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番外編 IF 野猿な囚人 30-1.(セリウスルート)おまけのその後
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ランダード王国、王弟殿下セリウス・ランダードの隠し子レイモン・メナード
公然の秘密であるレイモンは、子供の頃からランダード王国の秘密諜報部員として働いている。
子供ということを生かした潜入捜査では、いくつも手柄があり、有能な人材としてランダード王国でも重宝されている。
レイモンも、身体こそまだ子供であるが、母子家庭のため、自分がしっかり母親を守らねばと物心ついた時から考えて、成長してきたおかげで、大人顔負けの実力と、大人同様の精神年齢をしていた。
そんなレイモンは、一応、姓はメナードを名乗るため、リーリアの実家であるメナード公爵家と交流は深かった。
ある日、メナード公爵家を継いだアーサーに娘が生まれた。
レイモンは、生まれたばかりの従妹に会いに、母親のリーリアと一緒にメナード公爵家へ行った。
そして、アーサーの娘として生まれ、イリーナと名付けられたその女の子に、レイモンは一目ぼれした。
レイモンの初恋である。
イリーナは、見た目は茶色の髪をしていて、スージーと同じ紺色の瞳をしているが、他の部位は両親であるアーサーにもスージーにも似ておらず、隔世遺伝で前メナード公爵似というか、一番似ているのは叔母のリーリアであり、ミニチュアなリーリアそのものであった。
「こ、この子と結婚する!」とイリーナを一目見るなり、周囲に宣言するレイモン。
「「「ええ!?」」」
周囲の大人は非常に驚いた。
父親のアーサーには戦慄が走った。
(こ、こいつ、リーリアの子供だから、つい可愛い小猿かと思っていたら、あの厄介殿下と同じだ!
同じものでできている!!
目が……。
目がリーリアを見るセリウス殿下の目と同じ目で、我が娘を見ている!!)
焦ったアーサーは強い拒絶を示す。
「イリーナとは結婚させない!」
「アーサー伯父様、何で!?」
「ランダード王家の子、駄目、絶対!」
「どうして、伯父様?僕が嫌いになったの!?」
「……甥っ子としては、大事に思っているが、娘との結婚相手は駄目だ。
リーリアみたいに娘のイリーナまで無駄に大変で苦労しそうで嫌だ。
あと、そんな可愛い上目遣いで私を見ても、他の大人と違って、私には全く通用しないからな!」
「そんな!僕が大人になるまでには、イリーナに苦労させないだけの地盤を作るから!」
「駄目だ!いやだ!」
「ちょっと、アーサー様?どうなさったの?」
アーサーの妻、スージーまで、アーサーのレイモンを娘の結婚相手としては頑なに拒否する態度に首を傾げる。
「子供の言う事ですよ?それに、レイモンならいい子ですし、万が一、そうなっても……」
「いやいや、レイモンはあのセリウス殿下の息子だよ、スージー!」
「そうですよ、スージーお姉様」
アーサーと一緒になって、リーリアまで、二人して首をふるふる振る。
「スージー、よく考えて。
これはレイモンだけの問題ではないかもしれない。
万が一、レイモンがイリーナと結婚する。
そうすると、子供ができた時、その子は私達の孫だけど、同時に……」
「セリウス様の孫になる。きっと、セリウス様なら、孫、可愛さにどんな無茶をするやら……」
メナード兄妹から、同時に詰め寄られ、たじたじとなるスージーであったが、冷静になってセリウス殿下と共通の孫を持つことを考える。
スージーにも、目に浮かぶ、病んでるかのようなセリウスの孫への溺愛っぷりが、容易く想像できた。
「む、無理そうですわね……」
「「そうでしょうとも!」」
3人の意見は一致した。
「……というわけで、レイモン、イリーナはお嫁にあげられない」
「ごめんなさいね、レイモン。できれば応援してあげたかったけど、大人の事情で色々と難しくてね……」
「母親の私としては、レイモンの好きな子と結婚させてあげたかったけど、イリーナは可哀想よ。
同業者とかの、セリウス様に耐えられそうな、もっとタフそうな子を狙いなさいな。
あと、妹を欲しがってたんだから、イリーナは妹として可愛がってあげればいいわ!」
「そんな、アーサー伯父様、スージー伯母様!?
