じゃじゃ馬に愛の鎖を

03

俺がしっかりと頷けば、ボスが満足そうな顔をする。もうお説教タイムは終わったのか、ボスはゆっくりと手を伸ばし、強い力で俺を抱きしめた。
「……本当に、隼人が生きて帰ってきてくれてよかった」
噛みしめるようにそう言われて、心がじんわりと熱くなる。もう二度と、ボスに……司さんに心配をかけるような行動はしないようにしようと思った。
「俺も。また、司さんに会えて良かった」
俺の方からも強い力で彼を抱きしめる。まるで力比べでもしているかのように、お互いに強い力で抱きしめあった。もう二度と、離さないって言っているみたいに。

「司、さん」
名前で呼ぶ時は、完全にプライベートモードの合図。そしてそれは、エッチなことをする時に多い。だから逆に名前で呼ばれると、すぐにそういう気分になってしまう。
司さんは俺が名前を呼んだ意味を正確に受け取ってくれて、優しくも貪欲なキスを与えてくれた。
「んんっ、ふっ」
2人で息継ぎをするのすら忘れて貪りあう。お互いを失うかもしれない恐怖を感じたからか、いつもよりも求めあう時間が長くなる。
「飲んで」
少し口が離れたかと思えば、彼の唾液が上からトロリと垂れてくる。溢さないようにと、舌で受け止めてそれを飲み干した。
「ん、おいし……」
ヒナが親鳥から餌をもらうようなこの行為は、彼に生かされているようで頭がくらくらとした。司さんも俺がこれが好きなのを知っているようで、特別甘やかしてくれるときには必ずやってくれる。

「隼人、愛してる」
「俺も。司さんだけを、愛してる」
ぎゅっと抱きしめ合って、深い深いキスをする。

「お前は私を愛してくれるけど、私が愛してることもどうか忘れないで」
切なそうに言った司さんの言葉の意味をしっかりと理解することはできなかったけれど、これからはずっと側にいると、彼に誓った。