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第3章 新しい特別科目
20 ファンタジーから遠い魔法
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『『魔法Ⅱ』では魔法の原理と、応用的な魔法について学習します』
『魔法Ⅱ』の1コマ目は、そんな説明から始まった。
ただし次の段落がとんでもない。
『以降の学習を効果的に進める為、貴方がより納得いく考え方を選んで下さい。なお選ばなかった側の解説についても読むことは可能ですし、学習途中で選択を変える事も可能です。
1 魔法とは神や悪魔等、超自然的な力あるものが関与する力である
2 神や悪魔、超自然的な力等を考慮しなくとも、魔法は実現可能である』
これって、まるで相反する考え方ではないのだろうか。
どちらの説明でも同じように、学習内容を満たすことが可能なのだろうか。
ただ単純に『神がいるか、いないか』『神を信じるか、信じないか』でないところは、割と上手いなと感じる。
『神を信仰していなくとも神の実在や関与は認める』なんて立場や、『神の実在を確信して信仰していても、魔法は科学で解明可能だ』なんて立場であっても、ちゃんと選べる選択肢で。
もちろん私が選ぶのは2だ。
1の説明に興味がないでもないけれど、それも読むことは可能らしいから問題ない。
2をタップすると、画面が切り替わった。
『それでは『神や悪魔、超自然的な力等を考慮しなくとも、魔法は実現可能である』という立場で、かつ現在の地球における知識を用いて、以降の説明を行います』
ふと私は思う。
私を惑星オーフに連れてきたり若返らせた存在こそ、ある意味神的な存在と言えるような気がすると。
いわゆる『神』というより、高度に発達した科学文明の産物という感じではあるけれど。
『魔法とは、過酷な自然環境を生き抜くために神が与えてくれた大いなる力である。科学技術及び科学的知識が広まっていない時代や場所から惑星オーフに移住した人々、及び惑星オーフで生まれた人々の大部分は今でもそう信じています。
彼らの知識では世界における全てのものは火、土、水、風、空の五行で成り立っているとされています。魔法も同様にこの5属性から体系づけられています』
まずは反対の立場からの説明が始まった。
ここからどう展開するのだろうと思いつつ、私は先へと目を走らせる。
『しかし地球における21世紀の科学知識を持つ皆さんが知っている通り、実際には物質は原子、更に微細化すると素粒子、更に微細化すると多次元の膜です。五行思想というものは、人間が証拠も無しに考え出したものにすぎません。
魔法は不明かつ検証不可能な力ではなく、科学技術において作り出された現象です。発達した科学技術を持たない人間社会であってもそれなりの生活水準を得る為に導入された、ヘリオ・ヘス・テルタ型開発の根幹をなす技術のひとつです』
このヘリオ何とかって、前にも聞いた気がする。
確かここへ来てすぐ、タブレットで言及されていたものだ。
あの時はあれこれ他に驚く事や考える事があったから、スルーしてしまった。
これは一体、何なのだろう。
『地球を開発したヘリオ・セス・ベータ型開発から派生した、サブプログラムです』
知識魔法はそれだけ語った後、沈黙する。
ならヘリオ・セス・ベータ型開発とは何だ。何の目的で何をどのように開発したんだ。
そう疑問を思い浮かべても返答はない。
何もわからない。でも名前と、知識魔法が返答しなかったという事については覚えておこう。
そう思って、そして画面を先へと進める。
『この魔法という技術は、人工細菌型マイクロマシンを媒介に使用しています。このマイクロマシンは通称『魔素《ナーナ》』と呼ばれ、環境によって発現する場所を変える特殊な長い遺伝子を持っています。また我々が認識可能な空間からは虚数解となる空間に、様々なものを貯蔵する事が可能です』
正体不明の開発から、科学技術を飛び越えSFにまで話が跳んだ。
それでも言っている意味は、一応ではあるが理解出来る。
『魔素は人間の脳に感染し、人間に魔素に対して命令を発信する機能を提供する形で共生します。なお惑星オーフに居住する人々は移住者を含め、感染済みです。
脳から魔素に対し命令を発信する事により、魔法を使用する事が可能となります』
人工細菌型マイクロマシンによって、魔法を実現させている。
ここまでの説明を要約すれば、こんな感じだろうか。
不明概念とか超科学的な分とか、知識魔法が回答してくれないような事とかは別として。
うん、ちょっと疲れた。
少し頭にエネルギーを補給しよう。
収納からパンプディングを取り出す。
さて、改良したパンプディングの味はどうだろう。
ちょっと苦めのカラメル、その分甘さ控えめのプリン卵液がどうなっているか。
まさか甘さ控えめ過ぎて、味気ない茶碗蒸しみたいになってはいないよな。
過去のプリン製造失敗例を思い出しつつ収納から出して、朝・昼食用の木箱から取り出したスプーンを手に取る。
やっぱり味を確かめるのなら、一番美味しい部分からだろう。
そしてパンプディングの一番美味しい部分は、表面のパンがカリカリになった部分とプリン化した部分の境目。
もちろん異論は認めるけれど。容器の下部分、カラメルとくっついているところとか。
スプーンですくって口に運ぶ。
うん、やっぱり美味しい。訳がわからない説明で疲れた頭を癒やしてくれる。