しかもお母様まで、ひどい!今さら、妹なんて思えないよ!!」
レイモンが子供特有の可哀想な感じに嘆きつつも、どういう手段でいけば、イリーナをお嫁さんにできるか、頭の中で作戦を組み立てている時であった。
「やあ、アーサー!娘のお披露目だってね?
僕だけ招かないなんてひどいな……。
今日はリーリア達も来るって聞いたぞ!
わかっているよ。
おおかた、娘が残念なくらいアーサーに似ちゃって、僕に笑われるのが嫌なんだろう~?」
意地悪気な顔して、話題の中心人物、セリウスが通いなれたメナード公爵家のため、堂々と赤ちゃんのいる部屋に入って来た。
「メナード公爵夫人、無事にご出産、おめでとう」
一応、スージーに簡単に挨拶したセリウスは、部屋の中で、シーンと黙っているリーリア達を見つけた。
「ああ、リーリア、レイモン!やっぱり来てたね。
赤ちゃん、どう?可愛い?どうせアーサーに似て、爆笑もの……」
揶揄いながらベビーベッドに近づいたセリウスは、イリーナを一目見て、言葉を失くした。
そこには、瞳の色こそちがえど、全体的には光り輝くばかりのミニミニのリーリアそっくりな小猿がいた。
「な、な、なんてこと!
小っちゃいリーリアが!!
僕が会ってみたかったリーリアがここにいる!」
セリウスが、ぎゅんっとアーサーとスージーの方を向く。
「でかした!大手柄だよ、アーサー、それにメナード公爵夫人!!」
そう言うや否や、セリウスはイリーナを瞬時に抱き上げて、思わず抱きしめる。
「ぼ、僕の娘!やっと会えたね~。
早く僕らに会いたくて、早まってアーサーのところに生まれてきちゃったんだね。
ごめんね、父様が不甲斐ないばかりに……」
「あぶ?」
「「「は?」」」
アーサー達は一瞬、セリウスが何を言っているのか理解できなかった。
どうやらイリーナがあまりにリーリアにそっくりなため、セリウスとリーリアの間に生まれるはずだった妄想上の娘と一致したらしく、勝手にそう思ったようである。
アーサーはすぐにセリウスの腕からイリーナを取り戻す。
それで取り合いになりそうになると、イリーナの安全のため、リーリアとレイモンにも同時に止められ、セリウスは拘束された。
高スペックのセリウスであるが、さすがに防御の専門家2人と、セリウスほどではないが、年齢に見合わない高スペックのレイモンを含めて、1:3ではなかなか勝てない。
「はなせ~!この子は、本当は僕の娘なんだ!!」
「そんなわけないでしょう?阿保ですか、あなたは……。
我々の大事な娘ですから、手を出さないでいただきたい。
これ以上、娘に何かするなら、ランダード王家はメナード公爵家を敵にまわしたとみなしますよ?」
「わかった。じゃあ、この子には手を出さない代わりに、リーリアとの結婚を許可か、できれば強固に勧めてくれ、アーサー」
「リーリアがあなたとの結婚を拒否しているのだから、メナード公爵家としては許可も強制も致しません。
野猿のことになると、昔から殿下は本当に阿保になるんですよね~」
ギャーギャーと、セリウスとアーサーが言い争っているうちに、リーリアは、セリウスがイリーナに手を出せないように、セリウスだけが近づいたら、結界が自動的に生じて、ある一定の距離にまでしか近づけないようなアクセサリーを使った特別製の小結界の設定をしていた。
「ふう~。これでセリウス様はしばらくイリーナに手が出せないわね」
「ああ!リーリア、何てことするの!?」
「イリーナに手を出さないでくださいませ、セリウス様」
「よし!じゃあ、取引しよう。
リーリアが僕の妻になって、イリーナみたいな可愛い娘を産むというなら、一切、イリーナに手は出さないよ?」
「全く成り立たない取引を持ちだされても、困ります」
「そんな~」
セリウスは、リーリアへの愛の告白の伝え方が相変わらず悪く、いまだに受け入れてもらえないようであった。
そこで、セリウスはレイモンを味方につけることを考えた。
「レイモン!イリーナみたいな可愛い子を妹に欲しくない?
