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まずはデートをしませんか?

噂が噂を読んでノリで決まった試験

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翌日、アカデミーは予想以上の事態となっておりました。

「聞きまして?お妃様選定について」

「えぇ、なんでもお一人お一人と向き合うだとか」

「向き合うって?どう言うことだ?」

「18のお誕生日に向けて、真剣に感れるということじゃないのか?」

「どうやって?」

「試験をして、優秀かどうかを決めるのか?」

「いいえ、気立の良さこそ王族には必須ですわ」

「向き合うと言うことはそれを判断すると言うことではないだろうか?」




ーつまり、お妃様を選ぶための試験が行われるのでは!?ー






と言う、噂がアカデミー中に広まってしまった。

以前、皇太子殿下とリリー様の3人で行ったカフェにアカデミーの生徒がいたらしく、
会話の部分部分のみを聞いていたその人たちが、勝手に話を盛り上げて広めてしまったのだ。


おそらくあの時の皇太子殿下の意思としては、
18になるまでの間、私たちとともに過ごす時間を増やして親睦を深め
お互いを知る機会を増やそう

くらいの話だったのだろう。

しかしそんなゴシップはつまらなかった外野の皆様は尾鰭は鰭をつけて話しを盛って噂を流した。


いつの間にか妃様候補の3人が、公開試験を行うと言う話になっていた。

それを聞きつけた国王陛下は「面白そう!」と言ってその話を実現させてしまった。


かくして数週間後から、急遽お妃様試験が始まることになった。
課題は後日改めて伝えられるらしい。



アカデミーの図書室、外がよく見える特等席で
この話を皇太子殿下から伺った私は、頭を抱えて座り込んだ。


「なんだか…どんどんおかしなことになっていってますわ。」


ただヒロインに好かれただけなのに、小説の流れから完璧に外れてしまいました。
いや、別にいいんですけれど…

回避したいともしたくないとも思っておりませんので。
なんなら予定調和な人生を歩むよりはマシですわ。


「…面目ない」


皇太子殿下が深々と頭を下げる。

皇太子殿下は、このような事態になってしまったことを真面目に謝罪するため、
候補一人一人にこうして手紙を渡し、話をしているらしい。

だから今ここにはリリー様はいない。
リリー様がアカデミーでこんなにも長い時間そばにいないのは久しぶりだ。

ただ、あまり心地よい雰囲気ではありませんが。

本来であれば、どのような事態になろうと皇太子が頭を下げるようなことは何もないし、
簡単に下の人間に頭を下げないでいただきたい。
威厳が損なわれてしまいます。


「ただ一人一人と時間をゆっくり取りたかっただけなんだけど、
父は父でかなり妃について悩んでたみたいで…
今回のことを聞いたら盛り上がってしまい…止められず」

「まぁ、確かに…
リリー様が私に告白した時点で、候補も何もあったものじゃないですわね。」

あとは皇太子様が選ぶだけと言うこの時点でこのスキャンダル。
それは簡単に「こっち!」なんて言って選べませんわ。

私はボーゼンと空に浮かぶ雲を見つめる。

どうして空は青いのかしら。


「とりあえず、試験内容はまだ決まってない」


知ってますわ、今皇太子殿下からいただいた手紙に書いてございますもの。


「そして、物によってはアカデミーで行われるものもある、
それについては公開試験…と言うことになるかもしれない」


それは初耳ですわ。


公開で試験なんてやられてしまっては、やりにくいったらない。


どうしましょう…
レフレイムとしては、妃に慣れた方がもちろん利益になりますが、
何も今世代の私が嫁がなければいけないほど権力も財政も衰えていない。

必死になる必要も理由もございませんし、
ここ何代か、巡り合わせの問題でライレイニからお妃様が出ていなかったはず
ライレイニとレフレイムの今後を考えるなら、今回はリリー様にした方が丸く収まる。


ならば…手を抜いて、リリー様にお妃様の座を譲るのも…

そう呟いて私は自分の拳で自分を思いっきり殴る。

「ローズ!?」

その光景を間近で見ていた皇太子殿下はその理解不能な行動に叫びをあげる。
どうか皇太子殿下、お気になさらないでください。

自分の美学に反し、小根の腐った野郎は
たとえ自分であろうといじめと暴力の対象なだけですわ。


ふ、何を弱気になっているのかしら。
どんなに嫌なことであろうと、全力でやることもせず文句を言うなんて。

全力でやった結果で落とされる以外、私が私を許しませんわ。

一度でもそのような適当なことをすれば、もう私に他人を批判する資格は永遠に失いますわ。

皇太子殿下もちゃんと向き合うとお約束してくださいましたし。


いいですわ。


お妃様に興味がないとはいえ、メリットがないわけではございません。


「皇太子殿下、ご安心くださませ、王命ですもの、必ずやり遂げてみせますわ。」

私は、皇太子に宣言する。

「君のそう言う真面目な部分、他の部分でも出るといいんだけどね」

そう言って肩を落としながらそう言ったかと思えば、
今度は手を差し伸べてくる。

「なんですの?この手は。」

「何って、デートのお誘いだよ」

「デートですの?」

また唐突に、試験の話からなんの脈らもなくそのようなお話をするのですわね。

「昨日、君たちと向き合いたいと言ったのは本心だ。
でもこのようなことになってしまって、注目の的だろう?
試験が始まれば、他のものの目が気になってそれどころじゃなくなるかもしれない」

皇太子殿下は、とある外野の生徒へ顔を向ける


そこには何かチケットを売っている生徒がいた。

そこでは名前が叫ばれている。

どうやら公開試験になるかもしれないということで、生徒間で賭け事が始まっているらしい。

「そうなると約束が果たせなくなるかもしれないからね、
だからその前に、君達とデートでもと思って。」

「なるほど、そう言うことですの。」

そういえば、長いこと皇族とお付き合いはございますが、
いつも複数人で、2人っきり………と言うのは初めてかもしれません。

「わかりましたわ、そのお申し出受けさせていただきますわ。」
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