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拾遺録1 カイル君の冒険者な日々
俺達の決意⑾ 近づく気配?
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「ゴーレムに任せるって、どういう事だ?」
「動き方はゴーレム自身が知っているんだな。だから僕はゴーレムにこう動いてくれと頼むだけなんだな」
レズンの言葉の言語的な意味はわかる。
しかしゴーレム操縦法としての理解が出来ない。
だから俺よりゴーレムについて知っている筈のレウスに聞いてみる。
「そうなのか、レウス」
「僕の場合は違うな。ゴーレムを起動すると手や足のような身体の一部が新たに出来て、それを動かす感じだ」
レウスが言った事も俺が今まで理解していたゴーレムの動かし方と違う。
俺がゴーレムを操作する方法は、自分の意識をゴーレムに乗り移らせるというもの。
ずっと前、セレス先生に教わった方法だ。
あの時はどう教わっただろう。
確か授業の後、誰かがゴーレムについて質問した結果、翌週の時間外で体験会をやったのだ。
そう言えばあの時体験会で使ったゴーレムは、サリアが持ち歩いているTシリーズだったなと思い出す。
『ゴーレムに自分が乗り移ったように手足を操作してみて下さい。ゴーレムを動かす方法は他にもありますが、これが初めての人にとって一番やりやすい……』
そうだ、セレス先生は他にも方法はあると言っていたのだ。
俺がすっかり忘れていただけで。
でも、それならば。
「サリアはゴーレムを操作する場合、どう意識して動かしているんだ?」
ゴーレムに関して一番詳しいサリアに聞いてみた。
「私の場合はレウスと同じです。右手や左手と同じようにマグナスやコンボイという器官が身体にあって、それを動かしているという形です」
なるほど。ならば俺が少しでも真似できそうなのはレズンの方法だ。
今の俺はゴーレムを身体の器官として認識出来ないから。
俺は意識してみる。
インゲボルグ、前進してくれ、1腕先へ。
黒色の子犬型ゴーレムは、尻尾を振りながらとことこ前進。
思った以上にあっさりと動いた。
本当にこれでいいのだろうか。
あっけなさ過ぎて逆に疑問が生じてしまう。
ならば確かめてみよう。
半腕走って右へターン、ダッシュで進んでジャンプ!
動いた! 今思った通りだ!
ならば今度はインゲボルグの視点を見ながら戦闘機動をイメージした動きをしてみよう。
右、左、ジャンプして反転!
これも出来た。
今までより遙かに自在に動かせる。
「なるほど、こうすればゴーレムを動かせるのか」
アギラの言葉で俺は我に返る。
ついインゲボルグの操作に夢中になってしまっていたようだ。
これなら今までよりゴーレムを遙かに思い通りに動かせる。
ただ動かせるようになった事で、新たな問題点にも気付いた。
問題点というか次の課題と言うべきか。
その辺りはインゲボルグではなくセイバーで試してみよう。
しかしその前に言っておくべき事がある。
レズン、レウス、そしてサリアに。
「ありがとう。やっとゴーレムの動かし方がわかった気がする」
勿論ゴーレムの動かし方がわかったからと言って、すぐに思い通り動かせる訳ではない。
それでも今までよりは大分ましになる筈だ。
今すぐ試してみよう。
今の感覚を忘れないうちに。
俺はインゲボルグを操作してサリアの前へ移動させ、起動解除した後、立ち上がる。
「ちょっと1人で練習してみる。どう操作すればどう動くか、一通りセイバーで確認したい」
◇◇◇
次の日も朝から俺とレウスはゴーレムで近接格闘訓練。
しかし昨日までとは様相が違う。
レウスはやはり強い。
それでも模擬試合で打ち合いが続く程度には俺も強くなった。
あともう少しという感じだ。
ただ打ち合いが続くようになるとその分疲れる。
動いているのはゴーレムで俺の身体では無い。
それでも頭の方は自分が動いているのと同じくらいに疲れるのだ。
そんな訳で10試合終わったところで休憩。
「カイルさん、一気に強くなったなあ。これじゃもうすぐ勝てなくなりそうだ」
俺もレウスも身体は自分用の小天幕。
だから会話はゴーレムを通じてだ。
会話は自分が話すのと同じような意識で可能。
視覚も聴覚も嗅覚もゴーレムのものをそのまま使える。
