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第一試験はおもてなし

ガーデンパーティーのおもてなし、素朴な焼き菓子

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あれから少し時が流れ、お茶会当日。

皇宮のガーデンには来賓の方々が訪れ大変賑わっておりました。
最初のお迎えの際、わたしたち妃候補3人は皇后様に連れられて来賓の方々一人一人に挨拶をいたしましたが、
今現在は各々おもてなしのためにここで動いておりました。

私のおもてなしは一番最後なので、しばらくガーデンの様子を見ていようと飲み物をいただいて様子を見ておりました。

「これはこれは、皇后陛下ご機嫌麗しゅう」

「この度はお声がけをいただきまして光栄ですわ」

来賓の方々が、次々と皇后陛下に声をかけられていらっしゃいました。
皆、見たことのある高貴な貴族の方々ばかり…もちろん聖4貴族のレフレイムの前には足元にも及びませんが、
繋がっておいて損のない方々ばかりですわ。

普段の夜会ほど人数は多くはなく、質素なものではあったけれど、
それでもガーデンでのお茶会は豪勢なものだった。

だからなのでしょうか、豪勢な料理が並べられている中で一際目を引くものがあった。
それは色とりどりのジャムの置かれたテーブルでした。

「皇后様、こちらのジャムは…もしやこのガーデンで取れるものでお造りになられたのでしょうか?」

「えぇ、その通り、我がガーデンの自慢のジャムですの」

「まぁ、なんと素晴らしい。」

「このガーデンの植物には、魔力がこもっていると伺います。
もしかして何か効果があるのではないでしょうか?」

「もちろん、美容にも健康にも効果は抜群ですわ」

マダムたちは皇后陛下のジャムのウンチクを聞くと、キャアキャアと話が盛り上がっておりました。
また、近くを通る若者たちにも皇后陛下は『恋のおまじないにも効きますのよ』と言ってジャムを食べるように勧めていた。
またしても若い女の子たちがキャアキャアと黄色い声をあげて喜んで食べていた。

そんな話が盛り上がっていたので、次から次へとジャムのテーブルに人々が集まり、気がつけば人だかりになっていた。

すると、その人だかりの中の人りが皇后陛下にこう質問をする。

「それでは、この質素なお菓子もこのガーデンのお菓子なのでしょうか?」

それは、皇宮で振る舞われるにしてはあまりにも質素な焼き菓子たち。

特に何も飾られていない、プレーンのスコーンやマドレーヌ、クッキーたちでした。
それらの味もとても質素で、素材の味で美味しいは美味しいのだけれど、甘さは控えめでそれ単体で食べると素朴な味だったのです。

私は意地が悪いのではっきりと申し上げましょう、まるで庶民用の安物のお菓子のような味。

あー…もっといえば…転生前の日本で食べたあれね。

ヘルシーが売りの、大豆で作ったドーナツ…あの味に似てますわ。

しかし、この評価は決して卑下しているものではございません。
こういったお菓子も美味しいことには間違いありませんし、この世界では食べませんが、
前世では案外こういうお菓子を好んで食べておりました。

それに、この味なのには何か訳があるはずですわ。

だって…

「この焼き菓子…実はガーデン…いいえ皇宮のシェフが作ったものじゃないのです」

「そうなのですか?」

「それでは一体…」

「彼女のお手製の焼き菓子です」

そう言って皇后陛下は、すぐ近くにいたリーブ様の方を指して紹介する。

「まぁ…これはこれはリフロントの…」

「なぜリフロントの令嬢がこのような」

お菓子の作り手を知るなり、皆が驚きの声をあげる。
その声に一切の声におじけ付くことなく、普通にいつも通りにリーブ様はドレスの裾を摘みなんてことはないいつも通りの笑顔でおじぎをする。

その様子を見た一堂は息を呑み、口をつぐんだ。

そして静かになったことを確認して皇后陛下が今日の説明をする。

「今日は皆様にもお伝えしておりましたように、細やかなお茶会を開かせていただくのと同時に、
皇太子妃の剪定試験を兼ねておりますの、今回の試験の内容は『おもてなし』。
彼女はそのテーマとして手作りのお菓子を振る舞うことにしたようです」

そう説明すると、周りに集まった人々は「おー」などの感嘆の声を上げた。
そして、リーブ様はお品書きを語り始めました。

「皆様、すでにそのままの状態でお菓子をお召し上がりいただいているかと思います。
皆様の率直な感想通り、こちらに並べられたお菓子はいずれも素朴な味になっているでしょう。
しかし、そのような味にしたのはわざとなのです。
これらのお菓子は全て、皇后陛下のガーデンで作られたジャムを引き立てるためのものなのですから。」

その発言を聞くとざわざわと周りがざわめいた。

リーブ様はそれを認めるとさらに続ける
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