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英雄の奥様と勘違い
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マリロード王国の英雄の奥様スーザンは、知り合い同士の新たな恋の芽生えにわくわくしていた。
諸事情により、ただ今、素敵なお嫁さん募集中のダリアン副将軍と、王妃付きの侍女ベリーナと実は知り合いだったことで、たまたま再会した二人を、スーザンはとてもお似合いに思えた。
早速、二人の接触を増やそうと、ダリアンがアバート公爵家の屋敷に来る予定に合わせて、ベリーナも招待してみるスーザン。
これで二人の交流が深まればと思ったスーザンであった。
スーザンの期待通り、アバート公爵邸で再会したダリアンとベリーナは親しそうに会話をしていた。
しかし、この世は基本的にスーザンの望み通りになることなんて、数えるほどしかないものである。
敏いベリーナは、スーザンの思惑にすぐに気がついた。
「奥様?もしかして、私とダリアン副将軍を引き合わせようと、今回は一緒に私達を招待されたのでは?」
「あ、気づいてしまいましたのね……。でも、お二人はお知り合いということもあり、せっかくなのでご一緒にと思いましたの」
「……お気遣い、ありがとうございます。でも、恋愛に発展することはダリアン様とはありえないので、ご期待の沿えないことを先に言っておきますね」
「ええ!?何故ですの?…というか、私の意図が何故お分かりに?」
「ええ。だって、スーザン様、私に見合い相手を紹介する時の侍女長とそっくりな表情でしたもの」
ベリーナいわく、王妃の命令で王宮の侍女長はベリーナをこの国に留めるべく、王宮内の独身の騎士や侍従をベリーナに紹介して、この国で家庭を築いてもらおうとしている。
しかも、既にベリーナは、意気投合した騎士様と結婚を前提におつきあいを開始しているとのことであった。
「すみませんね、奥様。私の好みは、身分の高さや美貌というよりも、私が手を加えることで、いかに変われるかという潜在的才能のある方が好みなんですの。
それこそ、奥様のような方が良いのです。
だから、万が一、今のつき合っている方が駄目でも、既に美形として完成されておりますダリアン副将軍とはありえませんのよ」
「まあ、そうですの……。
えっと、男性でも手を加えるというのは、どのような?」
「はい!最近は、地味な男性を王子様のごとく変身させることも可能なように技術を磨いておりますの!ふふふ」
スーザンは、ベリーナが一体、何を目指しているかわからないなと思いつつも、地味な男性が王子様のようになることに、ちょっと興味を持った。
「そういえば、既に結婚している私の従兄は、実の兄妹のように私にとても似ていると評判でして……」
「まあぁぁ!奥様に似ている!?
そんな素敵な方がいらっしゃるのですか!?
既婚の方なら、恋愛的な気持ちは持ちませんので、是非、王子様改造計画のモデルになっていただきたいわ!
その方をご紹介いただけますでしょうか?」
「ええ、いいですわ。私の姉の夫でもあるので、姉を通せば、スムーズに王子様改造ができるかも知れませんので、姉に連絡しておきますわね」
「奥様、ありがとうございます!」
ベリーナは、スーザンの従兄ハリーを紹介する約束をしたことで、とても喜んでくれた。
スーザンも、ハリーはともかく、姉のエミリーが凄く喜びそうな企画だと思い、スーザン自身も楽しむことにした。
そんな二人の会話を苦笑して聞いていたダリアン。
「そうだっだのですね、スーザン殿」
「……ダリアン様、申し訳ございません」
「いえ、いいんですよ。
私にとっても、ベリーナとの恋愛はありえなかったので、こちらこそ期待させて申し訳なかった。
……ところで、スーザン殿に似ている未婚の妹や従妹とかはいらっしゃいませんか?」
「いいえ、おりませんわ」
「そうですか……。
実は、私の好みも、サイラス将軍やベリーナと同じ、スーザン殿みたいな方なので、是非、ご紹介いただければと思ったのですが、残念です……」
そう言って、寂し気に微笑むダリアンに、何だか悪いことをしたような気持ちになるスーザン。
スーザンは、ダリアンとベリーナの恋の芽生えかと思った出会いが、勘違いだとよくわかった。
ダリアンは、スーザン似の妹がいないことに、ちょっとがっかりしていたが、スーザンが今度こそダリアンに合ったお嬢さんを探しておくと言うと、嬉しそうに微笑んでくれた。
だから、スーザンは、張り切ってダリアンのお嫁さん探しをしようと決めた。
英雄の奥様は、勘違いをしたが、別な楽しみも見つけた!