リーリアと僕が結婚すれば、きっとイリーナみたいな可愛いミニ野猿がいっぱい生まれるよ!」
「……それはどうでしょう?あなたの血は濃そうだからな。
あなたそっくりな子が生まれたら、結構、面倒そうです。
それに、イリーナみたいな妹よりも、僕はイリーナが欲しい」
そこで、あることに気づくレイモン。
「あ、でも、セリウス殿下とお母様が結婚したら、子供の僕も身分的にも政治的にも、僕はイリーナに釣り合いますよね、アーサー伯父様?」
「駄目!絶対に駄目だから、レイモンがもし王様になっても許可しない。
身分の問題じゃないからね、レイモン!」
「そんな~、アーサー伯父様がひどい!!」
アーサーはすかさず拒否するので、レイモンはがっかりしつつも、(……イリーナが適齢期になるまで、長期戦だな、こりゃ)と考え、今から様々な策略を練ろうとする腹黒小猿なレイモンであった。
そんなアーサーの様子に首傾げて尋ねるセリウス。
「え~、アーサーってば、レイモンとイリーナの結婚も反対なの?」
「ええ、もちろんですよ、セリウス殿下」
「どうして?レイモンって、僕が言うのも何だけど、将来、有望だよ?それでも?」
「ええ、それでもです」
「意外だな~。アーサーって甥っ子のレイモンを溺愛していると思っていたよ」
「ただの甥っ子ならね。レイモンと結婚すると、イリーナがリーリアみたいに苦労するのは目に見えているので、反対しているのですよ」
「へ~、『リーリアみたい』にねぇ……」
セリウスにスイッチが入ったことに気づかないアーサー達。
気づいたのは、レイモンだけであった。
(あ~あ、アーサー伯父様ったら、迂闊なんだから……。
お母様や僕にとばっちりがくるな~。
いや、それとも、これを利用してイリーナを手に入れるべきか?)
子供ながら、色々と計算するレイモンの元に、予想通りに後から、セリウスから正式な共同戦線の依頼がきた。
これからは、野猿リーリアに加えて、今度はミニ野猿イリーナも含めた捕獲作戦が、さらに激しさを増して繰り広げられるようであった。
公然の秘密であるレイモンは、子供の頃からランダード王国の秘密諜報部員として働いている。
子供ということを生かした潜入捜査では、いくつも手柄があり、有能な人材としてランダード王国でも重宝されている。
レイモンも、身体こそまだ子供であるが、母子家庭のため、自分がしっかり母親を守らねばと物心ついた時から考えて、成長してきたおかげで、大人顔負けの実力と、大人同様の精神年齢をしていた。
そんなレイモンは、一応、姓はメナードを名乗るため、リーリアの実家であるメナード公爵家と交流は深かった。
ある日、メナード公爵家を継いだアーサーに娘が生まれた。
レイモンは、生まれたばかりの従妹に会いに、母親のリーリアと一緒にメナード公爵家へ行った。
そして、アーサーの娘として生まれ、イリーナと名付けられたその女の子に、レイモンは一目ぼれした。
レイモンの初恋である。
イリーナは、見た目は茶色の髪をしていて、スージーと同じ紺色の瞳をしているが、他の部位は両親であるアーサーにもスージーにも似ておらず、隔世遺伝で前メナード公爵似というか、一番似ているのは叔母のリーリアであり、ミニチュアなリーリアそのものであった。
「こ、この子と結婚する!」とイリーナを一目見るなり、周囲に宣言するレイモン。
「「「ええ!?」」」
周囲の大人は非常に驚いた。
父親のアーサーには戦慄が走った。
(こ、こいつ、リーリアの子供だから、つい可愛い小猿かと思っていたら、あの厄介殿下と同じだ!
同じものでできている!!
目が……。
目がリーリアを見るセリウス殿下の目と同じ目で、我が娘を見ている!!)
