3 / 5
言葉も反射する
これでもうエヴァと会う事はないと――そう思っていた。
けれど。
「ちょっと待ってよ、ブルース先生!」
「なんだい、エヴァ」
「そんな女より、わたくしを選ぶべきよ! わたくしは何だってしてあげられるし、絶対に幸せになれるんだから」
「そうかもね。それでも僕はエイラを取る」
「……なんで。そんな価値のない女なんて――!!」
声を荒げるエヴァ。
その瞬間には“言葉”が反射して、エヴァへ跳ね返った。
エヴァは、自分を“価値のない女”とつぶやき落ち込んでいた。……え、反射ってこんな事も可能なの?
「ブルース、これは……」
「ああ、反射の効果だ。エヴァは今、自分の口にした言葉によって自滅した。まさに自業自得」
つまり、そういう事だった。
エヴァの放った暴言が自分へ返ったんだ。
結果、彼女は自分の言葉によって傷つけられた。
それも、物理的にも精神的にも。
よく見ると、エヴァの腕には『価値のない女』と裂傷で刻まれていた。……うわ、なにあの傷。
「……痛い。痛いです。腕も心も」
「エヴァ、言葉は武器だ。相手を傷つけたり、時には殺す場合もある。特にエイラ相手には控えた方がいい。彼女は“すべてを反射”する能力を持つのだから」
ついにエヴァは虚無になった。
背を向けトボトボと帰っていく。
まるで廃人みたい。
* * *
お屋敷に戻り、ブルースを迎えた。
ちょうどお父様とお母様が出迎えてくれて、ブルースの顔を見て驚く。
「おぉ、ブルースくん! 久しぶりだな」
お父様もお母さまもブルースを好意的に歓迎する。昔から、彼を気に入ってくれていた。
「お二人ともお元気そうで良かったです」
「腰が悪い以外は普通だよ。ところで、ブルースくん、君は隣国オルドビスの教授だそうだね」
「ええ、もう一年以上になります。エイラの特異体質を治療する為に尽力していました」
「そうだったのか。娘の為に! ありがとう。エイラは昔から不運に見舞われていた。誰かに呪いを掛けられているんじゃないかとも疑ったが……原因不明。
だけど、ブルースくんなら期待してもよさそうだな」
「お任せください。エイラの不運は必ず取り除いてみせます」
そう断言してくれて、わたしは嬉しかった。
でも、反射が発動してからは一度も不幸にはなっていなかった。なんでだろう?
ふとブルースを見る。
もしかして……ブルースが傍にいるから?
だとすれば、ブルースを離すわけにはいかない。誰にも渡さない。
けれど。
「ちょっと待ってよ、ブルース先生!」
「なんだい、エヴァ」
「そんな女より、わたくしを選ぶべきよ! わたくしは何だってしてあげられるし、絶対に幸せになれるんだから」
「そうかもね。それでも僕はエイラを取る」
「……なんで。そんな価値のない女なんて――!!」
声を荒げるエヴァ。
その瞬間には“言葉”が反射して、エヴァへ跳ね返った。
エヴァは、自分を“価値のない女”とつぶやき落ち込んでいた。……え、反射ってこんな事も可能なの?
「ブルース、これは……」
「ああ、反射の効果だ。エヴァは今、自分の口にした言葉によって自滅した。まさに自業自得」
つまり、そういう事だった。
エヴァの放った暴言が自分へ返ったんだ。
結果、彼女は自分の言葉によって傷つけられた。
それも、物理的にも精神的にも。
よく見ると、エヴァの腕には『価値のない女』と裂傷で刻まれていた。……うわ、なにあの傷。
「……痛い。痛いです。腕も心も」
「エヴァ、言葉は武器だ。相手を傷つけたり、時には殺す場合もある。特にエイラ相手には控えた方がいい。彼女は“すべてを反射”する能力を持つのだから」
ついにエヴァは虚無になった。
背を向けトボトボと帰っていく。
まるで廃人みたい。
* * *
お屋敷に戻り、ブルースを迎えた。
ちょうどお父様とお母様が出迎えてくれて、ブルースの顔を見て驚く。
「おぉ、ブルースくん! 久しぶりだな」
お父様もお母さまもブルースを好意的に歓迎する。昔から、彼を気に入ってくれていた。
「お二人ともお元気そうで良かったです」
「腰が悪い以外は普通だよ。ところで、ブルースくん、君は隣国オルドビスの教授だそうだね」
「ええ、もう一年以上になります。エイラの特異体質を治療する為に尽力していました」
「そうだったのか。娘の為に! ありがとう。エイラは昔から不運に見舞われていた。誰かに呪いを掛けられているんじゃないかとも疑ったが……原因不明。
だけど、ブルースくんなら期待してもよさそうだな」
「お任せください。エイラの不運は必ず取り除いてみせます」
そう断言してくれて、わたしは嬉しかった。
でも、反射が発動してからは一度も不幸にはなっていなかった。なんでだろう?
ふとブルースを見る。
もしかして……ブルースが傍にいるから?