ただ、スーザンは自分の勘違いでちょっと残念な気持ちにもなったので、思わず夫のサイラスに甘えてしまい、サイラスは滅多に甘えてこないスーザンが甘えてきたことに歓喜していた。
ちなみに、サイラスにとっては、スーザンとの婚約をきっかけに大手柄を得て、理想の奥様と結婚できたうえに、可愛い子供達にも恵まれ、スーザンのおかげで得することが多い世の中であった。
諸事情により、ただ今、素敵なお嫁さん募集中のダリアン副将軍と、王妃付きの侍女ベリーナと実は知り合いだったことで、たまたま再会した二人を、スーザンはとてもお似合いに思えた。
早速、二人の接触を増やそうと、ダリアンがアバート公爵家の屋敷に来る予定に合わせて、ベリーナも招待してみるスーザン。
これで二人の交流が深まればと思ったスーザンであった。
スーザンの期待通り、アバート公爵邸で再会したダリアンとベリーナは親しそうに会話をしていた。
しかし、この世は基本的にスーザンの望み通りになることなんて、数えるほどしかないものである。
敏いベリーナは、スーザンの思惑にすぐに気がついた。
「奥様?もしかして、私とダリアン副将軍を引き合わせようと、今回は一緒に私達を招待されたのでは?」
「あ、気づいてしまいましたのね……。でも、お二人はお知り合いということもあり、せっかくなのでご一緒にと思いましたの」
「……お気遣い、ありがとうございます。でも、恋愛に発展することはダリアン様とはありえないので、ご期待の沿えないことを先に言っておきますね」
「ええ!?何故ですの?…というか、私の意図が何故お分かりに?」
「ええ。だって、スーザン様、私に見合い相手を紹介する時の侍女長とそっくりな表情でしたもの」
ベリーナいわく、王妃の命令で王宮の侍女長はベリーナをこの国に留めるべく、王宮内の独身の騎士や侍従をベリーナに紹介して、この国で家庭を築いてもらおうとしている。
しかも、既にベリーナは、意気投合した騎士様と結婚を前提におつきあいを開始しているとのことであった。
「すみませんね、奥様。私の好みは、身分の高さや美貌というよりも、私が手を加えることで、いかに変われるかという潜在的才能のある方が好みなんですの。
それこそ、奥様のような方が良いのです。
だから、万が一、今のつき合っている方が駄目でも、既に美形として完成されておりますダリアン副将軍とはありえませんのよ」
「まあ、そうですの……。
えっと、男性でも手を加えるというのは、どのような?」
「はい!最近は、地味な男性を王子様のごとく変身させることも可能なように技術を磨いておりますの!ふふふ」
スーザンは、ベリーナが一体、何を目指しているかわからないなと思いつつも、地味な男性が王子様のようになることに、ちょっと興味を持った。
「そういえば、既に結婚している私の従兄は、実の兄妹のように私にとても似ていると評判でして……」
「まあぁぁ!奥様に似ている!?
そんな素敵な方がいらっしゃるのですか!?
既婚の方なら、恋愛的な気持ちは持ちませんので、是非、王子様改造計画のモデルになっていただきたいわ!
その方をご紹介いただけますでしょうか?」
「ええ、いいですわ。私の姉の夫でもあるので、姉を通せば、スムーズに王子様改造ができるかも知れませんので、姉に連絡しておきますわね」
「奥様、ありがとうございます!」
ベリーナは、スーザンの従兄ハリーを紹介する約束をしたことで、とても喜んでくれた。
スーザンも、ハリーはともかく、姉のエミリーが凄く喜びそうな企画だと思い、スーザン自身も楽しむことにした。
そんな二人の会話を苦笑して聞いていたダリアン。
「そうだっだのですね、スーザン殿」
「……ダリアン様、申し訳ございません」
「いえ、いいんですよ。
私にとっても、ベリーナとの恋愛はありえなかったので、こちらこそ期待させて申し訳なかった。
……ところで、スーザン殿に似ている未婚の妹や従妹とかはいらっしゃいませんか?」
「いいえ、おりませんわ」
「そうですか……。
実は、私の好みも、サイラス将軍やベリーナと同じ、スーザン殿みたいな方なので、是非、ご紹介いただければと思ったのですが、残念です……」
そう言って、寂し気に微笑むダリアンに、何だか悪いことをしたような気持ちになるスーザン。
スーザンは、ダリアンとベリーナの恋の芽生えかと思った出会いが、勘違いだとよくわかった。
ダリアンは、スーザン似の妹がいないことに、ちょっとがっかりしていたが、スーザンが今度こそダリアンに合ったお嬢さんを探しておくと言うと、嬉しそうに微笑んでくれた。
だから、スーザンは、張り切ってダリアンのお嫁さん探しをしようと決めた。
英雄の奥様は、勘違いをしたが、別な楽しみも見つけた!
ただ、スーザンは自分の勘違いでちょっと残念な気持ちにもなったので、思わず夫のサイラスに甘えてしまい、サイラスは滅多に甘えてこないスーザンが甘えてきたことに歓喜していた。
ちなみに、サイラスにとっては、スーザンとの婚約をきっかけに大手柄を得て、理想の奥様と結婚できたうえに、可愛い子供達にも恵まれ、スーザンのおかげで得することが多い世の中であった。
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