花は何時でも憂鬱で

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chapter9

化け物2




荒谷新 side



「………起きないね」

「一応、水とか持って来るか。起きた時の為に。」

「じゃあ間取り一緒だと思うけど、一応、案内するね。物の場所とか分かんないだろうし」

寝室を出る時に視界の端に映った
目を覚ます気配のない転校生は、白い肌に跡が残ってしまいそうなほど手首を強く握りしめていた。



「………水の方がいいよね。」


矢井島が冷蔵庫から取り出してペットボトルを俺に手渡して、一度、リビングから出た矢井島が大量のぬいぐるみを持って現れた。


「何だそれ」

「何ってぬいぐるみだよ。………いっぱいぬいぐるみがあったら寂しくはないでしょう西方くんも。一人、減るんだから」

矢井島が手に抱え切れないほどのぬいぐるみを抱えてるのに、冷蔵庫からペットボトルをまた一つ取り出して手に持つ。

「矢井島?ペットボトルなら………ここに」

「この鈍感。………さっさと行って来い。…………太陽みたいなとこが新くんの取り柄でしょう。それなくなったら、何にもないんだけど」

「矢井島………。」

「理由つけてでも、ここにいたいの?…………蒼くんのこと心配じゃないの?幼馴染が好きになってもらえるのなんて嘘だから。そんな小説とか漫画とかで取ってつけられたような設定は現実にはありえない。………………てゆうか、僕、新くんを慰めるとかイヤなんだけど。面倒だし。」

「え。………何。どういうこと。」

「本当に、僕の勘違い?新くん。………本当に後悔しない?」


矢井島が吐露した言葉はストンと俺の奥底にある何かを揺さぶる。矢井島から視線を逸らさないようにしている時点で答えはきっと多分もう俺の中にある。


「なら、話を変える。蒼くんの本来の容姿って、きっと、さっきのものだよね。」

「そうだけど。何で今それを」

「そっか。なら、変わってるよ。蒼くんの髪色」


変わる。どういう意味………?
俺が困惑してるのが矢井島に伝わったのか付け足すように言う。

「僕のいう、髪の色が変わるっていうのは普通の髪の色の抜け落ち方とは違くて、色素自体が色自体が薄まってるってこと。黒だったはずなのに、灰色っぽく、つまり………蒼くんの髪色、限りなく白に近づいてるってこと。」

「白に………………って、どういう。」

「蒼くんの髪。染まり始めてるんじゃないかな。僕の屋敷の客人が言っていた〝変色童〟の意味って。______________色が変わってしまうってことなんじゃない。」

色が変わる…………。いろが_______変わる。
あの屋敷には毎日のように通っていた、でも。月に数日、会えなかったことがある。




それは__________何で?
それは、どんな日だった。



「雨の日だ。」

おーさまの側近に春が捕まった日、あの日何故。カラコンをしていたのか分からなかった。まるで、捕まることが分かっていたみたいにつけていたから。それ以外の日は……………………どうだったっけ。

「………矢井島。今日、天気予報って雨だったか」

「………ううん。急に降ってきたものだと思うけど。今日、そんな予報なかったと思うよ」


俺はリビングを出ようとすると転校生が真っ青な顔をして目の前に立っていた。


「西方………?どうかしたのか。」

転校生を不審に思って肩に触れるが転校生は反応を示さなかった。そして、再び雷の落ちる音が部屋に轟くと、俺へと抱きついてきた。抱きついてきた転校生が身体を震わせていることに気づいて転校生をよく見ていたら、浅い呼吸を繰り返していた。

「_______ないで…………。お願いっ。」

「西方?おい、大丈夫か。」

「行かないで。」

「苦しいのか」

行かないでと悲痛な声で言い続ける
転校生の瞳からは止まることを知らない涙が滑り落ちていく。浅い呼吸を繰り返しているのに、譫言のように話し続けているせいか呼吸が荒くなっていく。


「ごめ、なさい。……………………行かないで。」


転校生が俺の胸に顔を埋めて、まるで縋るように俺のシャツを握る。俺から見えるのは白い頸だけで転校生がどんな顔をしてるのか分からない。



「矢井島。保険医のとこに行くぞ」

「分かった。でも、ちょっと待って。せめて、西方くんあったかい格好させないとだから」



転校生の頼りない背中に腕を回して抱き上げる
俺の行動に西方は肩をびくりと震わせた後に
また、顔を深く埋めた。


「大丈夫。……………。宵_______大丈夫だから。」


苦しそうな西方の背をさすりながら、それでも俺の頭の中を埋め尽くすのは西方のことではなかった。




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