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第2章
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ラウルが短剣を受け取り武器庫から出た後、そのまま広い庭へと案内された。
「じゃあまずその武器だが、ほとんどはサブウェポンとして使う者が多い。恐らく君も魔法と剣同時に使うことを考えて選んだのだろう。君と同じ考えのやつは山ほどいたが、訓練を積んでいくうちにほとんどがそんな考えは捨ててどちらか一方に集中することになった。何故だかわかるか?」
エトムントは笑みを浮かべたままラウルへと尋ねた。
「単純に両方を極めるのが困難だからじゃないですか?」
「あぁそれも理由の一つだ。他にはいざ戦闘になって危険に陥ったとき、自分がどっちを選択するか一瞬迷うんだ。それでそのまま命を落とすこともある」
笑みを浮かべていたエトムントだったが真剣な顔つきへと変わった。
「ラウル君。君は冒険者になるんだろ?迷いは命取りだ。今どっちも使えたら便利だなとかそういう考えで剣術も習おうとしているのならやめた方がいい」
ラウルはエトムントの言葉を聞いて一度口をつぐんだが、すぐに意を決して口を開いた。
「俺はこれから先1人だけで生きていける力が欲しいんです。魔法だけに頼っていても1人ではなにもできません。だから剣術が必要なんです」
(また魔法が使えなくなったときに、何もできないままじゃ5歳に戻った意味がない・・・・・・・・)
「あぁ、やっぱり君ならそう言うと思ったよ。すまないね。意地悪なことを言って」
「いえ、大丈夫です」
「じゃあこれから本格的に剣術を教えていくけど、前みたいなトレーニングとは比にならないくらい厳しいから頑張ろうな!」
そう言ってエトムントはラウルの頭をガシガシと撫でた。
「じゃあまずは持ち方から教える。短剣は剣を上から握るものと、逆手で持つ2種類の持ち方がある。これは、自分の体勢によって持ち方を変えていくんだ」
エトムントはラウルに渡した短剣を借りて2種類の持ち方を見せた。
「攻撃の仕方としては、剣を目や弱点に投げたり、急所を突き刺したりすることがほとんどだ。短剣で何が1番大事になってくるかは他の剣とかと違い、俊敏力が1番大事になってくる。剣のリーチが短い分敵にできるだけ接近しないとだめだからな」
(俊敏力か。確かに短剣と聞くと暗殺者が使うイメージがあるな)
「その俊敏力をどれだけ鍛えるかだが・・・・・ひたすらトレーニングだ」
「え・・・・・・・・またトレーニングですか?」
「あぁ。それも今までの倍の走り込みと筋力トレーニングが必要だ。じゃあ今からトレーニングを始めるんだが毎日実践するようにな!」
♦︎
(やっと終わった。・・・・・・・・もう一歩も動ける気がしない。というより立てない)
ラウルは大きく息を吐きながら庭に座り込んでいた。
「休憩していてくれ」
エトムントがそう言うと屋敷へと向かって行った。
(今から屋敷まで帰るのが地獄だ。転移魔法で帰りたいが流石に5歳児が使うと大問題だよな・・・・・)
すると急に小さい人影が現れた。
「しんどいの?俺はいつもこのトレーニングこなしているけど」
それは最初に会ったエトムントの息子ジェイだった。そのままジェイは座り込んでいるラウルをじっと見ていた。
(なんだこいつ?走って逃げたんじゃなかったのか?その上嫌味まで言って来やがった)
ラウルは乱れていた息を整えて言った。
「そうか・・・・・・・・君はすごいんだね」
それを聞いたジェイは顔を真っ赤にして
「そうだろ!それなら俺がこれから君を守ってあげるよ!君ひ弱そうだし!」
(こいつなんて言った?・・・・・・・・誰がひ弱だって!?・・・・・・・・ふぅ。落ち着け。相手は5歳だ。相手にするな)
「自分で守れるから大丈夫だ」
それを聞いたジェイはニッコリと笑い、
「遠慮しなくていいよ!だって君俺より小さいじゃん!」
するとその言葉はラウルの逆鱗に触れたみたいで、ラウルはそのまま冷たい口調でジェイに言い放った。
「確かに俺は君よりも小さいかもしれないが、君みたいに初対面で会った人に走って逃げる臆病者じゃない」
するとジェイはみるみると目に涙を浮かべて、さらには号泣してしまった。
(やってしまった。・・・・・・・・つい口が滑ってしまった。子供を泣かせるなんて大人気無さすぎる。いつもはこんなこと言わないのに・・・・・・・・)
「ごめん。言いすぎたよ」
謝っても泣き止まずにいたとき、ちょうどエトムントが戻って来た。
「この騒ぎはどうしたんだ?まぁ、どうせお前がラウル君に怒らせるようなこと言ったんだろ。ラウル君何度もごめんな」
「いえ。俺がジェイ君に嫌なことを言ってしまったのが問題なんです。ジェイ君ごめん」
そう言ってもう一度謝ると、ジェイはだんだんと落ち着いてきて小さい声で口にした。
「・・・・・・・・許してやるから俺もこれから一緒にトレーニングする」
(・・・・・・・・何様だこいつは!)
