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30 さらわれた⁉
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「さむ…」
あまりの寒さに目覚める。
5月だが朝晩は冷え込む。
目の前の景色は馴染みあるベルツ家のものでもなく、私の知っている侯爵家屋敷のどの部屋でもない。
公爵夫人の寝室に入ってきた二人の男に、霧状のものを吹きかけられたからの記憶がない。
冷たい床に、塗装がはがれかけた壁が四方を囲む狭い部屋、窓もなく地下室だろうか。全く知らない場所だ。
起き上がり自身を確認すると、衣服の乱れはなく……つまり寝巻のままで、拘束もされていない。
目の前にある唯一の扉は、木製でかなりの年代物だ。
ひょろひょろの私でも、体当たりすれば鍵を壊せるかなと思う。
人の気配が近づいてくる。
とっさにまた寝転び、まだ意識を失っているふりをする。
顔まわりを髪で覆い、薄目を開けても分からないようにする。
夜更かしを怒られないように身に着けた、幼少期からの知恵だ。
ドアが開けられいきなり明るくなってよく見えないが……
「のんきなもんだ。まだ、寝てるのか?」
この声、ビアンカだ!
ビアンカの後ろには、私の寝室に押し入ってきた二人の男もいる。
「ははっ! しかし良くやった! レオンはすぐにこの小娘がいないことに気が付くだろうけど、『結界があるから外にいるはずはない!』って思って今頃、必死に屋敷内を探し回っているんだろうね」
ビアンカは興奮しているのか、声も大きく息も荒い。
「ホント、のろま! 結界の許可者があたしのうちに、さっさと連れ出してやったってーの!」
そうか…レオンハルト様は私がさらわれて、屋敷の外にいる事を知らない?
「あと1時間もしたらさすがに目覚めるか……はっは! そうしたらこの女を褒美にお前らにやろう! めちゃくちゃにしていい! 何なら殺してもいいぞ!」
「はい」
「……はい」
二人の男が無表情に答える。
「レオンは悔しがるだろうな! 抱きたくて堪らない女を自分は抱けないのに、他の男に処女を奪われて殺されるなんて! 泣くだろうなぁ~~ははは! 命の恩人の私を蔑ろにした罰だ! 良い躾になる!」
笑いながらビアンカと男たちは、この部屋から出て行った。
「ふぅ~」
1時間後に奴らはまた来る。
さぁ、どうする?
レオンハルト様は、私が屋敷から連れ出されたのを知らない……かもしれない。
何とか知らせる方法は、ないのか……?
『私たちは魂で繋がっているんだよ? 人間の君には分からないだろうけど、私には分かる! だから君がビアンカに傷つけられたのもすぐ感知して助けに行っただろう?』
レオンハルト様の秘密を聞いた時の彼の言葉を思い出す。
「私が傷つけられたら、レオンハルト様には分かる? ……居場所も分かる?」
レイプされたら、感知はできるだろうけど……
「それじゃ、手遅れよね」
屋敷からここまでの距離も分からないし、間に合わなくて凌辱のあと、最悪殺されてしまっているかもしれない。
それなら、先に
この前ビアンカにやられた程度の暴力をふるうように仕向けたら……?
それにあの二人の男、
「目がうつろで、動きも緩慢だった」
ビアンカは屋敷では、レオンハルト様の次に血が濃い魔族なんだよね?
魅了魔法が得意だと言っていたレオンハルト様。
もしかしたらビアンカも……
「二人の男の魅了が解けたら……ビアンカだけなら、逃げ出すチャンスはあるかも」
私は脱出するための作戦を、ひたすら考え続けた。
そうしていると1時間たったのか、ゆっくりとドアが開いた。
もちろん入ってきたのは、ビアンカと二人の男。
「ようやく目覚めたか、小娘」
「ビアンカさん? ここはどこなの?」
「はっ! お前は何も知らなくていい! ただここで死ね! 羽虫ほどの力しかない聖女くずれが『私のレオン』を誘惑した罰だ!」
いえ、再度言います。
羽虫ではなく、アリンコです。
で、ここからが私の作戦開始だ!