焦ったアーサーは強い拒絶を示す。
「イリーナとは結婚させない!」
「アーサー伯父様、何で!?」
「ランダード王家の子、駄目、絶対!」
「どうして、伯父様?僕が嫌いになったの!?」
「……甥っ子としては、大事に思っているが、娘との結婚相手は駄目だ。
リーリアみたいに娘のイリーナまで無駄に大変で苦労しそうで嫌だ。
あと、そんな可愛い上目遣いで私を見ても、他の大人と違って、私には全く通用しないからな!」
「そんな!僕が大人になるまでには、イリーナに苦労させないだけの地盤を作るから!」
「駄目だ!いやだ!」
「ちょっと、アーサー様?どうなさったの?」
アーサーの妻、スージーまで、アーサーのレイモンを娘の結婚相手としては頑なに拒否する態度に首を傾げる。
「子供の言う事ですよ?それに、レイモンならいい子ですし、万が一、そうなっても……」
「いやいや、レイモンはあのセリウス殿下の息子だよ、スージー!」
「そうですよ、スージーお姉様」
アーサーと一緒になって、リーリアまで、二人して首をふるふる振る。
「スージー、よく考えて。
これはレイモンだけの問題ではないかもしれない。
万が一、レイモンがイリーナと結婚する。
そうすると、子供ができた時、その子は私達の孫だけど、同時に……」
「セリウス様の孫になる。きっと、セリウス様なら、孫、可愛さにどんな無茶をするやら……」
メナード兄妹から、同時に詰め寄られ、たじたじとなるスージーであったが、冷静になってセリウス殿下と共通の孫を持つことを考える。
スージーにも、目に浮かぶ、病んでるかのようなセリウスの孫への溺愛っぷりが、容易く想像できた。
「む、無理そうですわね……」
「「そうでしょうとも!」」
3人の意見は一致した。
「……というわけで、レイモン、イリーナはお嫁にあげられない」
「ごめんなさいね、レイモン。できれば応援してあげたかったけど、大人の事情で色々と難しくてね……」
「母親の私としては、レイモンの好きな子と結婚させてあげたかったけど、イリーナは可哀想よ。
同業者とかの、セリウス様に耐えられそうな、もっとタフそうな子を狙いなさいな。
あと、妹を欲しがってたんだから、イリーナは妹として可愛がってあげればいいわ!」
「そんな、アーサー伯父様、スージー伯母様!?
しかもお母様まで、ひどい!今さら、妹なんて思えないよ!!」
レイモンが子供特有の可哀想な感じに嘆きつつも、どういう手段でいけば、イリーナをお嫁さんにできるか、頭の中で作戦を組み立てている時であった。
「やあ、アーサー!娘のお披露目だってね?
僕だけ招かないなんてひどいな……。
今日はリーリア達も来るって聞いたぞ!
わかっているよ。
おおかた、娘が残念なくらいアーサーに似ちゃって、僕に笑われるのが嫌なんだろう~?」
意地悪気な顔して、話題の中心人物、セリウスが通いなれたメナード公爵家のため、堂々と赤ちゃんのいる部屋に入って来た。
「メナード公爵夫人、無事にご出産、おめでとう」
一応、スージーに簡単に挨拶したセリウスは、部屋の中で、シーンと黙っているリーリア達を見つけた。
「ああ、リーリア、レイモン!やっぱり来てたね。
赤ちゃん、どう?可愛い?どうせアーサーに似て、爆笑もの……」
揶揄いながらベビーベッドに近づいたセリウスは、イリーナを一目見て、言葉を失くした。
そこには、瞳の色こそちがえど、全体的には光り輝くばかりのミニミニのリーリアそっくりな小猿がいた。
「な、な、なんてこと!
小っちゃいリーリアが!!
