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彼女になった理由
落胆と、希望と。
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
例の貴族から彼女あれが今日届く。
それを見た瞬間、私は落胆を隠せなかった。
”この程度”なのか、と。
あの家の血筋は特別だ。
外の華仙の力を入れてからはなおさらその色を濃くした。
代々素晴らしい力を秘めた児子が誕生する。
王家としてもそれはうれしいことである。
今回も前と同じように保護という名目上で、こちらで引きうとることになった。
父親であるアンデルは当初ひどく拒絶していたのが気がかりだが、
引き受けてくれたのがさして気にはしていない。
理由は気にはなるが、やはり断ると言われてもらっては困る。
そう、私はこの時期待していた。
今代の息子達は力を引き継ぎはしなかったらしい。
実力はある分残念な話ではある。
しかし娘たちは力を引き継ぎ、色濃くその力は発現したらしい。
嬉しいその話だ、しかしここ最近は詳しく聞けていない。
その話を聞いたのも彼女が8,9歳のころの話だ。
しかし、昔のその力も年を重ねれば強くなるもの、
今ではどのように成長したのか胸が躍ってしまう。
玉座に座り、彼女達が現れる。
今代の貴族達から輩出された者たちは全員で5名だ。
その中でも女児は一人ともあって浮いていた。
目を凝らしそれぞれの秘めたる力を見比べる。
そして、気づいてしまった。
彼女、妹君にはそれには全くと言っていいほど、力がなかった。
かすかに残滓のようなものを感じる。
しかしそれといっても、風前の灯火のように目を凝らさなければ気づけないものだ。
アンデルはふざけているのか。
彼女は偽物なのか、本物なのか。
衝動に駆られて私は席を立ち、彼女に詰め寄る。
「お前は何者だ」
少女は興味なさげに答えた。
「貴方は知る必要ないんじゃないのかな」
あっけとする。
周囲すべてはその時、その空気に飲まれてしまった。
彼女は何と言った?なんと言った?
この国の王である人になんて言葉遣いを!不敬だ!そんな言葉が飛び交い始める。
「ああ、でも言わないのも失礼ですね、私はーーーと言います」
この国と華仙の国の言葉が混じり不思議な響きを持つそれ。
それは明らかにそのものが”異人”であることを色濃く表していた。
「では一つ質問だ、そなたは力を持っているか」
とその言葉を聞いて優美は肩を揺らした。
おびえた気配を見せたが、それも一瞬。
すぐに強い光を帯びた瞳が射抜く。
「貴方は、知る、必要ないよ」
同じ言葉を言う。
面白い、こうまでして彼女は何を守っているのだろうか。
その時背後である玉座の隣の男。
彼女たちを出向いた男、アラド・フェン伯爵騎士は口を開いた。
「ああ、王子申し忘れておりましたが、姉のほうは無理そうだった
父君にお断りされましたよ、今は絶対に無理だとね」
場を濁すように彼は唐突に違うことを言った。
その言葉に一番驚いたのは目の前の彼女だ。
「姉さまを巻き込む気だったの!?」
目の色がさっきと変わる。
強い意志はある、しかしそこには暗い影が映っていた。
憎しみといえるそれは、憎悪、嫌悪、それらに類するなにか。
そして邪な気配とともに彼女に変化が現れる。
力が、現れていた。
先程とは段違いの力。
「素晴らしいね、その力」
つい感嘆の声が漏れてしまう、惚れ惚れしてしまいそうになる。
間違いない、彼女はこの場だけなら最高の一品だ。
そして興味もわいた。
――姉。
今にも噛みつきそうな気配のある子猫は今は無視をする。
「アラド、出るぞ、準備してくれ」
そういうとぎょっとしたように目を丸くする。
「え、王子、もう選定はいいのですか」
ありえない、と言わんばかりに呆れた顔もそえて言った。
そうだ、普段の私ならこんなに早くは終わらせない。
それぞれの力の分別をし、力量を図り、個々の特性を確認する。
それでなければ安心できない。
だが、今は、それどころではない。
彼女の力の奔流の原因である、姉。
その力を確認しなければ。
立ち去ろうとすれば背後で声が聞こえる、うるさい子猫の鳴き声だ。
巻き込むなといったが、あれの力は本来こちらが手にすべきものだ。
彼女や父君であるアンデルが隠したがる存在。
さて、姉とやらはどれほどのものなのか。
「姉のほうは今町に出てますよ、」
なぜ知っている?
