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そして、舞台は始まった。
落ちてきた、落ちてきた。
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とある伯爵騎士の。
その日は憂鬱だった。
私の名前はアラドという。
これから”とある名門貴族”のところに偵察に行かなくてはいけない。
この名門貴族が厄介だった。
主である父親は黒い噂の絶えない方で、彼の息子娘たちもいい噂は聞かない。
そして彼の一番長女にあたる娘禍罪子と噂で聞いている。
禍罪子は、貴族の家に生まれた特定の容姿を持つ子供のことをいう。
特定の容姿というのは髪は白濁酒(※)ように白く、瞳は血のように朱いと聞く。
生まれた家には不幸が訪れるとか、ほとんど迷信で信憑性のかけらもない。
貴族ならいろんな噂、醜聞があるのは事実だが隠そうとせず、
あからさまにここまで広まっていること自体少し驚きだ。
馬の声が聞こえ、馬車は目的地についたのだとわかった。
重い足取りで降り、屋敷の門の前まできて気づいた。
門番がいない、貴族の家としてこれは大丈夫なのだろうか。
富を持つものは狙われる。
大なり小なり、これは事実だろう。
これでは誘拐しろと言わんばかりではないか。
門をくぐり、誰にも会わず白い煉瓦の道を歩く。
門番がいない上に、庭師もみかけない、この屋敷の防犯は大丈夫なのか、と。
そう要らぬ世話まで焼きそうになるところだったが。
いつも俺は短気だと、怒られていたからな。
少し落ち着こうと思う、できるかぎりでだが。
家の前に綺麗な彫刻の施された噴水がある。
女神のような女性を模した彼女。
とくに芸術に通じているわけではないが、屋敷の主のセンスなのだろうか。
そんなことをふと思ってみた。
突然、それは視界に飛び出した。
2階の窓から誰かが落ちてくる。
身投げか?!目の前で死なれてしまっては目覚めが悪い。
俺は駆け出して、寸前のところで受け止めることがきでた。
流石に勢いまでは殺せなくてそのまま後ろに倒れる。
背筋に走る痛みにこらえながら目を開ければ、映り込んだのは白。
雪のように、けれどどこか暖かな、白。
病的に白い肌や来ている白い服も相まってどこか、
この世界のものじゃない、なんて馬鹿な考えが浮かんだ。
「っ!!き、君はけがはないか!?」
儚げな少女、15、6歳といったくらいだろうか。
反応がなく、嫌な予感がしてとっさにそう聞いた。
ううっとうなったあと小さい声で「大丈夫です」と答えた。
鈴の音が転がるような、そんな声。
彼女の瞳が気になってずっと見ていた。
ふと視線が交わる。
―――朱。
それは禍罪子の証。
俺は言葉を出していた。
「君は禍罪子なのか?」
彼女が肩震えた気がした。
しまった、年頃の女性に言う言葉じゃない。
禍罪子は差別や侮蔑を込めて言う人だっているのだ。
「す、すまない直接聞くようなことじゃないな、失礼した」
そう謝罪を挟むと彼女は気にしてないという。
それは嘘だ、ならなぜこちらを見ない。
言いたかったが、先ほど言った言葉の手前いえるわけがなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(※)白濁酒:この地方の名産、メニという白い果実からとった白濁とした汁からつくられる酒。
見た目はたいそう悪いが甘く、美味しいと評判。
残念ながらベルギー産の白濁という酒ではないです。
アラド・フェン伯爵騎士
とあるイベント中、ヘンタイダーと主人公に言われネタキャラにされた攻略対象の一人。
彼の異常性癖があまりにもヘンタイダーだったために、変態伯爵と汚名をファンから頂いた。
騎士ともあって剣術に通じ、性癖が発症しなければ一番イケメンしていたであろう人物。
性別:男性
年齢:28歳
容姿:金髪、青目、普通にイケメン
