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4.やり直し、そして分岐(4)
道中、ずっと外を見ているクリスに話しかけてみることにした。
時間を巻き戻してから、この人とも書簡以外で話すのは初めてな気がする。
「クリス、残念だったわね。」
「言葉を慎みください。」
「本当は貴方エリスと婚約したかったんでしょう?」
耳が赤くなっている。図星を突かれて痛いだろう?
「大丈夫よ、ほかの子もそう思っているわ。自分が一番エリス様のことを想っているってね。」
クリスもデイヴィスも実に愚かしい。
自分がエリスの一番であると錯覚して、裏切られてもまだチャンスがあるんじゃないかと心のどこかで思っている。
面白い奴らだ、少しからかってみよう。
僕はクリスの手を取り、指を絡める。
恋愛経験がないのでエリスの真似。
「どう?瓜二つの私は?」
一瞬、瞳が揺らぐ。
次期騎士団長が悪人相手にそんな顔をしてはいけない。
「冗談はよしてください…。」
僕は何とも言えぬ優越感に浸り、指を解き外を見る。
クリスは下を向いた。
「勿論からかっただけ、貴方たちとなんて死んでも結婚したくありませんもの。」
僕は本来男で、女であったとしてもリリアのお下がりなんて気持ち悪いから要らない。当たり前だよね。
馬車は沈黙を乗せてのどかな平野を走るのだった。
久しぶりの実家。
なんて感傷に浸っている時間はあまりない。
恐らくすぐに家から追い出されるだろうから。
玄関の戸を叩き、中へ足を踏み出す。
「ただいま戻りました。」
と言うと、見たことのない執事が近寄ってきた。
「応接間に来るように、とのことです。」
応接間に通されるといきり立っていた父は開口一番、
「アルバート!!!貴様っ!」
と殴り掛かってくる。
リリアのそれとは威力が違うはずなので今回は避けることにした。
前の人生では小石にもこけていた僕が避ける…やはり謎のバフがかかっているような…。
「ぐぬ!?」
盛大に空振りした父は体勢を崩し躓く。
僕は素知らぬ顔をして父と穏便に話を進めようとソファに座る。
「今、僕を殴ることで何か状況が変化しますか?」
起き上がった父は書斎に座り怪訝に僕を見つめる。
怖い顔にお構いなく話を続けよう。
「心配ご無用です。リリアが皇太子と婚約するのを聞きました。後で手紙が来るでしょう。」
父が今一番気がかりなのは僕が変わってリリアの婚約がなかったことにならないか、だ。
僕がどんな変化を遂げようと気にしたことではないのは知っている。
安心しろ、今までの僕によって計画は成功しているから。
「それで僕はどうなるのですか?まさか、出来損ないがこの家に置いてもらえる訳あるまいし。」
すると父は一転攻勢、語気を強めて言う。
「貴様は今日からエルレルト家の人間ではない。セントヘレナ伯爵家のバルトの妻として一生を終えろ。」
バルト・セントヘレナ…社交界に疎い僕に分かるはずがない。
ただセントヘレナ領といったらこの帝都からはるか北方にある辺境の地だ。
事実上の流刑といったところか。
「分かりました。」
僕が立ち上がるとエルレルト公爵は吐き捨てるように言った。
「そのうち薬の効果が切れる。元の雑巾のような顔を晒し、これまで通りみじめに生きることだな。」
「はい、それでは。」
どうせセントヘレナに行けば誰からも好かれることなく、皇太子妃エリスの姉、そして悪女として罵られる未来が待っている。
男とばれた暁には逃亡して悠々自適に暮らすことにしよう!
早く効果が切れないかなぁ‼
そう心を躍らせながら馬車に乗る。
土産物もなし、子女として最低限のドレスもなし!落ちぶれた悪女にピッタリだ!
僕は窓を開け、小さくなっていく豪邸に手を振った。
「さようなら!地獄!!」
時間を巻き戻してから、この人とも書簡以外で話すのは初めてな気がする。
「クリス、残念だったわね。」
「言葉を慎みください。」
「本当は貴方エリスと婚約したかったんでしょう?」
耳が赤くなっている。図星を突かれて痛いだろう?
「大丈夫よ、ほかの子もそう思っているわ。自分が一番エリス様のことを想っているってね。」
クリスもデイヴィスも実に愚かしい。
自分がエリスの一番であると錯覚して、裏切られてもまだチャンスがあるんじゃないかと心のどこかで思っている。
面白い奴らだ、少しからかってみよう。
僕はクリスの手を取り、指を絡める。
恋愛経験がないのでエリスの真似。
「どう?瓜二つの私は?」
一瞬、瞳が揺らぐ。
次期騎士団長が悪人相手にそんな顔をしてはいけない。
「冗談はよしてください…。」
僕は何とも言えぬ優越感に浸り、指を解き外を見る。
クリスは下を向いた。
「勿論からかっただけ、貴方たちとなんて死んでも結婚したくありませんもの。」
僕は本来男で、女であったとしてもリリアのお下がりなんて気持ち悪いから要らない。当たり前だよね。
馬車は沈黙を乗せてのどかな平野を走るのだった。
久しぶりの実家。
なんて感傷に浸っている時間はあまりない。
恐らくすぐに家から追い出されるだろうから。
玄関の戸を叩き、中へ足を踏み出す。
「ただいま戻りました。」
と言うと、見たことのない執事が近寄ってきた。
「応接間に来るように、とのことです。」
応接間に通されるといきり立っていた父は開口一番、
「アルバート!!!貴様っ!」
と殴り掛かってくる。
リリアのそれとは威力が違うはずなので今回は避けることにした。
前の人生では小石にもこけていた僕が避ける…やはり謎のバフがかかっているような…。
「ぐぬ!?」
盛大に空振りした父は体勢を崩し躓く。
僕は素知らぬ顔をして父と穏便に話を進めようとソファに座る。
「今、僕を殴ることで何か状況が変化しますか?」
起き上がった父は書斎に座り怪訝に僕を見つめる。
怖い顔にお構いなく話を続けよう。
「心配ご無用です。リリアが皇太子と婚約するのを聞きました。後で手紙が来るでしょう。」
父が今一番気がかりなのは僕が変わってリリアの婚約がなかったことにならないか、だ。
僕がどんな変化を遂げようと気にしたことではないのは知っている。
安心しろ、今までの僕によって計画は成功しているから。
「それで僕はどうなるのですか?まさか、出来損ないがこの家に置いてもらえる訳あるまいし。」
すると父は一転攻勢、語気を強めて言う。
「貴様は今日からエルレルト家の人間ではない。セントヘレナ伯爵家のバルトの妻として一生を終えろ。」
バルト・セントヘレナ…社交界に疎い僕に分かるはずがない。
ただセントヘレナ領といったらこの帝都からはるか北方にある辺境の地だ。
事実上の流刑といったところか。
「分かりました。」
僕が立ち上がるとエルレルト公爵は吐き捨てるように言った。
「そのうち薬の効果が切れる。元の雑巾のような顔を晒し、これまで通りみじめに生きることだな。」
「はい、それでは。」
どうせセントヘレナに行けば誰からも好かれることなく、皇太子妃エリスの姉、そして悪女として罵られる未来が待っている。
男とばれた暁には逃亡して悠々自適に暮らすことにしよう!
早く効果が切れないかなぁ‼
そう心を躍らせながら馬車に乗る。
土産物もなし、子女として最低限のドレスもなし!落ちぶれた悪女にピッタリだ!
僕は窓を開け、小さくなっていく豪邸に手を振った。
「さようなら!地獄!!」
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