「じゃあまずその武器だが、ほとんどはサブウェポンとして使う者が多い。恐らく君も魔法と剣同時に使うことを考えて選んだのだろう。君と同じ考えのやつは山ほどいたが、訓練を積んでいくうちにほとんどがそんな考えは捨ててどちらか一方に集中することになった。何故だかわかるか?」
エトムントは笑みを浮かべたままラウルへと尋ねた。
「単純に両方を極めるのが困難だからじゃないですか?」
「あぁそれも理由の一つだ。他にはいざ戦闘になって危険に陥ったとき、自分がどっちを選択するか一瞬迷うんだ。それでそのまま命を落とすこともある」
笑みを浮かべていたエトムントだったが真剣な顔つきへと変わった。
「ラウル君。君は冒険者になるんだろ?迷いは命取りだ。今どっちも使えたら便利だなとかそういう考えで剣術も習おうとしているのならやめた方がいい」
ラウルはエトムントの言葉を聞いて一度口をつぐんだが、すぐに意を決して口を開いた。
「俺はこれから先1人だけで生きていける力が欲しいんです。魔法だけに頼っていても1人ではなにもできません。だから剣術が必要なんです」
(また魔法が使えなくなったときに、何もできないままじゃ5歳に戻った意味がない・・・・・・・・)
「あぁ、やっぱり君ならそう言うと思ったよ。すまないね。意地悪なことを言って」
「いえ、大丈夫です」
「じゃあこれから本格的に剣術を教えていくけど、前みたいなトレーニングとは比にならないくらい厳しいから頑張ろうな!」
そう言ってエトムントはラウルの頭をガシガシと撫でた。
「じゃあまずは持ち方から教える。短剣は剣を上から握るものと、逆手で持つ2種類の持ち方がある。これは、自分の体勢によって持ち方を変えていくんだ」
エトムントはラウルに渡した短剣を借りて2種類の持ち方を見せた。
「攻撃の仕方としては、剣を目や弱点に投げたり、急所を突き刺したりすることがほとんどだ。短剣で何が1番大事になってくるかは他の剣とかと違い、俊敏力が1番大事になってくる。剣のリーチが短い分敵にできるだけ接近しないとだめだからな」
(俊敏力か。確かに短剣と聞くと暗殺者が使うイメージがあるな)
「その俊敏力をどれだけ鍛えるかだが・・・・・ひたすらトレーニングだ」
「え・・・・・・・・またトレーニングですか?」
「あぁ。それも今までの倍の走り込みと筋力トレーニングが必要だ。じゃあ今からトレーニングを始めるんだが毎日実践するようにな!」
♦︎
(やっと終わった。・・・・・・・・もう一歩も動ける気がしない。というより立てない)
ラウルは大きく息を吐きながら庭に座り込んでいた。
「休憩していてくれ」
エトムントがそう言うと屋敷へと向かって行った。
(今から屋敷まで帰るのが地獄だ。転移魔法で帰りたいが流石に5歳児が使うと大問題だよな・・・・・)
すると急に小さい人影が現れた。
「しんどいの?俺はいつもこのトレーニングこなしているけど」
それは最初に会ったエトムントの息子ジェイだった。そのままジェイは座り込んでいるラウルをじっと見ていた。
(なんだこいつ?走って逃げたんじゃなかったのか?その上嫌味まで言って来やがった)
ラウルは乱れていた息を整えて言った。
「そうか・・・・・・・・君はすごいんだね」
それを聞いたジェイは顔を真っ赤にして
「そうだろ!それなら俺がこれから君を守ってあげるよ!君ひ弱そうだし!」
(こいつなんて言った?・・・・・・・・誰がひ弱だって!?・・・・・・・・ふぅ。落ち着け。相手は5歳だ。相手にするな)
「自分で守れるから大丈夫だ」
それを聞いたジェイはニッコリと笑い、
「遠慮しなくていいよ!だって君俺より小さいじゃん!」
するとその言葉はラウルの逆鱗に触れたみたいで、ラウルはそのまま冷たい口調でジェイに言い放った。
「確かに俺は君よりも小さいかもしれないが、君みたいに初対面で会った人に走って逃げる臆病者じゃない」
するとジェイはみるみると目に涙を浮かべて、さらには号泣してしまった。
(やってしまった。・・・・・・・・つい口が滑ってしまった。子供を泣かせるなんて大人気無さすぎる。いつもはこんなこと言わないのに・・・・・・・・)
「ごめん。言いすぎたよ」
謝っても泣き止まずにいたとき、ちょうどエトムントが戻って来た。
「この騒ぎはどうしたんだ?まぁ、どうせお前がラウル君に怒らせるようなこと言ったんだろ。ラウル君何度もごめんな」
「いえ。俺がジェイ君に嫌なことを言ってしまったのが問題なんです。ジェイ君ごめん」
そう言ってもう一度謝ると、ジェイはだんだんと落ち着いてきて小さい声で口にした。
「・・・・・・・・許してやるから俺もこれから一緒にトレーニングする」
(・・・・・・・・何様だこいつは!)
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