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彼女になった理由
進む、進む。
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
はいどうも姉です。
見事、フラグをひとつへし折ったようです。
妹が国王の元、保護されるルートに入ったようです。
このルートですと、たしか姉は家に残され特に音沙汰なく
登場しなくなるルートなので安全は確実なのではないでしょうか?
と浮かれております。
だってゲーム主人公からすればこのルートは
とても危険で波乱万丈なのですが、私からすればどれだけ安全か。
とにかく私はここからのんびり過ごしていこうと思います。
そうですね、たまには町に出かけるのもいいんじゃないでしょうか。
死亡フラグはなくなったのですし、きっと彼の言っていた強制力?とやらも
もう私にかかわってくることなんてないでしょう!
と楽観視していた自分を殴りたいです。
父上にお願いして馬車を出していただきました。
お屋敷からでる風景を見る機会は少ないので、すこし新鮮です。
人々が行きかう町並み、どこからか香ばしいパンの香り。
またどこからかは大好きなコーヒーの香り。
パタパタと風に揺れる記念祭の旗。
街角にはいくつもの露店が並び、景気のいい声がそこらかしこから聞こえてくる。
記念祭、これはゲームイベントのひとつであります。
今日は国王の一人息子であるナルロス王子の誕生記念祭です。
彼も攻略対象の一人です、王宮ルートに入ると主人公との接触イベントがありますね。
私は心躍る気持ちで町並みを歩きます。
食欲そそる食べ物、飲み物、はやりの服、綺麗なガラス細工。
ガラス細工はこの町の有名な工芸品です。
守護のおまじないの効果があるものから、恋愛成就のおまじない、色々ありますよ。
私も一つ欲しいところですが、残念です。
少し手が届かないですね。
その、あれなんですよ。
ちょっとだけ値が張るのです。
転生前の世界で例えるならば、私のおこずかいは月にゲームソフトが一本買えるとしましょう。
ガラス細工の品は同じく、ゲームソフト一本分です。
ええ、つまりちょっとお高いのです。
凄くかわいい、のが目に入ってしまいました。
朱色のガラスと銀装飾が綺麗なイヤリングです。
定員さんも私の視線に気づいたのか、小声で今ならお安くしますよ。と言ってくれた。
けれど私の財布のひもはそう簡単には揺るぎません。
せっかくのお祭りです。
この後も楽しみたいならここでこれを買ってしまうのは得策じゃないです。
そうやって悶々と悩んでいるとふと、背後から声がとんできました。
「おねーさんはこれが欲しいのですか?」
振り返れば背筋が凍りました。
一見すれば町の人は彼が誰だかわからないでしょう。
ですがゲームプレイ済みの私の視界に映る彼。
彼にある立ち絵が重なって見えます。
お察しでしょうとも。
銀の少し長い髪は黒いリボンで片方でまとめて、
服装もすこし流行を感じるようにまとまっています。
一見すればおしゃれな町人Aといったところでしょうか。
ですが、彼がナルロス王子です。
「え、あの、どうかしましたか」
答えなければ怪しまれる、そう私はとっさに考えて体裁を取り繕います。
ここは穏便に済ませて、祭りにもどりましょう。
ナルロス王子がどうしてここにいるのでしょう。
「いやぁ、おねーさんすごいこれ、欲しそうにずっと眺めてたから嫌でも目についちゃって」
私はそんなに見ていたのですか?!
自分でも自覚してないほど、それほどまでに見入っていたのでしょうか。
かなり恥ずかしいです。
「で、売り子のおねえさんはこれ、いくら?」
待ってましたと言わんばかりの笑顔で売り子は言います。
え、その前に待ってください。
いまこの人なんて言いました!?
「可愛い彼女ですし、おまけして千ルートでいいですよ」
おお、それはうれしいねと言って財布を取り出します。
私は慌ててそれをとめました。
「待ってください、え、買うのですか?!」
そう聞けばすこしびっくりしたような顔をして言います。
「うん、ほしいんでしょおねーさん」
イヤイヤ悪いです。と言って静止しようとしても手慣れた手つきで、ささっと出してしまう。
「はいおねーさん、あげる」
そういって”記念祭”ロゴ入りのかわいい箱に入ったそれを押し付けてきます。
普通の子ならば、ラッキーと嬉しそうに受け取るのでしょうが。
私には地獄への切符に見えました。
「どうして、でしょう」
そう質問を投げかければ、小首を傾げて聞かれました。
「理由は必要なの?」
質問で質問を返さないでほしいです。
彼は歩き出します。
流石にお礼も言わないのは失礼なので、
不服ですが歩き出す彼の手を引いて引き留め、言います。
「その、ありがとうございます、ナルロス王――」
とその時私は突然手で口を塞がれました。
唐突なことで息もままならず、酸素を欲して体は息苦しさを訴えてきます。
手をどけようにも力が強いので、私は彼の胸板をたたいて訴えます。
怖い表情をしていた彼も顔色が変わった私をみれば、察したのか申し訳なさそうに手を放します。
「ああ、ごめん、でもお忍びだから名前はいわないで」
ああ、そうですよね。
王子が簡単にここにいるわけないですものね。
うわぁ、なんで気づかなかったのだろう。
絶対フラグへし折ったって浮かれてたせいですね。
「いえ、こちらこそすみません、では」
私は半分そそくさとその場を去ろうとします。
ですが彼がさっきの私のように、手を引いて静止させました。
え、嫌な予感がします。
「ちょっと、きて」
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はいどうも姉です。
見事、フラグをひとつへし折ったようです。
妹が国王の元、保護されるルートに入ったようです。
このルートですと、たしか姉は家に残され特に音沙汰なく
登場しなくなるルートなので安全は確実なのではないでしょうか?