Tシリーズは目も耳も鼻も口もあるから。
「いや、ここからが先を詰めるのが大変なんだ、きっと。ロディマスの動きに反応出来るようにはなったけれど、動きがまだ駄目だしさ」
俺の動きの癖とセイバーの動きの癖は違う。
だから所々で俺の指示したイメージと違う動きをしてしまうのだ。
「俺はどうセイバーが動くか、何度も訓練して熟知する必要がある。その上で最適な指示と動きを出せるようにならないとな」
「そう言えば姉さんが言っていたな。ゴーレムによって動きの癖が少し違うって。だから何かあるとついマグナスを優先して使ってしまうんだって。
僕はどのゴーレムを使ってもあまり違いは感じないけれど」
なるほど、そういう事もあるのか。
そう思って気付く。
「それなら俺にもセイバーよりあったゴーレムがあるのかもしれない訳か」
理想はどのゴーレムも使いこなせる事だ。
しかし今回は出来るだけ早く戦えるようになった方がいい。
それなら自分にあったゴーレムを使うべきだろう。
「姉さんに頼んで今あるTシリーズゴーレムを試してみよう。僕が今使っているロディマス含めてさ」
「今はどのゴーレムを討伐に使っている?」
「姉さんは偵察・監視にインゲボルグとユースタシアを使っている。レズンさんとアギラさんはライオとビッグを使っているから、コンボイとマグナスは大丈夫だと思う」
「行くか」
今は俺も自分とゴーレムを同時に歩かせる事が出来る。
俺はゴーレムを歩かせつつ、個人用の小天幕の中から自分の身体を起こした。
そのまま立ち上がり、靴を履いて天幕の外へ。
ちょうどレウスが自分の小天幕から出てきたところだった。
セイバーとロディマスも広場の方からやって来る。
2人と2体でサリアがいる大天幕へ。
中へ入るとサリアの他、Tシリーズのマグナスが出ていた。
見たところ自分とゴーレムで連弩を作っていたようだ。
「話は聞こえています。もう少し待って下さい。もう少しで連弩のギア部分が完成します。そうすればマグナスを貸し出せ……」
サリアの言葉が不自然に止まる。
見ると目を瞑って何か考えているような感じだ。
「どうしたの、姉さん!」
「何かとんでもない速さで近づいてきます。人です。これは超高速移動魔法……でもフミノ先生ではありません。知らない人です」
何だって!
「動き方はゴーレム自身が知っているんだな。だから僕はゴーレムにこう動いてくれと頼むだけなんだな」
レズンの言葉の言語的な意味はわかる。
しかしゴーレム操縦法としての理解が出来ない。
だから俺よりゴーレムについて知っている筈のレウスに聞いてみる。
「そうなのか、レウス」
「僕の場合は違うな。ゴーレムを起動すると手や足のような身体の一部が新たに出来て、それを動かす感じだ」
レウスが言った事も俺が今まで理解していたゴーレムの動かし方と違う。
俺がゴーレムを操作する方法は、自分の意識をゴーレムに乗り移らせるというもの。
ずっと前、セレス先生に教わった方法だ。
あの時はどう教わっただろう。
確か授業の後、誰かがゴーレムについて質問した結果、翌週の時間外で体験会をやったのだ。
そう言えばあの時体験会で使ったゴーレムは、サリアが持ち歩いているTシリーズだったなと思い出す。
『ゴーレムに自分が乗り移ったように手足を操作してみて下さい。ゴーレムを動かす方法は他にもありますが、これが初めての人にとって一番やりやすい……』
そうだ、セレス先生は他にも方法はあると言っていたのだ。
俺がすっかり忘れていただけで。
でも、それならば。
「サリアはゴーレムを操作する場合、どう意識して動かしているんだ?」
ゴーレムに関して一番詳しいサリアに聞いてみた。
「私の場合はレウスと同じです。右手や左手と同じようにマグナスやコンボイという器官が身体にあって、それを動かしているという形です」
なるほど。ならば俺が少しでも真似できそうなのはレズンの方法だ。
今の俺はゴーレムを身体の器官として認識出来ないから。
俺は意識してみる。
インゲボルグ、前進してくれ、1腕先へ。
黒色の子犬型ゴーレムは、尻尾を振りながらとことこ前進。
思った以上にあっさりと動いた。
本当にこれでいいのだろうか。
あっけなさ過ぎて逆に疑問が生じてしまう。
ならば確かめてみよう。
半腕走って右へターン、ダッシュで進んでジャンプ!
