47 / 50
第3章 不信な隣国
第42話 噂の料理人
しおりを挟む
今、僕はどうゆうわけか、滞在中の宿の厨房で多量の料理を作っている。
それは、依頼主の要望に合う宿を探す事から始まった。
条件として、厨房の使用を許されるそれ相応の宿という難題を出され、ようやく条件に合った宿が見つかり、宿の従業員へお近づきの印として振る舞った料理が原因だった。
「「「私達にご教授下さい!」」」
どうやらこの宿に勤める料理人らしい三人の男女が、僕の前で頭を下げて懇願してきた。
「・・・・・・はい?」
僕は突然の申し出に困惑した。
事情を聞いたところ、やはり彼等はこの宿に勤める料理人であり、高齢の料理長の下で下働きをしながら、一人前の料理人になる為に修行中の身という事だった。
しかし師である料理長が体調を崩してからというもの、それぞれ己の身の振り方を考えよ。と、言い渡されて途方に暮れながらも宿の仕事を細々と続けていた様だ。
「お話は判りましたが、僕は冒険者であって料理人ではありません」
「ではなんでわざわざ厨房を借りてまで料理をしているのですか?」
「それは今回の依頼主が僕の料理を気に入られましたので、依頼の間だけという条件で仕方なく料理している次第です」
僕は今の状況を彼等へ説明した。
「では、当宿に滞在している間だけでも見学させて戴けませんか?」
「・・・・見学だけですよ?」
「「「はい!」」」
僕はあくまでも見学のみと条件を付けて、彼等の申し出を受ける事にした。
しかし、これが間違いだった。
僕がアリー王女の料理をしていると、他の客が僕を宿の料理人と誤解して次々と料理を注文してくるのである。
僕は事情を説明して断るのだが、料理の匂いに食欲を刺激された客はこちらの言い分を全く聞かず、子供から大人まで厨房へと人が集まってくる状況に、仕方なく適当に料理を出してその場は治めたのだが、次の日になると、どうやら口コミで情報が広まってしまった様で、さらに多くの客が集まってきた。
その様子を見たアリー王女は「このまま続けよ」と、僕を置いて兄達と部屋へと戻ってしまった。
それからというもの、僕は宿に滞在中のほとんどの時間を厨房で料理を続けていた。王女からは未だに依頼の詳しい内容を聞かされず、「お前がここで料理を作り続ける事が今回の依頼達成に繋がるゆえな」と言われ、僕は今日も厨房へ顔を出した。
それは、依頼主の要望に合う宿を探す事から始まった。
条件として、厨房の使用を許されるそれ相応の宿という難題を出され、ようやく条件に合った宿が見つかり、宿の従業員へお近づきの印として振る舞った料理が原因だった。
「「「私達にご教授下さい!」」」
どうやらこの宿に勤める料理人らしい三人の男女が、僕の前で頭を下げて懇願してきた。
「・・・・・・はい?」
僕は突然の申し出に困惑した。
事情を聞いたところ、やはり彼等はこの宿に勤める料理人であり、高齢の料理長の下で下働きをしながら、一人前の料理人になる為に修行中の身という事だった。
しかし師である料理長が体調を崩してからというもの、それぞれ己の身の振り方を考えよ。と、言い渡されて途方に暮れながらも宿の仕事を細々と続けていた様だ。
「お話は判りましたが、僕は冒険者であって料理人ではありません」
「ではなんでわざわざ厨房を借りてまで料理をしているのですか?」
「それは今回の依頼主が僕の料理を気に入られましたので、依頼の間だけという条件で仕方なく料理している次第です」
僕は今の状況を彼等へ説明した。
「では、当宿に滞在している間だけでも見学させて戴けませんか?」
「・・・・見学だけですよ?」
「「「はい!」」」
僕はあくまでも見学のみと条件を付けて、彼等の申し出を受ける事にした。
しかし、これが間違いだった。
僕がアリー王女の料理をしていると、他の客が僕を宿の料理人と誤解して次々と料理を注文してくるのである。
僕は事情を説明して断るのだが、料理の匂いに食欲を刺激された客はこちらの言い分を全く聞かず、子供から大人まで厨房へと人が集まってくる状況に、仕方なく適当に料理を出してその場は治めたのだが、次の日になると、どうやら口コミで情報が広まってしまった様で、さらに多くの客が集まってきた。
その様子を見たアリー王女は「このまま続けよ」と、僕を置いて兄達と部屋へと戻ってしまった。
それからというもの、僕は宿に滞在中のほとんどの時間を厨房で料理を続けていた。王女からは未だに依頼の詳しい内容を聞かされず、「お前がここで料理を作り続ける事が今回の依頼達成に繋がるゆえな」と言われ、僕は今日も厨房へ顔を出した。
20
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
R・P・G ~女神から不死にされた俺、裏ボス級の従者たちと戦乱の異世界を統治します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、"星を継ぐ者"として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命は無慈悲なものであった……
そして凛人は史上最強の頼りになる仲間たちと共に、与えられた運命に抗う。
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界英雄譚、ここに開幕!
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる