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第4章「橘風佳はそこそこ侮れない」
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「皆、バスの席は自由にして良いわよ」
校長の有り難い長話を終えて、いざバスに乗り込まんとクラスの全員が列に並んだところで、担任の早川先生がそう言った。
クラスメイトたちがざわめきだし、「自由? やった! 隣になるチャンスじゃん!」 ……などなど、様々な声がバス待ちの間に飛び交う。
「名簿順で良いじゃんな?」
少々不満気な矢渕。
まあ、言いたいことは大体わかる。
バスに乗り込む順番が名簿の早い順となっている以上、最後の方となるオレや矢渕は空いている席に座るしかないのだ。
つまり、仲の良い奴の隣に座れる確率が極端に低い。
……オレは別に誰の隣だろうと気にしないけどな。
「世の中不平等だらけだ」
矢渕はそうぼやくと前にいた女子に話し相手になってもらおうとした様だが、速攻でフラれていた。
ご愁傷様。
さて、バスに乗り込む順番が回ってきた。
仲の良いグループで固まっている連中はワイワイと騒ぎ、初めましてで隣になったらしい連中は探り探りの会話をしている。
柊は……と奥に進みながら探していると、窓の外をじっと眺めている蟻塚に一生懸命話題を振る彼女の姿を発見した。
なかなか苦戦しているようだ。
こちらに気付いた柊が軽く手を振ってきたのでオレも手を振り返す。
と、そうこうしているうちに空いている席を見つけた。
隣は……。
「おっ、ウチの隣は級長か~。ちょっと安心」
橘だった。
「見知った相手で良かった~」
「橘でも気まずいとか思ったりするのか?」
「そりゃするよ~。ちなみに今もちょっと安心しつつ気まずくもある」
「男女が隣同士は珍しいしな」
「いや、まあ、それもあるけど~。級長的には柊ちゃんの隣が良かったんじゃない?」
「なんで?」
「いつもすご~く仲良さそうにしてるでしょ?ひょっとしたら付き合ってるんじゃないかな~、みたいな?」
「別に付き合ってねーよ」
ぶっきらぼうにそう答えると、橘は「ふ~ん」と何か含みがありそうな相槌をうつ。
「なんだよ」
「鈍感なのかな~って思ってさ。柊ちゃんって級長と話してる時だけ乙女な顔してるの気付いてる?」
「……は?」
乙女な顔?なんだそれ。
「乙女の顔知らないマジか~。まあ、でも人の恋路をあんまり邪魔したら悪いよね~。深追いはしないでもろて~」
そう言うと、橘は窓の外に視線を移す。
オレは釈然としない気持ちを抱えながら、肘掛けに肘をついてバスが発車するまでの時間を待った。
校長の有り難い長話を終えて、いざバスに乗り込まんとクラスの全員が列に並んだところで、担任の早川先生がそう言った。
クラスメイトたちがざわめきだし、「自由? やった! 隣になるチャンスじゃん!」 ……などなど、様々な声がバス待ちの間に飛び交う。
「名簿順で良いじゃんな?」
少々不満気な矢渕。
まあ、言いたいことは大体わかる。
バスに乗り込む順番が名簿の早い順となっている以上、最後の方となるオレや矢渕は空いている席に座るしかないのだ。
つまり、仲の良い奴の隣に座れる確率が極端に低い。
……オレは別に誰の隣だろうと気にしないけどな。
「世の中不平等だらけだ」
矢渕はそうぼやくと前にいた女子に話し相手になってもらおうとした様だが、速攻でフラれていた。
ご愁傷様。
さて、バスに乗り込む順番が回ってきた。
仲の良いグループで固まっている連中はワイワイと騒ぎ、初めましてで隣になったらしい連中は探り探りの会話をしている。
柊は……と奥に進みながら探していると、窓の外をじっと眺めている蟻塚に一生懸命話題を振る彼女の姿を発見した。
なかなか苦戦しているようだ。
こちらに気付いた柊が軽く手を振ってきたのでオレも手を振り返す。
と、そうこうしているうちに空いている席を見つけた。
隣は……。
「おっ、ウチの隣は級長か~。ちょっと安心」
橘だった。
「見知った相手で良かった~」
「橘でも気まずいとか思ったりするのか?」
「そりゃするよ~。ちなみに今もちょっと安心しつつ気まずくもある」
「男女が隣同士は珍しいしな」
「いや、まあ、それもあるけど~。級長的には柊ちゃんの隣が良かったんじゃない?」
「なんで?」
「いつもすご~く仲良さそうにしてるでしょ?ひょっとしたら付き合ってるんじゃないかな~、みたいな?」
「別に付き合ってねーよ」
ぶっきらぼうにそう答えると、橘は「ふ~ん」と何か含みがありそうな相槌をうつ。
「なんだよ」
「鈍感なのかな~って思ってさ。柊ちゃんって級長と話してる時だけ乙女な顔してるの気付いてる?」
「……は?」
乙女な顔?なんだそれ。
「乙女の顔知らないマジか~。まあ、でも人の恋路をあんまり邪魔したら悪いよね~。深追いはしないでもろて~」
そう言うと、橘は窓の外に視線を移す。
オレは釈然としない気持ちを抱えながら、肘掛けに肘をついてバスが発車するまでの時間を待った。
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