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そして、舞台は始まった。
八つ当たり、八つ当たり。
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目の前にはイケメンがいました。
私は大変なミスを犯してしまったようです。
まず少しゲームの話をさせてください。
このゲーム、ダークネソフィアの主人公の家系にはトクベツな力があります。
昔、華仙という国から花嫁を受け入れました。
和名はその花嫁の国のものです。
ですのでこの国には和名は私たちの血筋の者しかいないはずです。
華仙の国、その花嫁はとある力を持っていたのです。
それからというものの、家の血筋が濃いほどに
息子、娘にはとある能力を持つものが現れるようになりました。
その力というのは ”声”の力。
詳しいことはまたいつか、ご説明させてください。
問題というのは、この力は公には秘密ですが、一部の皇族の方には明かしているのです。
それで王家の人は心配性なのか”妹”である主人公を引き取りに来ます。
保護の名目上で、ですよ。
さて、現実に目を向けましょう。
目の前にいる人、アラド・フェン伯爵騎士さん。
彼が家に来ているのはそうゆうことです。
とあるフラグを夜会で立てますと、彼が家に現れるイベントがでます。
つまり今日は彼と妹が初めて出会うイベントが発生していたようです。
私は二階あそこから落ちても死にません。
絶対に怪我一つ負わない理由があります。
だからこそ飛び降りました。
ですが彼に会うくらいなら別の行動を考えたほうが良かったかもしれません。
いや、まだ間に合うでしょうか。
彼、出会ってしまった時点でひとつフラグを立てられるのですよ。
ゲームのシステム上、死亡フラグのひとつ”暗殺者イベント”のフラグになるのです。
家に暗殺者が侵入し誘拐をしようとするイベントです。
姉はこれに巻き込まれて死んでしまうルートもあります。
今弟というフラグから逃げてきたところですのに災難です。
「なぜ、助けたのですか」
そう問いかければ呆気にとられた顔をされる。
まさかこんな質問が飛んでくるなんて思わなかっただろう。
けれど、私からしてみればいい迷惑だ。
その要らぬ世話のせいで死亡フラグがひとつ立ってしまったのだから。
これは八つ当たりなのだと思う。
「助けなくてもよかったのですよ」
死亡フラグ的な意味で。
それは一度立ってしまえば、なかなかへし折ることはできない。
それこそ彼の言っていた”強制力”なのかもしれない。
「余計なことはしないで」
そう言い放てばすこし気が晴れた。
彼には悪いことをしている自覚はあったけれど、仕方ないと思う。
「なぜ貴方は死にたがるのか、教えてくれないか」
完全にタイミングが悪かったのだ。
ああ、この人には私が自殺をするとても見えていたのだろう。
「私は死なない」
真っ直ぐと彼を見る。
曇りのない瞳、それが善意からの行動だと見てとれる。
けれど私にとってのその行動は、まるで真綿で首をゆっくり締め付けているのと同じ。
「助ける」
彼はそう短くいった。
私も言い返す。
「やめてください」
何もしなくていい。
攻略対象が主人公以外に何かしていいことなんてない。
自己満足の結果が死亡フラグなら、いい迷惑。
私は先に進んで屋敷の扉を開ける。
少し戸を開いて、もう一度口を開いた。
「さぁ、お進みください」
妹を、よろしくおねがいしますね。
彼が通り過ぎる時、私は彼にそう囁いた。
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