あまりの寒さに目覚める。
5月だが朝晩は冷え込む。
目の前の景色は馴染みあるベルツ家のものでもなく、私の知っている侯爵家屋敷のどの部屋でもない。
公爵夫人の寝室に入ってきた二人の男に、霧状のものを吹きかけられたからの記憶がない。
冷たい床に、塗装がはがれかけた壁が四方を囲む狭い部屋、窓もなく地下室だろうか。全く知らない場所だ。
起き上がり自身を確認すると、衣服の乱れはなく……つまり寝巻のままで、拘束もされていない。
目の前にある唯一の扉は、木製でかなりの年代物だ。
ひょろひょろの私でも、体当たりすれば鍵を壊せるかなと思う。
人の気配が近づいてくる。
とっさにまた寝転び、まだ意識を失っているふりをする。
顔まわりを髪で覆い、薄目を開けても分からないようにする。
夜更かしを怒られないように身に着けた、幼少期からの知恵だ。
ドアが開けられいきなり明るくなってよく見えないが……
「のんきなもんだ。まだ、寝てるのか?」
この声、ビアンカだ!
ビアンカの後ろには、私の寝室に押し入ってきた二人の男もいる。
「ははっ! しかし良くやった! レオンはすぐにこの小娘がいないことに気が付くだろうけど、『結界があるから外にいるはずはない!』って思って今頃、必死に屋敷内を探し回っているんだろうね」
ビアンカは興奮しているのか、声も大きく息も荒い。
「ホント、のろま! 結界の許可者があたしのうちに、さっさと連れ出してやったってーの!」
そうか…レオンハルト様は私がさらわれて、屋敷の外にいる事を知らない?
「あと1時間もしたらさすがに目覚めるか……はっは! そうしたらこの女を褒美にお前らにやろう! めちゃくちゃにしていい! 何なら殺してもいいぞ!」
「はい」
「……はい」
二人の男が無表情に答える。
「レオンは悔しがるだろうな! 抱きたくて堪らない女を自分は抱けないのに、他の男に処女を奪われて殺されるなんて! 泣くだろうなぁ~~ははは! 命の恩人の私を蔑ろにした罰だ! 良い躾になる!」
笑いながらビアンカと男たちは、この部屋から出て行った。
「ふぅ~」
1時間後に奴らはまた来る。
さぁ、どうする?
レオンハルト様は、私が屋敷から連れ出されたのを知らない……かもしれない。
何とか知らせる方法は、ないのか……?
『私たちは魂で繋がっているんだよ? 人間の君には分からないだろうけど、私には分かる! だから君がビアンカに傷つけられたのもすぐ感知して助けに行っただろう?』
レオンハルト様の秘密を聞いた時の彼の言葉を思い出す。
「私が傷つけられたら、レオンハルト様には分かる? ……居場所も分かる?」
レイプされたら、感知はできるだろうけど……
「それじゃ、手遅れよね」
屋敷からここまでの距離も分からないし、間に合わなくて凌辱のあと、最悪殺されてしまっているかもしれない。
それなら、先に
この前ビアンカにやられた程度の暴力をふるうように仕向けたら……?
それにあの二人の男、
「目がうつろで、動きも緩慢だった」
ビアンカは屋敷では、レオンハルト様の次に血が濃い魔族なんだよね?
魅了魔法が得意だと言っていたレオンハルト様。
もしかしたらビアンカも……
「二人の男の魅了が解けたら……ビアンカだけなら、逃げ出すチャンスはあるかも」
私は脱出するための作戦を、ひたすら考え続けた。
そうしていると1時間たったのか、ゆっくりとドアが開いた。
もちろん入ってきたのは、ビアンカと二人の男。
「ようやく目覚めたか、小娘」
「ビアンカさん? ここはどこなの?」
「はっ! お前は何も知らなくていい! ただここで死ね! 羽虫ほどの力しかない聖女くずれが『私のレオン』を誘惑した罰だ!」
いえ、再度言います。
羽虫ではなく、アリンコです。
で、ここからが私の作戦開始だ!
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