『僕が誰なのか当ててみてくださいよ。まぁ、そこの生徒と間違える時点で、その生徒が誰なのか分からない時点で、僕には程遠いと思いますけど。本当に知らないんですか、佐藤蒼。………佐藤と聞いて本当に分かりませんか_____。』

会長は、眉をひそめるとあの無機質な瞳で俺を探るように見つめ続けた。

「_____楪」

会長のその一言で、静寂の空気が
ぴんと張り詰めた様な緊張感を伴ったものに変わった。

『第2に____。その生徒は、佐藤純の。いや、楪純の実の子供ですよ。影でこっそり隠れていたかった人間。そうでしょ?』


愉快そうな声をあげて、その白髪の人物の映像は
それっきりプツリと途絶えた。




「これで_____この件は終わりにする。もう手がかりもない」



あの映像に映る人物で騒がしい状況の中
会長の告げた内容は更にその騒めきを煽った。


そんな中でも表情1つ変えずない会長が階段を降りてくる音に耳をすませていると、俺とすれ違いざまで立ち止まり




「悪かった__________。お前は完全な白ではないが、少なくともお前だという確証もない」

視線を向けることなく告げられる。


「が、お前が楪である以上、佐藤である以上。俺の敵に変わりはない。だから、俺の邪魔だけはするな__________。」



それだけ言い残して会長は食堂から去っていった。

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