と浮かれております。
だってゲーム主人公からすればこのルートは
とても危険で波乱万丈なのですが、私からすればどれだけ安全か。
とにかく私はここからのんびり過ごしていこうと思います。
そうですね、たまには町に出かけるのもいいんじゃないでしょうか。
死亡フラグはなくなったのですし、きっと彼の言っていた強制力?とやらも
もう私にかかわってくることなんてないでしょう!
と楽観視していた自分を殴りたいです。
父上にお願いして馬車を出していただきました。
お屋敷からでる風景を見る機会は少ないので、すこし新鮮です。
人々が行きかう町並み、どこからか香ばしいパンの香り。
またどこからかは大好きなコーヒーの香り。
パタパタと風に揺れる記念祭の旗。
街角にはいくつもの露店が並び、景気のいい声がそこらかしこから聞こえてくる。
記念祭、これはゲームイベントのひとつであります。
今日は国王の一人息子であるナルロス王子の誕生記念祭です。
彼も攻略対象の一人です、王宮ルートに入ると主人公との接触イベントがありますね。
私は心躍る気持ちで町並みを歩きます。
食欲そそる食べ物、飲み物、はやりの服、綺麗なガラス細工。
ガラス細工はこの町の有名な工芸品です。
守護のおまじないの効果があるものから、恋愛成就のおまじない、色々ありますよ。
私も一つ欲しいところですが、残念です。
少し手が届かないですね。
その、あれなんですよ。
ちょっとだけ値が張るのです。
転生前の世界で例えるならば、私のおこずかいは月にゲームソフトが一本買えるとしましょう。
ガラス細工の品は同じく、ゲームソフト一本分です。
ええ、つまりちょっとお高いのです。
凄くかわいい、のが目に入ってしまいました。
朱色のガラスと銀装飾が綺麗なイヤリングです。
定員さんも私の視線に気づいたのか、小声で今ならお安くしますよ。と言ってくれた。
けれど私の財布のひもはそう簡単には揺るぎません。
せっかくのお祭りです。
この後も楽しみたいならここでこれを買ってしまうのは得策じゃないです。
そうやって悶々と悩んでいるとふと、背後から声がとんできました。
「おねーさんはこれが欲しいのですか?」
振り返れば背筋が凍りました。
一見すれば町の人は彼が誰だかわからないでしょう。
ですがゲームプレイ済みの私の視界に映る彼。
彼にある立ち絵が重なって見えます。
お察しでしょうとも。
銀の少し長い髪は黒いリボンで片方でまとめて、
服装もすこし流行を感じるようにまとまっています。
一見すればおしゃれな町人Aといったところでしょうか。
ですが、彼がナルロス王子です。
「え、あの、どうかしましたか」
答えなければ怪しまれる、そう私はとっさに考えて体裁を取り繕います。
ここは穏便に済ませて、祭りにもどりましょう。
ナルロス王子がどうしてここにいるのでしょう。
「いやぁ、おねーさんすごいこれ、欲しそうにずっと眺めてたから嫌でも目についちゃって」
私はそんなに見ていたのですか?!
自分でも自覚してないほど、それほどまでに見入っていたのでしょうか。
かなり恥ずかしいです。
「で、売り子のおねえさんはこれ、いくら?」
待ってましたと言わんばかりの笑顔で売り子は言います。
え、その前に待ってください。
いまこの人なんて言いました!?
「可愛い彼女ですし、おまけして千ルートでいいですよ」
おお、それはうれしいねと言って財布を取り出します。
私は慌ててそれをとめました。
「待ってください、え、買うのですか?!」
そう聞けばすこしびっくりしたような顔をして言います。
「うん、ほしいんでしょおねーさん」
イヤイヤ悪いです。と言って静止しようとしても手慣れた手つきで、ささっと出してしまう。
「はいおねーさん、あげる」
そういって”記念祭”ロゴ入りのかわいい箱に入ったそれを押し付けてきます。
普通の子ならば、ラッキーと嬉しそうに受け取るのでしょうが。
私には地獄への切符に見えました。
「どうして、でしょう」
そう質問を投げかければ、小首を傾げて聞かれました。
「理由は必要なの?」
質問で質問を返さないでほしいです。
彼は歩き出します。
流石にお礼も言わないのは失礼なので、
不服ですが歩き出す彼の手を引いて引き留め、言います。
「その、ありがとうございます、ナルロス王――」
とその時私は突然手で口を塞がれました。
唐突なことで息もままならず、酸素を欲して体は息苦しさを訴えてきます。
手をどけようにも力が強いので、私は彼の胸板をたたいて訴えます。
怖い表情をしていた彼も顔色が変わった私をみれば、察したのか申し訳なさそうに手を放します。
「ああ、ごめん、でもお忍びだから名前はいわないで」
ああ、そうですよね。
王子が簡単にここにいるわけないですものね。
うわぁ、なんで気づかなかったのだろう。
絶対フラグへし折ったって浮かれてたせいですね。
「いえ、こちらこそすみません、では」
私は半分そそくさとその場を去ろうとします。
ですが彼がさっきの私のように、手を引いて静止させました。
え、嫌な予感がします。
「ちょっと、きて」
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