僕が会ってみたかったリーリアがここにいる!」
セリウスが、ぎゅんっとアーサーとスージーの方を向く。
「でかした!大手柄だよ、アーサー、それにメナード公爵夫人!!」
そう言うや否や、セリウスはイリーナを瞬時に抱き上げて、思わず抱きしめる。
「ぼ、僕の娘!やっと会えたね~。
早く僕らに会いたくて、早まってアーサーのところに生まれてきちゃったんだね。
ごめんね、父様が不甲斐ないばかりに……」
「あぶ?」
「「「は?」」」
アーサー達は一瞬、セリウスが何を言っているのか理解できなかった。
どうやらイリーナがあまりにリーリアにそっくりなため、セリウスとリーリアの間に生まれるはずだった妄想上の娘と一致したらしく、勝手にそう思ったようである。
アーサーはすぐにセリウスの腕からイリーナを取り戻す。
それで取り合いになりそうになると、イリーナの安全のため、リーリアとレイモンにも同時に止められ、セリウスは拘束された。
高スペックのセリウスであるが、さすがに防御の専門家2人と、セリウスほどではないが、年齢に見合わない高スペックのレイモンを含めて、1:3ではなかなか勝てない。
「はなせ~!この子は、本当は僕の娘なんだ!!」
「そんなわけないでしょう?阿保ですか、あなたは……。
我々の大事な娘ですから、手を出さないでいただきたい。
これ以上、娘に何かするなら、ランダード王家はメナード公爵家を敵にまわしたとみなしますよ?」
「わかった。じゃあ、この子には手を出さない代わりに、リーリアとの結婚を許可か、できれば強固に勧めてくれ、アーサー」
「リーリアがあなたとの結婚を拒否しているのだから、メナード公爵家としては許可も強制も致しません。
野猿のことになると、昔から殿下は本当に阿保になるんですよね~」
ギャーギャーと、セリウスとアーサーが言い争っているうちに、リーリアは、セリウスがイリーナに手を出せないように、セリウスだけが近づいたら、結界が自動的に生じて、ある一定の距離にまでしか近づけないようなアクセサリーを使った特別製の小結界の設定をしていた。
「ふう~。これでセリウス様はしばらくイリーナに手が出せないわね」
「ああ!リーリア、何てことするの!?」
「イリーナに手を出さないでくださいませ、セリウス様」
「よし!じゃあ、取引しよう。
リーリアが僕の妻になって、イリーナみたいな可愛い娘を産むというなら、一切、イリーナに手は出さないよ?」
「全く成り立たない取引を持ちだされても、困ります」
「そんな~」
セリウスは、リーリアへの愛の告白の伝え方が相変わらず悪く、いまだに受け入れてもらえないようであった。
そこで、セリウスはレイモンを味方につけることを考えた。
「レイモン!イリーナみたいな可愛い子を妹に欲しくない?
リーリアと僕が結婚すれば、きっとイリーナみたいな可愛いミニ野猿がいっぱい生まれるよ!」
「……それはどうでしょう?あなたの血は濃そうだからな。
あなたそっくりな子が生まれたら、結構、面倒そうです。
それに、イリーナみたいな妹よりも、僕はイリーナが欲しい」
そこで、あることに気づくレイモン。
「あ、でも、セリウス殿下とお母様が結婚したら、子供の僕も身分的にも政治的にも、僕はイリーナに釣り合いますよね、アーサー伯父様?」
「駄目!絶対に駄目だから、レイモンがもし王様になっても許可しない。
身分の問題じゃないからね、レイモン!」
「そんな~、アーサー伯父様がひどい!!」
アーサーはすかさず拒否するので、レイモンはがっかりしつつも、(……イリーナが適齢期になるまで、長期戦だな、こりゃ)と考え、今から様々な策略を練ろうとする腹黒小猿なレイモンであった。
そんなアーサーの様子に首傾げて尋ねるセリウス。
「え~、アーサーってば、レイモンとイリーナの結婚も反対なの?」
「ええ、もちろんですよ、セリウス殿下」
「どうして?レイモンって、僕が言うのも何だけど、将来、有望だよ?それでも?」
「ええ、それでもです」
「意外だな~。アーサーって甥っ子のレイモンを溺愛していると思っていたよ」
「ただの甥っ子ならね。レイモンと結婚すると、イリーナがリーリアみたいに苦労するのは目に見えているので、反対しているのですよ」
「へ~、『リーリアみたい』にねぇ……」
セリウスにスイッチが入ったことに気づかないアーサー達。
気づいたのは、レイモンだけであった。
(あ~あ、アーサー伯父様ったら、迂闊なんだから……。
お母様や僕にとばっちりがくるな~。
いや、それとも、これを利用してイリーナを手に入れるべきか?)
子供ながら、色々と計算するレイモンの元に、予想通りに後から、セリウスから正式な共同戦線の依頼がきた。
これからは、野猿リーリアに加えて、今度はミニ野猿イリーナも含めた捕獲作戦が、さらに激しさを増して繰り広げられるようであった。
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