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彼女になった理由
不安、不安。
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夜になっても、妹は帰ってきませんでした。
それはとてもおかしなことです。
王宮ルートのイベントが起きたからといって、
主人公の家から王宮に通うことには変わりはなったはず。
王宮に幽閉されるのは中盤の”咎人イベント”というものを
こなした後、それが王族の誰かにばれた時くらい。
もしそうならば、とてもまずいことになります。
咎人イベント。
これは妹が姉を殺して、その力を自分のものとするイベントです。
私たちの家の血筋の力は特別で、ほかの家と明らかに違うことが一つだけあります。
力の譲渡。
それはほかの遺伝から伝わる力とは明らかに違うもの。
殺した相手が力を明け渡すことを心から望むと、自らの力を明け渡すことができるのです。
もしかして、私死亡フラグたってますか。
王宮イベントが起きるのはまだ序盤のはず。
何か起きて話がすっとんでしまったのでしょうか。
もし帰ってこない、これが咎人イベの前兆なら。
私はもしかして殺されてしまう?
まさかね、と笑いたかったけれど不安は押し殺しきれません。
脚は勝手に夜の街へと走り出しました。
少し肌寒い夜の風はとても、静かでした。
昼間の活気ある雰囲気とは違い、とても恐ろしい雰囲気と気配を持つ。
昼とはちがう顔を持っていました。
あたりには多少気をはらいながら、私は走ります。
馬を頼めばよかったのでしょうが、父さまは今いませんでした。
幸いなことにそこまで王宮までは遠くない、はず。
あくまでゲームのマップを脳内で描いて、想像の範囲になってしまいますが。
前方、つまり正面はから小さく蹄の音がします。
馬が近づいてきているのでしょう。
私は道脇にそれて走ります。
馬車はそのまま通り過ぎるのかと横目で見た時、籠の内に座る彼と目があいました。
あれは、。
馬車はしばらくして、足を止めました。
どうやら運転手に乗り手の貴族が声をかけたようでした。
「おや、こんな夜更けに」
降りてきて彼は声をかけます。
どうして、彼が此処にいるのでしょう。
「こんばんわ、エンディミオン子爵様」
私は足を止め、彼にお嬢様としての会釈を返します。
彼は面白そうにこちらを見ていました。
「どちらへ向かわれるのですか、馬車もなく従者もなく」
言葉の裏には嫌味を含ませて、人の悪い顔を浮かべた彼はそう言います。
きっと彼はわかっているのだ。
わかっていて、事情を理解したうえでの発言なのだから、この人もたちが悪い。
「お人が悪いですわ、ご理解していらっしゃるでしょうに」
笑顔とこれ以上ないくらい丁寧に言葉を返す。
この後私はまた走る、ならばここは揉めずにさっさと済ませるにかぎる。
「私急いでいますので、失礼いたしますね」
もう一度会釈をしようと視線を下げたとき、私の体は傾いた。
彼に手を引かれたからだ。
そのまま私は馬車に連れ込まれる。
「え、は、ちょ、放しください!!私は」
王宮に向かわなければならない。
油断していたツケがきているのだ。
妹から目を放したのが悪かったのだ。
だから、見えないところで死亡フラグが立つ。
これ以上は困る。
「どうせ妹のことでしょう、分かっていますよ」
耳元で息がかかる距離でささやかれれば、鳥肌が立った。
体の内に広がるさざ波を抑えて、彼を見据える。
暗い瞳は爛々とその炎をともす。
どうして、と言いかける。
だめだ、と頭の内で警鐘がなっている。
この人から離れなければ、そう体は拒否する。
けれど、今言った彼の言葉を確認しなければ。
「妹は今、どうしてますか」
そう私は恐る恐る、口にだした。
彼はやっと私の手を放しました。
「王宮の地下牢だよ」
嘘だと、言いかけて言葉を飲み込みます。
彼の瞳のなかにおちれば、真実かくらいわかってしまう。
これは、嘘じゃない。
「どうしてもというのですか」
窓から王宮を覗き見る私に彼はそう声をかけた。
まだ少し遠い場所に見えるその王城は、夜の中でも煌びやかな光に包まれている。
多く人がそこにいることを現しているだろう。
まるで、我が家のように魔王の城に見えてしまう。
二つ目なんて、嬉しくない予備だ。
何物にも予備というものを準備しておくのは悪くない。
けれど死亡フラグの予備はいらない。
「ええ、お願い」
私は彼にそう、お願いすると彼は馬車を走らせた。
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夜になっても、妹は帰ってきませんでした。
それはとてもおかしなことです。
王宮ルートのイベントが起きたからといって、
主人公の家から王宮に通うことには変わりはなったはず。
王宮に幽閉されるのは中盤の”咎人イベント”というものを
こなした後、それが王族の誰かにばれた時くらい。
もしそうならば、とてもまずいことになります。
咎人イベント。
これは妹が姉を殺して、その力を自分のものとするイベントです。
私たちの家の血筋の力は特別で、ほかの家と明らかに違うことが一つだけあります。
力の譲渡。
それはほかの遺伝から伝わる力とは明らかに違うもの。
殺した相手が力を明け渡すことを心から望むと、自らの力を明け渡すことができるのです。
もしかして、私死亡フラグたってますか。
王宮イベントが起きるのはまだ序盤のはず。
何か起きて話がすっとんでしまったのでしょうか。
もし帰ってこない、これが咎人イベの前兆なら。
私はもしかして殺されてしまう?
