生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ

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20話

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「将軍、あまり無理をすると傷口が開きますよ!」

カインの忠告に耳を傾けず黙々と木製の人形に木剣を振るう。今のままではマズいと危機感を覚えた俺は、朝食を取ったあと真っ先に訓練場へ行った。

(傷口が開こうが構わない…。)

そう自分の心に言い聞かせ激しい訓練を行う。途中、木剣が折れてしまい何本か予備で倉庫から持ってきては振るうを繰り返す。精鋭部隊に入れなければグレンとの距離は絶たれてしまう。生前の頃は精鋭部隊にいたおかげでグレンの恋人になれたようなものだった。グレンと会えない、そんな不安が少しずつ弱りきっている心を侵食し始める。脇腹の傷はグレンと会えないという不安に比べると、足を踏まれた程度に感じられる。

バキッ

何度目かの木剣が折れる。俺は折れた木剣を見つめながら突っ立っていた。

「ケイラ将軍…」

カインがか細く名前を呼ぶ。いつもとは違う、誰にも見せたことの無い余裕のない俺をカインはどう思っているだろうか。



「~~!」
「~…」

突然、遠くから誰かの話し声が聞こえ、周囲にいた兵士が騒ぎ始める。だが振り向く気にも慣れない俺は折れた木剣を未だ握りしめて下を俯いている。

「…あっ!慧羅だ!」

訓練場には相応しくない透き通る様なそれでいて明るい声。聞き馴染みのある声に俺は不安を抱きながら振り向く。

「……え」

こちらに手を振っているソラと、ソラを愛おしそうに見つめているグレンがいた。グレンの姿が見れただけでも嬉しい筈なのに喜べない。まだソラを襲った刺客として疑われているからだろうか。いつになったら疑いは晴れるのだろうか。

ソラとグレンが俺の方へ近付いてくる。

(何を言われるんだろうか…)

そんな事を思いながらも視線はずっとグレンを追っている。


「大丈夫ですよ、将軍。僕も隣にいるので安心して下さい。腹が立ったら凶暴になるので、その時は止めてください。」

俺の服の袖をキュッと掴むと、小声で心強いことを言い、最後に冗談を言うカイン。
その言葉に強い安心感を覚えた後、俺は軽く笑った。緊張していたせいか身体が硬直していたようだった。

「ありがとう、カイン。心強い味方がいて嬉しいよ」

「将軍を理解しているのは僕だけです」

自慢げに言うカインに俺は心から感謝した。






━━━━━━「この折れた木剣は全てお前がやったのか?」

ソラが口を開きかけた時、真っ先に言葉に発したのはグレンだった。壊れた使い物にならない木剣を見ながら俺に話しかけてきた。俺は驚きつつも返事をした。

「…はい。こんなに使ってしまい申し訳ありません。」

「いや、それは構わない。」

何か考え事をしながら木剣を見るグレン。

(片付けろって事かな…)

そう判断した俺はー、

「今すぐ片付けます」

そう返事をして半分に折れた木剣を拾い集めながら森へと運んでいく。グレンは木剣を運ぶケイラをただ静かに眺めていた。
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