だとすれば、ブルースを離すわけにはいかない。誰にも渡さない。
あなたにおすすめの小説
この国では魔力を譲渡できる
ととせ
恋愛
「シエラお姉様、わたしに魔力をくださいな」
無邪気な笑顔でそうおねだりするのは、腹違いの妹シャーリだ。
五歳で母を亡くしたシエラ・グラッド公爵令嬢は、義理の妹であるシャーリにねだられ魔力を譲渡してしまう。魔力を失ったシエラは周囲から「シエラの方が庶子では?」と疑いの目を向けられ、学園だけでなく社交会からも遠ざけられていた。婚約者のロルフ第二王子からも蔑まれる日々だが、公爵令嬢らしく堂々と生きていた。
【短編】将来の王太子妃が婚約破棄をされました。宣言した相手は聖女と王太子。あれ何やら二人の様子がおかしい……
しろねこ。
恋愛
「婚約破棄させてもらうわね!」
そう言われたのは銀髪青眼のすらりとした美女だ。
魔法が使えないものの、王太子妃教育も受けている彼女だが、その言葉をうけて見に見えて顔色が悪くなった。
「アリス様、冗談は止してください」
震える声でそう言うも、アリスの呼びかけで場が一変する。
「冗談ではありません、エリック様ぁ」
甘えた声を出し呼んだのは、この国の王太子だ。
彼もまた同様に婚約破棄を謳い、皆の前で発表する。
「王太子と聖女が結婚するのは当然だろ?」
この国の伝承で、建国の際に王太子の手助けをした聖女は平民の出でありながら王太子と結婚をし、後の王妃となっている。
聖女は治癒と癒やしの魔法を持ち、他にも魔物を退けられる力があるという。
魔法を使えないレナンとは大違いだ。
それ故に聖女と認められたアリスは、王太子であるエリックの妻になる! というのだが……
「これは何の余興でしょう? エリック様に似ている方まで用意して」
そう言うレナンの顔色はかなり悪い。
この状況をまともに受け止めたくないようだ。
そんな彼女を支えるようにして控えていた護衛騎士は寄り添った。
彼女の気持ちまでも守るかのように。
ハピエン、ご都合主義、両思いが大好きです。
同名キャラで様々な話を書いています。
話により立場や家名が変わりますが、基本の性格は変わりません。
お気に入りのキャラ達の、色々なシチュエーションの話がみたくてこのような形式で書いています。
中編くらいで前後の模様を書けたら書きたいです(^^)
カクヨムさんでも掲載中。
答えられません、国家機密ですから
ととせ
恋愛
フェルディ男爵は「国家機密」を継承する特別な家だ。その後継であるジェシカは、伯爵邸のガゼボで令息セイルと向き合っていた。彼はジェシカを愛してると言うが、本当に欲しているのは「国家機密」であるのは明白。全てに疲れ果てていたジェシカは、一つの決断を彼に迫る。
婚約破棄された私と侯爵子息様〜刺繍も私も、貴方が離さない〜
ナナミ
恋愛
「ディアナ!お前との婚約を破棄する!」
ディアナ・コヴァー伯爵令嬢は、婚約者である伯爵子息に断罪され、婚約破棄されてしまった。
ある子爵令嬢に嫌がらせをしていたと言うことである。彼女には身に覚えのない冤罪であった。
自分は、やっていない、と言っても、婚約者は信じない。
途方に暮れるディアナ。そんな時、美形の侯爵子息であるフレット・ファンエスがやって来て……。
伯爵令嬢×美形侯爵子息の恋愛ファンタジー。
魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす
三谷朱花*Q−73@文フリ東京5/4
恋愛
ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。
ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。
伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。
そして、告げられた両親の死の真相。
家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。
絶望しかなかった。
涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。
雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。
そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。
ルーナは死を待つしか他になかった。
途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。
そして、ルーナがその温もりを感じた日。
ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。
「いらない」と捨てられた令嬢、実は全属性持ちの聖女でした
ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・エヴァンス。お前との婚約は破棄する。もう用済み
そう言い放ったのは、五年間想い続けた婚約者――王太子アレクシスさま。
広間に響く冷たい声。貴族たちの視線が一斉に私へ突き刺さる。
「アレクシスさま……どういう、ことでしょうか……?」
震える声で問い返すと、彼は心底嫌そうに眉を顰めた。
「言葉の意味が理解できないのか? ――お前は“無属性”だ。魔法の才能もなければ、聖女の資質もない。王太子妃として役不足だ」
「無……属性?」
何でもするって言うと思いました?
糸雨つむぎ
恋愛
ここ(牢屋)を出たければ、何でもするって言うと思いました?
王立学園の卒業式で、第1王子クリストフに婚約破棄を告げられた、'完璧な淑女’と謳われる公爵令嬢レティシア。王子の愛する男爵令嬢ミシェルを虐げたという身に覚えのない罪を突き付けられ、当然否定するも平民用の牢屋に押し込められる。突然起きた断罪の夜から3日後、随分ぼろぼろになった様子の殿下がやってきて…?
※他サイトにも掲載しています。