157 / 185
chapter9
試験勉強2
「意味がわからない。オレ、ハーフダカラ。………ちょっと、休憩行ってくる。………春はどうする?」
双子と別れてからまた、一緒にいるのを見られたくはなかったので人のあまりこない図書室に移動してから、2時間ほどが経った。荒谷が机に突っ伏すのを視界の端に捉える。
「行かない」
2週間ほどのブランクは相当キツかったのか
荒谷に頼みこまれて、結局、一緒に試験勉強をすることにはなったが、特に教えることもないくらいスラスラと問題を解いていた。
日本史を除いては。
荒谷が苦戦していた問題集を手に取ると
やはり、日本史が特に苦手らしくほぼ真っ白の状態だった。書けていても漢字のミスがあってこのままだと50点も取れるかどうかどころの話じゃなさそうだ。
「漢字ね」
問題集を元あった場所へと戻して
図書室の案内図を眺めてから参考書と分類されたエリアへと向かう。目的の本を手に取ると、本が数冊落ちたような物音が聞こえてきょろきょろと辺りを見回す。
「………玄…せ、……先輩。………んん」
誰かが
本棚を何個か挟んだ通路で本を読んでいるとか本を選んでいるという言い訳も通じないような事を行なっていた。
図書館という公共の場ではあったが、邪魔をする気もさらさらないので立ち去ろうと思っていたら無理やりキスをされていた方の生徒が顔を捩ると俺の方を向いて驚いたように目を見開いた。
「ひっ………。いやだっ!」
俺に気づいたらしい生徒は一目散に逃げていった。
俺がここに来てしまったこと自体
何となく良くないことだけは分かってはいるのだが
この場を去っても、より、印象づけるのは目に見えていたので、俺は本を選び続けることにした。
「はぁ。………逃げやがった。」
苛立たしげな溜息をついて端末で何かを打ち込むと、入口側へと足を運んでいく男を横目にいれながら立ち去ったのを確認してから俺も入口側へと向かうと、本棚の後ろに隠れてその男が立っていた。
「何か本をお探しなようですね。どんな物をご所望でしたか」
俺の持っていた本を手に取ると俺がさっきまでいた通路に入ると、新しい本を抜き取って渡される。
「漢字の学習でしたら、こちらの方が宜しいかと」
「ありがとうございます」
「いえいえ。なので………貴方が先ほど見たことはご内密にお願いします」
その男は、人差し指を立ててにこりと微笑む。
「おい、糞鬼畜ドS眼鏡。今度は随分、趣味が変わったんだな」
「河井くん。やっと来ましたか」
河井が苦虫を潰したような表情を浮かべている原因であろう男を一瞬、見つめる。何処かで見覚えのある色をした瞳だと思っていると、急に河井に腕を引かれて引き寄せられる。
「武楠。………俺は、こいつに借りがあんだ。用事は後だ」
河井は俺やあの男の返答も聞こうともせず、図書室の天体や星の本が置いてある場所に着くと離そうともしなかった手を離した。
「アイツに、近づくな。」
「俺から近づいたわけじゃないんですが」
「近づけさせもするなって、ことだよっ!」
「急に大声あげないでください。ここ図書室なの忘れてませんか。」
「お前さ、武楠の噂くらい聞いたことあんだろ。」
噂………?さっきの事から察するに遊びが激しいとかそんなのだろうと思っていると、背中を本棚に押しつけられる。
「糞ドS眼鏡はな。相手にする奴ら全員色んな意味で啼かせなきゃ満足しない性質の悪い奴なんだよ。おまけに、美人喰いっつうオプションもついてる。」
「だったら、尚更。………俺には関係ないでしょ。あっちから近づくことがないなら、俺も近づくきなんてない」
肩を掴んでいる腕を離させようとしたら河井が頭を掻き毟る。
「そういうのが1番、性質がワリんだよ。マジで」
「何の話ですか」
「例えば、そうお前はきっちり着込んだスーツの女を脱がせたいとかそういう感じなんだよ。わかんだろ。白いものほど汚してみたいとかそんなの!ほら、アレだ………。ワイシャツとか、使ってない方の消しゴムの角とかっ!」
「意味が分からないです」
ひとりでに迷走を始めた河井に呆れて
荒谷たちがもう帰ってきてもおかしくはない時間になってきてるので掴まれてる腕を無理やり引き剥がす。
「糞ドS眼鏡に共感したいとは思わねぇよ。でも、お前は………アイツの性癖ドストライクなんだよ。…………つまりはお前、鏡見ろ。マジで」
「鏡を見ろって、喧嘩でも売ってるんですか」
「あぁ?ここまで言って分かんねぇとか、馬鹿かよ。つうか、お前が何しようしてんのか何企んでるのかは知らないがな、その顔は明らかに利益になるはずだろ。」
「利益って。アンタがなんの意図があって言ってるのかは知らないけど、俺は………。」
「俺はなんだよ。………つか、意図なんかそんなもんねぇよ。俺はそんなバカみてぇに綺麗な面してんのに何でわざわざ隠してんのかって聞いてんだ」
「嫌悪されるものは隠すべきだ。利益になんてならない。」
俺は、醜いものを気味が悪いものを晒すような真似をしない絶対に_______。
それは、不利益にしかならない。
「………どういう意味だ。」
河井の戸惑ったような表情を見て河井の意見が覆ることはないと踏んで、これ以上話し合っても堂々巡りになるのは目に見えていた。
「別に、そのままの意味ですよ。他意はないです。」
なんで、戸惑ったような顔をするのか
俺の顔を見たなら尚更、この顔が嫌悪されるものだと分かるはずだ。
河井が何をしたいのかその言動の意図が何なのか
分かりもしないが、河井が嘘をついていることだけは分かる。
『……化物みたい』
『気持ち悪い』
俺の存在がそういうものである事だけは知っている。
分かりきっている。
「マジで行きやがった。………つうか、何で分かんないんだよ。甘やかされて育ってんなら尚更、気づかないわけないだろ。余程の鈍感でもない限り_____。嫌悪されるものってなんだよ。マジで意味わかんねぇ」
あなたにおすすめの小説
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
平穏な日常の崩壊。
猫宮乾
BL
中学三年生の冬。母の再婚と義父の勧めにより、私立澪標学園を受験する事になった俺。この頃は、そこが俗に言う『王道学園』だとは知らなかった。そんな俺が、鬼の風紀委員長と呼ばれるようになるまでと、その後の軌跡。※王道学園が舞台の、非王道作品です。俺様(風)生徒会長×(本人平凡だと思ってるけど非凡)風紀委員長。▼他サイトで完結済み、転載です。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)