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chapter9
秘密3
荒谷新side
転校生が、白鬼を見ながら呟くのを横目に見ていたら
それまで動こうともしていなかった白鬼が広場の2階から軽々と飛び降りた。
アレは、偽物?
それとも____________春?
「ケホ………。ゴホッ。ごめんなさっ。………臭いが」
転校生がシャツの裾で口元を抑え咳き込むのを見て、転校生の背中に手を当てながら、あの白鬼へと視線だけを向ける。昔は、クロユリがある空間では転校生みたいに春は頻繁に咳き込んでいた。なら、あの白鬼は偽物………なんだろうか。でも、今の春はそんなに酷く咳き込みはしていない。
どっちだ?
「大丈夫?西方くん?」
「苦しいのか?」
「ごめん、なさっ。………思ったより、臭いが辛くて。」
転校生の背をさすっていたら、いつのまにか寮の広場で白鬼を囲むようにして黒いブレスレットをつけた生徒が現れ始めた。
黒のブレスレットをつけるのは確か、おーさまの親衛隊だったよな。それにその中心にいるのおーさまの側近?名前は確か、九………なんとかだったはず。
それを見て春なのか偽物なのか判断できずにいたら、誰かによって俺の肩に置かれた手に反応して振り返ると、雪さんが表情を変えることなく耳元で囁いた。
「荒谷くん。アレは、偽物だから安心していいよ」
「雪さん」
「ところで、その可愛い子はどこか具合でも悪いの」
俺は雪さんからいつもと違う香りがするような気がしてたら、それとほぼ同時に転校生が咳き込みだした。
「大丈夫じゃないかな。」
「ごめんなさい。急に」
「あ。もしかして………あの香水のせいかもね。臭い強いらしいから。………僕は行くからさ。じゃあ、そういうことだから。荒谷くんは特に何もしないでその子を部屋に連れて行ってあげて」
雪さんに返事をする前に雪さんは颯爽と背を向けて、偽物の白鬼のせいでいつのまにか増えて倍以上になった生徒の波の中へと消えてしまった。
「新くん。これ以上人が来る前に部屋に帰った方がいいかもよ。西方くんも、辛いと思うし」
「そうだな」
転校生の顔色を伺っていた矢井島からの提案にうなづく。
_______ゴロゴロッ。
地鳴りのような轟音の後に、ピカッと外が白く光った。
「わぁっ。凄い音だ………西方くん。どうかした?凄い真っ青だけど」
「あ、何でもない。ケホっ。雷にびっくりしちゃって。」
「そう?あ、西方くん。一緒に部屋に行こう」
「あ。………っうん。ありがとう。」
矢井島が転校生と一緒に連れたって部屋へと向かうので、俺もその後を追いかけようとしたが白鬼のお面を弄んでいる男とすれ違って俺は足を止めた。
「さて、種明かしといこか。愉しい鬼ごっこは、それなりに楽しかったやろし。」
関西弁を使う人は、偽物の白鬼を捕まえようとしているおーさまの側近に咎められるがそんなのお構いなしに偽物の白鬼を囲んでいる輪の中へと入っていくと、その関西弁の生徒を目に留めた偽物の白鬼はあっさりとつけていた仮面を取って、その顔を露わにした。
「全然、楽しくないんだけど。どう責任取ってくれるのかたのしみだよねぇ~。」
「愉しかったで。俺は。久しぶりに爽やかなええ汗かいたんちゃうん?美波」
金髪の生徒会役員のその生徒は脱いだ仮面と白いカツラを関西弁の人に投げて、目が笑っていない笑顔を浮かべていた。
物々しかった雰囲気が一気に柔らいでこの騒ぎをどこで嗅ぎつけたのか集まり出していた生徒達から歓声が沸く中
あのおーさまの側近からは何でこんな茶番を繰り広げたのかと詰め寄られるとその二人は口を揃えて答えた。
「「だって、面白そう(だったし/やから)」」
「………分かりました。では、あの幽霊騒ぎはお二人だったんですか。」
「そうやけど」
「まぁね。」
「そんなことをした理由は何ですか。」
「「そんなの、そっちの方が楽しいから(かなぁ/やけど)」」
「では、お二人ともご説明いただけますか。今回のことについて。部屋でお待ちですので」
その一部始終を見届けていたら矢井島達を完全に見失ったことに気づいて、辺りを見回していたら
近くに落ちたと思わざるを得ないくらい大きく鳴り響く雷の音と同時に一気に全ての電気が落ち、目の前の景色がブラックアウトした。
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