経歴:トリス・エンディミオン子爵と友人、以下未開封
異常性癖:未開封
とある伯爵騎士の。
その日は憂鬱だった。
私の名前はアラドという。
これから”とある名門貴族”のところに偵察に行かなくてはいけない。
この名門貴族が厄介だった。
主である父親は黒い噂の絶えない方で、彼の息子娘たちもいい噂は聞かない。
そして彼の一番長女にあたる娘禍罪子と噂で聞いている。
禍罪子は、貴族の家に生まれた特定の容姿を持つ子供のことをいう。
特定の容姿というのは髪は白濁酒(※)ように白く、瞳は血のように朱いと聞く。
生まれた家には不幸が訪れるとか、ほとんど迷信で信憑性のかけらもない。
貴族ならいろんな噂、醜聞があるのは事実だが隠そうとせず、
あからさまにここまで広まっていること自体少し驚きだ。
馬の声が聞こえ、馬車は目的地についたのだとわかった。
重い足取りで降り、屋敷の門の前まできて気づいた。
門番がいない、貴族の家としてこれは大丈夫なのだろうか。
富を持つものは狙われる。
大なり小なり、これは事実だろう。
これでは誘拐しろと言わんばかりではないか。
門をくぐり、誰にも会わず白い煉瓦の道を歩く。
門番がいない上に、庭師もみかけない、この屋敷の防犯は大丈夫なのか、と。
そう要らぬ世話まで焼きそうになるところだったが。
いつも俺は短気だと、怒られていたからな。
少し落ち着こうと思う、できるかぎりでだが。
家の前に綺麗な彫刻の施された噴水がある。
女神のような女性を模した彼女。
とくに芸術に通じているわけではないが、屋敷の主のセンスなのだろうか。
そんなことをふと思ってみた。
突然、それは視界に飛び出した。
2階の窓から誰かが落ちてくる。
身投げか?!目の前で死なれてしまっては目覚めが悪い。
俺は駆け出して、寸前のところで受け止めることがきでた。
流石に勢いまでは殺せなくてそのまま後ろに倒れる。
背筋に走る痛みにこらえながら目を開ければ、映り込んだのは白。
雪のように、けれどどこか暖かな、白。
病的に白い肌や来ている白い服も相まってどこか、
この世界のものじゃない、なんて馬鹿な考えが浮かんだ。
「っ!!き、君はけがはないか!?」
儚げな少女、15、6歳といったくらいだろうか。
反応がなく、嫌な予感がしてとっさにそう聞いた。
ううっとうなったあと小さい声で「大丈夫です」と答えた。
鈴の音が転がるような、そんな声。
彼女の瞳が気になってずっと見ていた。
ふと視線が交わる。
―――朱。
それは禍罪子の証。
俺は言葉を出していた。
「君は禍罪子なのか?」
彼女が肩震えた気がした。
しまった、年頃の女性に言う言葉じゃない。
禍罪子は差別や侮蔑を込めて言う人だっているのだ。
「す、すまない直接聞くようなことじゃないな、失礼した」
そう謝罪を挟むと彼女は気にしてないという。
それは嘘だ、ならなぜこちらを見ない。
言いたかったが、先ほど言った言葉の手前いえるわけがなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(※)白濁酒:この地方の名産、メニという白い果実からとった白濁とした汁からつくられる酒。
見た目はたいそう悪いが甘く、美味しいと評判。
残念ながらベルギー産の白濁という酒ではないです。
アラド・フェン伯爵騎士
とあるイベント中、ヘンタイダーと主人公に言われネタキャラにされた攻略対象の一人。
彼の異常性癖があまりにもヘンタイダーだったために、変態伯爵と汚名をファンから頂いた。
騎士ともあって剣術に通じ、性癖が発症しなければ一番イケメンしていたであろう人物。
性別:男性
年齢:28歳
容姿:金髪、青目、普通にイケメン
経歴:トリス・エンディミオン子爵と友人、以下未開封
異常性癖:未開封
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