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恐怖と熱い心

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レオside

「結局お金はそのまんまだ」
「ぷりゅいん……」
「なんか、僕が予想していたのと全然違う展開になったな」

 僕とぷるんくんは王都を歩いている。
 
グウウウウウウ!!!!!

「んん……」

 どうやらぷるんくんのお腹が空いたようだ。
 
「そうだな……そろそろ何か食べないとね」

 僕は落ち込んでいるぷるんくんを抱えて、タイリア市場のレストラン街を目掛けて歩いた。

 ぷるんくんとレストラン街でたらふく食べて、家に帰っていろんな準備をしていくうちに、すっかり夜になった。

 僕とぷるんくんはベッドで横になっている。
 
 昨日と今日はいろんなことがあった。

 お金を稼いだり、食材を買ったり、料理を作ったり、僕を助けてくれた二人の意外な面を知ったりと。

 しかし、こうやって横になると、僕を縛る不安が蘇ってくる。

 明日は学院に行かなければならない。

 アランとの決闘に勝ってから初めての登校になるが、正直に言って不安だ。

 アランはどうなるんだろう。

 そして他の貴族たちの反応も気になる。

 一介の平民に過ぎない僕が伯爵家の長男を倒したのだ。

 好ましく思わない連中がほとんどだろう。

 喉に何かがつっかえるような違和感が感じられる。

 だが、

「……」
「ぷるんくん……」
 
 横向きになっている僕の目の前にぷるんくんがやってきて僕の瞳を凝視した。
 
 きっといまだにぷるんくんがスライムだからと言って蔑ろにし、嫌悪している連中は多いだろう。

 学院にはカリナ様やサーラさんのような心優しい方もいらっしゃるが、そうでない人の方が圧倒的に多い。

 もしそんな連中がアランのようにぷるんくんのことを貶したり、馬鹿にしようものなら、

 僕はそいつらが貴族だろうと平民だろうと

 許さない。
 
 僕はぷるんくんの頭に手を乗せてなでなでしてあげた。

「んんんん」

 すると、ぷるんくんは目を瞑って気持ちよさそうに体を震わせている。

「ぷるんくん、おやすみ」

 月光が窓越しに差し込む部屋。

 古い木造の建物独特の匂いが僕の鼻を通り抜ける。

 自分に置かれた立場を考えると、恐怖という感情が僕の心を駆け巡る。

 だが、ぷるんくんのことを思うと、その恐怖という感情は謎の熱い気持ちによって打ち砕かれる気がした。

 

追記


病院に行きました。

急性胃炎だそうです。

読者の皆さんのおかげで、体調は良くなりつつあります!

ありがとうございます( ◠‿◠ )



次回から本格的にカリナちゃんの話が始まります!





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