まさかね、と笑いたかったけれど不安は押し殺しきれません。
脚は勝手に夜の街へと走り出しました。
少し肌寒い夜の風はとても、静かでした。
昼間の活気ある雰囲気とは違い、とても恐ろしい雰囲気と気配を持つ。
昼とはちがう顔を持っていました。
あたりには多少気をはらいながら、私は走ります。
馬を頼めばよかったのでしょうが、父さまは今いませんでした。
幸いなことにそこまで王宮までは遠くない、はず。
あくまでゲームのマップを脳内で描いて、想像の範囲になってしまいますが。
前方、つまり正面はから小さく蹄の音がします。
馬が近づいてきているのでしょう。
私は道脇にそれて走ります。
馬車はそのまま通り過ぎるのかと横目で見た時、籠の内に座る彼と目があいました。
あれは、。
馬車はしばらくして、足を止めました。
どうやら運転手に乗り手の貴族が声をかけたようでした。
「おや、こんな夜更けに」
降りてきて彼は声をかけます。
どうして、彼が此処にいるのでしょう。
「こんばんわ、エンディミオン子爵様」
私は足を止め、彼にお嬢様としての会釈を返します。
彼は面白そうにこちらを見ていました。
「どちらへ向かわれるのですか、馬車もなく従者もなく」
言葉の裏には嫌味を含ませて、人の悪い顔を浮かべた彼はそう言います。
きっと彼はわかっているのだ。
わかっていて、事情を理解したうえでの発言なのだから、この人もたちが悪い。
「お人が悪いですわ、ご理解していらっしゃるでしょうに」
笑顔とこれ以上ないくらい丁寧に言葉を返す。
この後私はまた走る、ならばここは揉めずにさっさと済ませるにかぎる。
「私急いでいますので、失礼いたしますね」
もう一度会釈をしようと視線を下げたとき、私の体は傾いた。
彼に手を引かれたからだ。
そのまま私は馬車に連れ込まれる。
「え、は、ちょ、放しください!!私は」
王宮に向かわなければならない。
油断していたツケがきているのだ。
妹から目を放したのが悪かったのだ。
だから、見えないところで死亡フラグが立つ。
これ以上は困る。
「どうせ妹のことでしょう、分かっていますよ」
耳元で息がかかる距離でささやかれれば、鳥肌が立った。
体の内に広がるさざ波を抑えて、彼を見据える。
暗い瞳は爛々とその炎をともす。
どうして、と言いかける。
だめだ、と頭の内で警鐘がなっている。
この人から離れなければ、そう体は拒否する。
けれど、今言った彼の言葉を確認しなければ。
「妹は今、どうしてますか」
そう私は恐る恐る、口にだした。
彼はやっと私の手を放しました。
「王宮の地下牢だよ」
嘘だと、言いかけて言葉を飲み込みます。
彼の瞳のなかにおちれば、真実かくらいわかってしまう。
これは、嘘じゃない。
「どうしてもというのですか」
窓から王宮を覗き見る私に彼はそう声をかけた。
まだ少し遠い場所に見えるその王城は、夜の中でも煌びやかな光に包まれている。
多く人がそこにいることを現しているだろう。
まるで、我が家のように魔王の城に見えてしまう。
二つ目なんて、嬉しくない予備だ。
何物にも予備というものを準備しておくのは悪くない。
けれど死亡フラグの予備はいらない。
「ええ、お願い」
私は彼にそう、お願いすると彼は馬車を走らせた。
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