そんな質問すればこいつは笑顔で、秘密だ。などと言い出しやがった。
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例の貴族から彼女あれが今日届く。
それを見た瞬間、私は落胆を隠せなかった。
”この程度”なのか、と。
あの家の血筋は特別だ。
外の華仙の力を入れてからはなおさらその色を濃くした。
代々素晴らしい力を秘めた児子が誕生する。
王家としてもそれはうれしいことである。
今回も前と同じように保護という名目上で、こちらで引きうとることになった。
父親であるアンデルは当初ひどく拒絶していたのが気がかりだが、
引き受けてくれたのがさして気にはしていない。
理由は気にはなるが、やはり断ると言われてもらっては困る。
そう、私はこの時期待していた。
今代の息子達は力を引き継ぎはしなかったらしい。
実力はある分残念な話ではある。
しかし娘たちは力を引き継ぎ、色濃くその力は発現したらしい。
嬉しいその話だ、しかしここ最近は詳しく聞けていない。
その話を聞いたのも彼女が8,9歳のころの話だ。
しかし、昔のその力も年を重ねれば強くなるもの、
今ではどのように成長したのか胸が躍ってしまう。
玉座に座り、彼女達が現れる。
今代の貴族達から輩出された者たちは全員で5名だ。
その中でも女児は一人ともあって浮いていた。
目を凝らしそれぞれの秘めたる力を見比べる。
そして、気づいてしまった。
彼女、妹君にはそれには全くと言っていいほど、力がなかった。
かすかに残滓のようなものを感じる。
しかしそれといっても、風前の灯火のように目を凝らさなければ気づけないものだ。
アンデルはふざけているのか。
彼女は偽物なのか、本物なのか。
衝動に駆られて私は席を立ち、彼女に詰め寄る。
「お前は何者だ」
少女は興味なさげに答えた。
「貴方は知る必要ないんじゃないのかな」
あっけとする。
周囲すべてはその時、その空気に飲まれてしまった。
彼女は何と言った?なんと言った?
この国の王である人になんて言葉遣いを!不敬だ!そんな言葉が飛び交い始める。
「ああ、でも言わないのも失礼ですね、私はーーーと言います」
この国と華仙の国の言葉が混じり不思議な響きを持つそれ。
それは明らかにそのものが”異人”であることを色濃く表していた。
「では一つ質問だ、そなたは力を持っているか」
とその言葉を聞いて優美は肩を揺らした。
おびえた気配を見せたが、それも一瞬。
すぐに強い光を帯びた瞳が射抜く。
「貴方は、知る、必要ないよ」
同じ言葉を言う。
面白い、こうまでして彼女は何を守っているのだろうか。
その時背後である玉座の隣の男。
彼女たちを出向いた男、アラド・フェン伯爵騎士は口を開いた。
「ああ、王子申し忘れておりましたが、姉のほうは無理そうだった
父君にお断りされましたよ、今は絶対に無理だとね」
場を濁すように彼は唐突に違うことを言った。
その言葉に一番驚いたのは目の前の彼女だ。
「姉さまを巻き込む気だったの!?」
目の色がさっきと変わる。
強い意志はある、しかしそこには暗い影が映っていた。
憎しみといえるそれは、憎悪、嫌悪、それらに類するなにか。
そして邪な気配とともに彼女に変化が現れる。
力が、現れていた。
先程とは段違いの力。
「素晴らしいね、その力」
つい感嘆の声が漏れてしまう、惚れ惚れしてしまいそうになる。
間違いない、彼女はこの場だけなら最高の一品だ。
そして興味もわいた。
――姉。
今にも噛みつきそうな気配のある子猫は今は無視をする。
「アラド、出るぞ、準備してくれ」
そういうとぎょっとしたように目を丸くする。
「え、王子、もう選定はいいのですか」
ありえない、と言わんばかりに呆れた顔もそえて言った。
そうだ、普段の私ならこんなに早くは終わらせない。
それぞれの力の分別をし、力量を図り、個々の特性を確認する。
それでなければ安心できない。
だが、今は、それどころではない。
彼女の力の奔流の原因である、姉。
その力を確認しなければ。
立ち去ろうとすれば背後で声が聞こえる、うるさい子猫の鳴き声だ。
巻き込むなといったが、あれの力は本来こちらが手にすべきものだ。
彼女や父君であるアンデルが隠したがる存在。
さて、姉とやらはどれほどのものなのか。
「姉のほうは今町に出てますよ、」
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