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chapter7
贖罪1
「颯斗ォー、最近。付き合い悪くネェー?」
「あぁ?るっせぇ!今、取り込み中なんだよ!!」
河井は、目がくらむほどに明るい赤髪の生徒に怒鳴り散らしながら屋上から双眼鏡で何処かを覗き込む。
「………チッ。何にも出やがらねぇ、あの糞1年」
1年E組のクラスを覗き込むが
何にも動きがないのにあきあきしてフェンスを背にして、座りこむ。
「何なに、お前。何してんのかと思えば、あん時の1年追っかけてんの?やめとけよー。」
「ふざけんな。さっさと弱みなり何なり見つけて終わらせてぇんだよ」
「はーん。弱みねぇ……。だったら、怪我させてやればいいんじゃねーの……。階段の上から、的なー?」
「お前……。天才だなっ!」
河井が、バシバシと赤髪の生徒の背中を思いっきり
叩きながら言うが、思い出したかのように赤髪の生徒は告げた。
「あ……。無理無理、やっぱ、駄目だわー。」
「は?んでだよ」
「お前が弱み握りてぇのは、あの地下室の時の奴なら、雪が黙ってないからなー。やめとけ、やめとけ」
「あぁ?!くっそ、面倒くせぇ!!」
「つか、お前。何?もしかして、脅されてんの?ウケんだけどっ!!」
大口を開けて、ゲラゲラと笑う赤髪の生徒に
非難めいた視線を向ける。
「黙れ、赤木。そして、黙れ」
「いや、同じだしっ!!んじゃあー、弱み見つけりゃいんじゃね?」
「俺は、それをやってんだよ!!」
「つまり、こっそり尾行して、探せってこったよ。まずは、信頼ゲットしろよ!!その為には、物でつれ!」
「お前……。ほんとに、天才だなっ!!!」
河井は、同じように赤木の背中をバシバシと叩いた。
「……だから、いっってぇっ!!!」
※
夕飯時になって、春の部屋の呼び鈴を鳴らしたのは河井颯斗だった。
「よぉ!晩飯、食べるだろ?」
「何の用事ですか」
「お前の、忘れ物返しにきた。地下室に忘れてったろ?目が見えなくてしょうがないだろ」
「今、貰えますか。」
「断る。」
春は、諦めたようにドアノブを離して
それを見た河井は部屋の中へと入っていった。
「あー、悪かったな。風呂に入った後に来て」
リビングまでついてくると河井はポタポタと髪の先から滴る水滴に気づくと
首筋を掻きながら声をかけた。
タオルを頭の上からかけている春の
目までかかる髪の間から真っ青な瞳を垣間見て、河井は
首を傾げた。
「お前、瞳のソレは。カラコンだったんだな?地下室の時と色が違う」
「今、その話関係ないですよね」
「そーいや。何で、顔隠してるんだよ」
「追い出されたいんですか」
「いや?でも、眼鏡なくて困るのもお前だろ?」
「困ります。だから、それを返して貰えますか」
「じゃあ、俺はここで晩御飯を作って食べる、そうしたら返す」
「…………分かりました。でも、食べ終わったらさっさと帰って下さい」
春は河井にそれだけを伝えると
まるで、監視でもしているかのようにソファーに座った。
「好きなものを使ってください」
「おい、このどれも高級な食材ばっかの冷蔵庫はなんだ」
「家から、大量に送られてきたものです。」
「お前、これ。全然、使ってないだろ。てゆうか、さっき廊下にあったダンボールも?」
「欲しいなら、どれでも持っていてください。どうせ、使えないので」
「よっしゃ!……貰う!!つーか、お前。甘やかされて育ったんだな、こんなもの送ってもらうなんて。てんけーてきな、一人っ子だろ?しかも、使えないってことは……。料理も全くできねぇみたいだしな」
「そうですね。自分でも、甘やかされて育ったと思います」
「ほんと、羨ましいことだな」
誰とでもするような普通の会話に過ぎなかったのに、何かが可笑しな気がした
河井は春へと一瞬、視線を向けるがその何かは掴めず、目の前にある食材を前に河井は献立を考える事に頭を埋め尽くされ、直ぐにそんな事は頭の隅へとおいやられた。
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