動いた! 今思った通りだ!
ならば今度はインゲボルグの視点を見ながら戦闘機動をイメージした動きをしてみよう。
右、左、ジャンプして反転!
これも出来た。
今までより遙かに自在に動かせる。
「なるほど、こうすればゴーレムを動かせるのか」
アギラの言葉で俺は我に返る。
ついインゲボルグの操作に夢中になってしまっていたようだ。
これなら今までよりゴーレムを遙かに思い通りに動かせる。
ただ動かせるようになった事で、新たな問題点にも気付いた。
問題点というか次の課題と言うべきか。
その辺りはインゲボルグではなくセイバーで試してみよう。
しかしその前に言っておくべき事がある。
レズン、レウス、そしてサリアに。
「ありがとう。やっとゴーレムの動かし方がわかった気がする」
勿論ゴーレムの動かし方がわかったからと言って、すぐに思い通り動かせる訳ではない。
それでも今までよりは大分ましになる筈だ。
今すぐ試してみよう。
今の感覚を忘れないうちに。
俺はインゲボルグを操作してサリアの前へ移動させ、起動解除した後、立ち上がる。
「ちょっと1人で練習してみる。どう操作すればどう動くか、一通りセイバーで確認したい」
◇◇◇
次の日も朝から俺とレウスはゴーレムで近接格闘訓練。
しかし昨日までとは様相が違う。
レウスはやはり強い。
それでも模擬試合で打ち合いが続く程度には俺も強くなった。
あともう少しという感じだ。
ただ打ち合いが続くようになるとその分疲れる。
動いているのはゴーレムで俺の身体では無い。
それでも頭の方は自分が動いているのと同じくらいに疲れるのだ。
そんな訳で10試合終わったところで休憩。
「カイルさん、一気に強くなったなあ。これじゃもうすぐ勝てなくなりそうだ」
俺もレウスも身体は自分用の小天幕。
だから会話はゴーレムを通じてだ。
会話は自分が話すのと同じような意識で可能。
視覚も聴覚も嗅覚もゴーレムのものをそのまま使える。
Tシリーズは目も耳も鼻も口もあるから。
「いや、ここからが先を詰めるのが大変なんだ、きっと。ロディマスの動きに反応出来るようにはなったけれど、動きがまだ駄目だしさ」
俺の動きの癖とセイバーの動きの癖は違う。
だから所々で俺の指示したイメージと違う動きをしてしまうのだ。
「俺はどうセイバーが動くか、何度も訓練して熟知する必要がある。その上で最適な指示と動きを出せるようにならないとな」
「そう言えば姉さんが言っていたな。ゴーレムによって動きの癖が少し違うって。だから何かあるとついマグナスを優先して使ってしまうんだって。
僕はどのゴーレムを使ってもあまり違いは感じないけれど」
なるほど、そういう事もあるのか。
そう思って気付く。
「それなら俺にもセイバーよりあったゴーレムがあるのかもしれない訳か」
理想はどのゴーレムも使いこなせる事だ。
しかし今回は出来るだけ早く戦えるようになった方がいい。
それなら自分にあったゴーレムを使うべきだろう。
「姉さんに頼んで今あるTシリーズゴーレムを試してみよう。僕が今使っているロディマス含めてさ」
「今はどのゴーレムを討伐に使っている?」
「姉さんは偵察・監視にインゲボルグとユースタシアを使っている。レズンさんとアギラさんはライオとビッグを使っているから、コンボイとマグナスは大丈夫だと思う」
「行くか」
今は俺も自分とゴーレムを同時に歩かせる事が出来る。
俺はゴーレムを歩かせつつ、個人用の小天幕の中から自分の身体を起こした。
そのまま立ち上がり、靴を履いて天幕の外へ。
ちょうどレウスが自分の小天幕から出てきたところだった。
セイバーとロディマスも広場の方からやって来る。
2人と2体でサリアがいる大天幕へ。
中へ入るとサリアの他、Tシリーズのマグナスが出ていた。
見たところ自分とゴーレムで連弩を作っていたようだ。
「話は聞こえています。もう少し待って下さい。もう少しで連弩のギア部分が完成します。そうすればマグナスを貸し出せ……」
サリアの言葉が不自然に止まる。
見ると目を瞑って何か考えているような感じだ。
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