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婚約破棄されて3000回
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また、またか――。
これで婚約破棄は2980回目。
わたくしはループを繰り返し、繰り返し、永遠に繰り返していた。
いつかの幸せを掴む為に。
でも、その日は中々やって来ない。
二度と来ないのかもしれない。
そういう風に思う時もあった。
それでも、わたくしは諦めなかった。
あの人……セレスティア辺境伯に振り向いて戴けるまで、わたくしは何度も繰り返す。何度も、何度も。
その度に、屋敷では何度も惨劇が繰り返された。
わたくしの妹シリカは、必ずセレスティア辺境伯に手を出していた。その結果、婚約破棄を言い渡され、その瞬間にナイフで心臓を一突きした。妹も自身さえも。
妹のシリカは、誰にでも優しくて愛嬌があった。そんな彼女は、わたくしの気持ちを知りながらも辺境伯を振り向かせようと必死だった。
酷い子。
そんな酷い子は妹ではないわ。
幸い、わたくしには聖女の力があった。
シュレーディンガーの呪いとか、禁書庫にある本で見かけた。それが繰り返しの原因になっているみたい。でも、正直あまり興味はなかった。
これはそういう呪いの類ではなく、わたくしの執念であり、愛なの。この愛が永遠である限り、彼を諦めない。
彼をどうしたら振り向かせられるのか。これほど繰り返しても、その答えに辿り着く事はなかった。
これほどの回数ともなると、彼を殺すことにも何の躊躇いもなくなっていた。婚約破棄が続く限り、刺し傷も増していった。
――ああ、わたくし、残虐になっているみたい。
血塗れの死体を見て、つい口元が綻んでしまう。
2998回目。
いよいよ3000回も見えて来た頃に変化が訪れた。
彼はなんの脈略もなく身体の痛みを訴え、寝込んだ。その部位は、わたくしが散々愛憎を篭めて刺してきた場所だった。
この回数に来てそんな副作用的なものが出たらしい。
こう何もないのに苦しまれると、わたくしの心も辛かった。……もう彼を苦しめたくない。記念すべき3000回に到達しても尚、妹に振り向くのなら、わたくしは、今度こそ終わらせようと思った。
もう手に入らないのなら、妹だけを殺し続けよう。そう結論に至った。
2998回目も結局、彼は妹に振り向いた。
殺した。
2999目。
いよいよ後がない。
殺した。
3000回目。
もう、これで……終わりだ。
絶望に涙し、床に臥す彼を看病していると、突然、アムール、キミを愛していると弱々しい言葉で告白された。そんな事、今まで一度も言われなかったのに。急に、どうして――。
彼は繰り返し、愛してるって優しく言葉を掛けてくれた。……そっか、とうとうわたくしの想いが伝わったのだ。
この繰り返しは決して無駄ではなく、妹の想いすら超越したようだ。そう、わたくしとシリカでは愛の重さが桁違いだった。
わたくしは3000回も彼を愛した。
それがやっと成就したんだ。
わたくしも愛していると告げて、辺境伯と想いを添い遂げた。この日、妹のシリカは、辺境伯をまたも奪おうとしたが、そっぽを向かれて失敗に終わった。相手にすらされていなかった。
深いショックを受けた妹は、屋敷を出て行った。これでもう、わたくしと彼の間を裂こうとする者は居なくなった。
それから毎日、溺愛が続いて幸せに暮らした。
3000回愛してる。
これで婚約破棄は2980回目。
わたくしはループを繰り返し、繰り返し、永遠に繰り返していた。
いつかの幸せを掴む為に。
でも、その日は中々やって来ない。
二度と来ないのかもしれない。
そういう風に思う時もあった。
それでも、わたくしは諦めなかった。
あの人……セレスティア辺境伯に振り向いて戴けるまで、わたくしは何度も繰り返す。何度も、何度も。
その度に、屋敷では何度も惨劇が繰り返された。
わたくしの妹シリカは、必ずセレスティア辺境伯に手を出していた。その結果、婚約破棄を言い渡され、その瞬間にナイフで心臓を一突きした。妹も自身さえも。
妹のシリカは、誰にでも優しくて愛嬌があった。そんな彼女は、わたくしの気持ちを知りながらも辺境伯を振り向かせようと必死だった。
酷い子。
そんな酷い子は妹ではないわ。
幸い、わたくしには聖女の力があった。
シュレーディンガーの呪いとか、禁書庫にある本で見かけた。それが繰り返しの原因になっているみたい。でも、正直あまり興味はなかった。
これはそういう呪いの類ではなく、わたくしの執念であり、愛なの。この愛が永遠である限り、彼を諦めない。
彼をどうしたら振り向かせられるのか。これほど繰り返しても、その答えに辿り着く事はなかった。
これほどの回数ともなると、彼を殺すことにも何の躊躇いもなくなっていた。婚約破棄が続く限り、刺し傷も増していった。
――ああ、わたくし、残虐になっているみたい。
血塗れの死体を見て、つい口元が綻んでしまう。
2998回目。
いよいよ3000回も見えて来た頃に変化が訪れた。
彼はなんの脈略もなく身体の痛みを訴え、寝込んだ。その部位は、わたくしが散々愛憎を篭めて刺してきた場所だった。
この回数に来てそんな副作用的なものが出たらしい。
こう何もないのに苦しまれると、わたくしの心も辛かった。……もう彼を苦しめたくない。記念すべき3000回に到達しても尚、妹に振り向くのなら、わたくしは、今度こそ終わらせようと思った。
もう手に入らないのなら、妹だけを殺し続けよう。そう結論に至った。
2998回目も結局、彼は妹に振り向いた。
殺した。
2999目。
いよいよ後がない。
殺した。
3000回目。
もう、これで……終わりだ。
絶望に涙し、床に臥す彼を看病していると、突然、アムール、キミを愛していると弱々しい言葉で告白された。そんな事、今まで一度も言われなかったのに。急に、どうして――。
彼は繰り返し、愛してるって優しく言葉を掛けてくれた。……そっか、とうとうわたくしの想いが伝わったのだ。
この繰り返しは決して無駄ではなく、妹の想いすら超越したようだ。そう、わたくしとシリカでは愛の重さが桁違いだった。
わたくしは3000回も彼を愛した。
それがやっと成就したんだ。
わたくしも愛していると告げて、辺境伯と想いを添い遂げた。この日、妹のシリカは、辺境伯をまたも奪おうとしたが、そっぽを向かれて失敗に終わった。相手にすらされていなかった。
深いショックを受けた妹は、屋敷を出て行った。これでもう、わたくしと彼の間を裂こうとする者は居なくなった。
それから毎日、溺愛が続いて幸せに暮らした。
3000回愛してる。
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