わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜

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連行された元婚約者

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 最後まで大暴れのフレンだったけれど、騎士たちに取り押さえられて連行された。

「ウィル様、彼は……」
「ヤツは多くの罪を重ねた極悪人。死刑になる」
「ですよね。分かりました」

 もう未練はこれっぽっちもない。
 同情もできない。
 助けようとも思わない。

 ただただ消えて欲しかった。

「それでは、俺は騎士団へ戻る。エレナ、困ったことがったらいつでも頼ってくれ」

 爽やかな笑みを浮かべ、金の髪を揺らすウィルは赤いマントを翻して去っていく。なんてカッコいいの。
 あんなに凛々しいのにまだ二十歳にもなっていないと聞いた。
 大きな騎士団を率いているし、どの騎士からも尊敬されている存在。

 なのに、女性の噂はひとつも聞かない。
 弱り切ったわたしの心を癒してくれないかなと、そんな届かない願いを抱いた。
 きっと無理ね。騎士団長ともなれば多忙の身だろうし、噂はなくとも好きな人くらいいるはず。


「……ありがとうございました」


 せめてお礼だけでもと言葉をかけた。
 するとウィルはこちらに振り向いた。


「その、エレナ……。今度、食事でもどうだい?」


 予想外のお誘いに、わたしは胸が高鳴った。まさか、想いが届いたの? それとも偶然? どんな理由であれ、わたしは嬉しくてたまらなかった。


「はい、喜んで」
「良かった。俺は人見知りが激しい方で……。お淑やかで、たおやかで……女神のように容姿端麗な君を誘っても振られてしまうんではないかと怖くてね」

「そんなことはありません。だって、ウィル様はわたしを救ってくださったではありませんか。恩人です」

「そう言ってくれて良かった」

 ウィルは、わたしの右手の甲にキスをした。
 この挨拶には色んな意味がある。
 敬愛や信頼、距離を縮めたいだとか。

 もしかして……チャンスあるかも。
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