花は何時でも憂鬱で

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chapter6

囚われ1





「立てるか?」

引きちぎられた腕輪を拾い集めると
心配そうに顔を覗き込んできた風紀委員長に取られた腕をやんわりと外して、立ち上がる。


「大丈夫です」

「ほんとに?」

「ほんとです」

「ジャージに血までついてるのにか?それに、口の端も切れてるし、頰も腫れてるのに?それでも、ほんとーに大丈夫なのか?」

「それでも、全部、自分でなんとかします。だから、大丈夫です。それに、風紀委員長様には関係ないじゃないですか」

風紀委員長が眉を寄せて顔を強張らせたのを
視界の端に捉えながらも、踵を返して食堂の扉へと向かった。


大勢の生徒の視線が向けられていたが
誰一人として、俺を止める生徒はいなかった。
あの探していた生徒が俺ではなかったことに
罪悪感でも感じているのか


それとも_____。


楪だったことに、驚いているのか。
どちらにせよ、俺にとっては都合が良かった。


さっさと帰って、このびしょ濡れの身体を温めたかったから。


「ちょっと待った、忘れ物。」

振り返ると、頭に何かを被せられてガシガシと頭をかき混ぜられる。

「……っなに。…やめっ」

「びしょ濡れのまんま帰るつもりなのか?風紀室にシャワー室だけどあるから使いなよ。」

「だから、」

「そういえばさ、俺、関係あった。風紀委員長だからね。それに、ソレつけたまま帰るつもりなの?」

風紀委員長が指を指した動きで
手錠をつけたままなのを思い出して
不意に、視線があってしまい直ぐにそらした。
そして、直ぐに風紀委員長が吹き出して肩を震わせて笑い出した。

「コレは、別に。……わざとです。」

「はいはい。あ、因みに風紀室に来ないとこの鍵は渡さない。」

鍵穴に指を通して、鍵を揺らす風紀委員長は
憎らしいほど綺麗な笑みを浮かべていた。

「……わかりました。」

「よし。素直でよろしい」

風紀室に向かう最中、風紀委員長の後ろ姿を
頭にかけられたバスタオルを首元にかけ直して
覗き見た。


本当に河井の言う通り、風紀委員自体が腐りきっているならどうして、この風紀委員長がいながら
そうなってしまったんだろう。



とんでもないお人好しそうだから
何にでも首は突っ込みそうなのに。


「本当に、何も分からないな。」


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