15歳から始まる悪女人生計画。

🐾🐾

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そして、舞台は始まった。

守れ、守ってくれ。

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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とある親の心情。


私は娘を守りたかった。
その為なら、その為だからこそ、
身に覚えのない汚名も恥ずかしくはなかった。
口に出すことはかなわないが、私は娘たちが一番大切だ。
もう愛してると語り合うこともできない妻との、忘れ形見。
失うわけにはいかない。




私は腰を落としていた椅子から立ち上がり、自室を出て正面玄関に向かう。
今日この館に国王からの使者が遣わされた。
書状が届いていたが、内容について言及されていなかったが
嫌な予感がすることだけは確かだ。
これから使者に会いに行くが。

想像はつく。

娘を、引き取りに来たのだろう。
私はどうすればいいと思う。
私の愛しき妻よ。
貴方が授けてくれた子らは元気に育った。
私も愛情を注いで、とはうまくいかなかったが
けれど君なら許してくれるだろうか。

託してもいいと思うか?
休んでもいいと思うか?

もう十分戦った。
見えない敵と、数えきれない憎悪と。
私の私たちの声の力は否応なく、敵を作るのだから。
子らをなるべくそれから遠ざけるために、
屋敷には信用のおけるものしか雇わなかった。
本当なら国王すら私は疑っている。
あのうさんくさい顔が嘘をつく所なんぞ想像もつかないが、
だがあいつ以外に託せるのかと聞かれればいない。
私が守れるのも長くない。
この声の力は消耗するのだから。

息子達は受け継がれなかった声の力。
娘たちには受け継がれていた。
どれほど嘘だと言ったか。
嘘だと、信じたかったことか。
娘たち、とくに姉であるあの子には苦労をかけてしまった。
10歳の時に起きてしまった”あれ”は私が防いでやるはずだった。
妹のためだからと言って、変わってしまったあの子を
私は笑顔で受け入れてやるほどの器はなかった。
柄にもなく、はたいてしまった。
それほど、悲しかったのかもしれない。

変わってしまった。

変質した力ほど恐ろしいものは、ないのだから。



気配がする。
すでに使者は来られているようだ。
戸を開けている娘が見える。
進められて男が入ってきた。
彼は娘たちを本当に守ってくれるのだろうか。



一抹の不安と、期待をかけざるをえなかった。

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