【完結】可愛そうなアリンコ聖女に可哀そうなキラキラ侯爵様が離縁したくないと泣きついてきたんだけど⁉ 【番外編あり】

水星 とも

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36 ペンダントを下さった女神様の正体

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 侯爵邸の当主寝室で、レオンハルト様の告白を神官長様と一緒に聞いていた私。

 その告白によれば私が幼少期、男爵領でお会いしていた女神様と思っていた女性、それは……

「女神様が、レオンハルト様……」

 何故私は、そんな盛大な勘違いをしてしまったのか!

「私は何故女性だと……」

「異国の民族衣装を着ていたんだ。シンプルなドレスのような」

「白い髪は……」

「白い布で髪を覆っていたんだ」

「ピ…ピンクの瞳は……」

「それに関しては分からないけど、白い衣装が反射して赤紫の瞳がピンクに見えたのかなぁ~」


 盛大な勘違いに、赤面する。
 直接女神様からお言葉を頂くなんて、大聖女ならありえるだろうけど、下級聖女、アリンコレベルの聖女が、そんなありがたい体験ができるわけない! 
 そんな当たり前のことに、気が付かないなんて……

「すいません! 私なんて恥知らずなんだろう……!」

 地面にめり込みたいほど、恥ずかしい!

「違うよ! ボクが男だと分かったら警戒されるかもって、小さな誤解をそのままにアリーシアを騙したんだよ! アリーシアは悪くない!」

 必死に反論して下さるレオンハルト様の言葉に、のんびりした神官長様の声が重なる。

「そうだよ~実に可愛らしいエピソードじゃないか。神殿の文献にも『ここでソフィア様に会った』『ここでお言葉をもらった』なんて書いてるけどね~ほとんどが眉唾ものだよ? 
 でもさ、それでいいんじゃないの? アリーシアはレオンを女神様だと信じて聖女になってくれたんだろ? そして祈ってくれた。その事実が大事なんだよ」

「…はい」

 わずかしか力がないけれど、朝夕真摯に祈りを捧げた。
 国の平和を、人々の幸せを、女神への感謝を。
 そして……

「レオンハルト様に感謝を。私を聖女の道へ導いて下さいました。そして今回のフリージアとの戦争も止めて下さったのですね。ありがとうございます。」

 結婚早々不在にされて、王女やビアンカにいじめられて、浮気されて……でもそれには事情があって……そんなことに私が腹を立てていた間、レオンハルト様は戦争を止めて何万にもの命を救ったのだ!

「ボク頑張ったんだよ! アリーシアが褒めてくれてうれしい!」

 にこにことベッドに横たわったまま、微笑むレオンハルト様に、私もほほえみ返す。
 でも、彼の呼吸は荒く、顔色は真っ白なままだ。

「神聖力をお返しするのは、いつできますか?」

 振り返り神官長様に、真顔で告げる。

「いつでも……今すぐにでも」

 そう答えた神官長様の顔は、少し青ざめていた。




 結果から言うと、神聖力はあっけなくお返しできた。

 誰もいない祈りの部屋。
 聖女の頃、いつも拝していた女神像。
 連れてきて下さった神官長様が、胸のペンダントを指さし仰った。

「それは外そうか」

「ペンダントをですか?」

 これはレオンハルト様が下さったもので、女神様とは関係ないはず。

「それは、レオンの……魔族のものだから神聖力とは相性が良くないんだ」

「あぁ…はい」

 ペンダントを外す。
 ずっとつけていたものだからか変な感じだ。

 肩の重しが取れたような? 解放されたような?


「は…早く祈って! 女神に『全てをお返しします』って!」

「はい」

 女神様のお顔を見上げ、祈る。

 すると身体が爆発するような、膨大な何かが流れ出すような激しい衝撃が起こり、私は意識を失った。
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