『魔法Ⅱ』の1コマ目は、そんな説明から始まった。
ただし次の段落がとんでもない。
『以降の学習を効果的に進める為、貴方がより納得いく考え方を選んで下さい。なお選ばなかった側の解説についても読むことは可能ですし、学習途中で選択を変える事も可能です。
1 魔法とは神や悪魔等、超自然的な力あるものが関与する力である
2 神や悪魔、超自然的な力等を考慮しなくとも、魔法は実現可能である』
これって、まるで相反する考え方ではないのだろうか。
どちらの説明でも同じように、学習内容を満たすことが可能なのだろうか。
ただ単純に『神がいるか、いないか』『神を信じるか、信じないか』でないところは、割と上手いなと感じる。
『神を信仰していなくとも神の実在や関与は認める』なんて立場や、『神の実在を確信して信仰していても、魔法は科学で解明可能だ』なんて立場であっても、ちゃんと選べる選択肢で。
もちろん私が選ぶのは2だ。
1の説明に興味がないでもないけれど、それも読むことは可能らしいから問題ない。
2をタップすると、画面が切り替わった。
『それでは『神や悪魔、超自然的な力等を考慮しなくとも、魔法は実現可能である』という立場で、かつ現在の地球における知識を用いて、以降の説明を行います』
ふと私は思う。
私を惑星オーフに連れてきたり若返らせた存在こそ、ある意味神的な存在と言えるような気がすると。
いわゆる『神』というより、高度に発達した科学文明の産物という感じではあるけれど。
『魔法とは、過酷な自然環境を生き抜くために神が与えてくれた大いなる力である。科学技術及び科学的知識が広まっていない時代や場所から惑星オーフに移住した人々、及び惑星オーフで生まれた人々の大部分は今でもそう信じています。
彼らの知識では世界における全てのものは火、土、水、風、空の五行で成り立っているとされています。魔法も同様にこの5属性から体系づけられています』
まずは反対の立場からの説明が始まった。
ここからどう展開するのだろうと思いつつ、私は先へと目を走らせる。
『しかし地球における21世紀の科学知識を持つ皆さんが知っている通り、実際には物質は原子、更に微細化すると素粒子、更に微細化すると多次元の膜です。五行思想というものは、人間が証拠も無しに考え出したものにすぎません。
魔法は不明かつ検証不可能な力ではなく、科学技術において作り出された現象です。発達した科学技術を持たない人間社会であってもそれなりの生活水準を得る為に導入された、ヘリオ・ヘス・テルタ型開発の根幹をなす技術のひとつです』
このヘリオ何とかって、前にも聞いた気がする。
確かここへ来てすぐ、タブレットで言及されていたものだ。
あの時はあれこれ他に驚く事や考える事があったから、スルーしてしまった。
これは一体、何なのだろう。
『地球を開発したヘリオ・セス・ベータ型開発から派生した、サブプログラムです』
知識魔法はそれだけ語った後、沈黙する。
ならヘリオ・セス・ベータ型開発とは何だ。何の目的で何をどのように開発したんだ。
そう疑問を思い浮かべても返答はない。
何もわからない。でも名前と、知識魔法が返答しなかったという事については覚えておこう。
そう思って、そして画面を先へと進める。
『この魔法という技術は、人工細菌型マイクロマシンを媒介に使用しています。このマイクロマシンは通称『魔素《ナーナ》』と呼ばれ、環境によって発現する場所を変える特殊な長い遺伝子を持っています。また我々が認識可能な空間からは虚数解となる空間に、様々なものを貯蔵する事が可能です』
正体不明の開発から、科学技術を飛び越えSFにまで話が跳んだ。
それでも言っている意味は、一応ではあるが理解出来る。
『魔素は人間の脳に感染し、人間に魔素に対して命令を発信する機能を提供する形で共生します。なお惑星オーフに居住する人々は移住者を含め、感染済みです。
脳から魔素に対し命令を発信する事により、魔法を使用する事が可能となります』
人工細菌型マイクロマシンによって、魔法を実現させている。
ここまでの説明を要約すれば、こんな感じだろうか。
不明概念とか超科学的な分とか、知識魔法が回答してくれないような事とかは別として。
うん、ちょっと疲れた。
少し頭にエネルギーを補給しよう。
収納からパンプディングを取り出す。
さて、改良したパンプディングの味はどうだろう。
ちょっと苦めのカラメル、その分甘さ控えめのプリン卵液がどうなっているか。
まさか甘さ控えめ過ぎて、味気ない茶碗蒸しみたいになってはいないよな。
過去のプリン製造失敗例を思い出しつつ収納から出して、朝・昼食用の木箱から取り出したスプーンを手に取る。
やっぱり味を確かめるのなら、一番美味しい部分からだろう。
そしてパンプディングの一番美味しい部分は、表面のパンがカリカリになった部分とプリン化した部分の境目。
もちろん異論は認めるけれど。容器の下部分、カラメルとくっついているところとか。
スプーンですくって口に運ぶ。
うん、やっぱり美味しい。訳がわからない説明で疲れた頭を癒やしてくれる。
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※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
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