彼が獣になる瞬間

高福あさひ

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「ねぇ、こっち向いて」

ベッドの上に抱き上げられて、女の子みたいな言葉遣いでも男なんだなって実感してた時に馨はいつもの姿を脱ぎ捨てた。

「りーん、恥ずかしくなんてない。触るだけだから」

部屋のカーテンは閉め切られて、電気も常夜灯ほどの明るさしかないものが付いているだけ。私を優しく、それでいて少し強めにベッドへと押し倒して頭を撫でてくれる。その手つきが優しくて自然と頭を摺り寄せてしまう。

「ん、ふぅ」

最初は、本当に触れるだけのキスだった。男の人の唇は硬いって印象があったけれど、すごく柔らかくて、今更ながらとてもドキドキした。

「口で息するんじゃなくて、鼻で息するのよ」

触れるだけのキスを口だけでなく、額に、まぶたに、首筋に、はだけた胸元に、小さくリップ音を立てながら落としていく。それがひどくくすぐったくて身体を捻って逃げ出そうとすれば。

「こーら、逃げちゃダメ」

やんわりと行動を制されて、わずかな抵抗すらも全て封じられ、もう身動きはとれない。羞恥で顔が真っ赤に染まる感覚がわかる。

「だってぇ…、あぅ」

服の裾から大きな掌が侵入してきて、下着越しに軽く胸を揉まれる。私の胸は良くも悪くもない普通の大きさで。馨の大きな手では包めてしまうくらいの大きさしかない。

「柔らかい、すごく」

捲りあげられた服、今私の身体を守っているのは下着一枚で非常に心もとない。そんな私をよそにさわさわと撫でて時折、優しく揉み、刺激を与えてくる。やわり、と胸全体を揉まれ、さらに乳首の周りをクルクルと触られる。

「ふ、あっ」

小さく主張し始めたそれをクリクリとだけど優しくこねられて変な声が漏れ出る。どうしたらいいかわからない、逃げたくても身体全体を使って圧し掛かられてるから逃げられない。

「かぁわい」

真っ赤に染まったであろう顔を右手で隠しつつ枕へと押しつけ、左手はシーツを握りしめてどうにかその感覚をやり過ごす。頭の中が真っ白になって何も考えることができない。

「も、わかんな、いっ、かおる」

「なぁに、凛」

「おかしく、なる」

「これくらいじゃまだなんないよ」

さっきよりもずっと強く胸を刺激されてもっと変な声が上がる。思考する能力なんてとっくの昔にどっかに行っちゃって何が何だか理解することすらできなくて。今の状況が呑み込めない。

「こわい、こわいよ、かおる」

「怖くない、何にも怖いことなんてないから。ただ、気持ちいいことするだけ」

「ひゃあっ」

急に胸の頂を口に含まれて悲鳴があがる。ザラりとした舌の感触に背中が浮き、そのすきにすでに下着の意味をなしていなかったブラを抜き取られる。

「あ、う、ふぁ」

コロコロと転がすように舌でいいように弄ばれ、気がつけば残すのはショーツ一枚となっていた。それだけが最後の砦だった。

「なん、か、へん、なるぅ…」

お腹の奥に奇妙な感覚を感じて、咄嗟に膝をあわせて足を閉じようとすれば馨の長い脚が私の足の間に入ってきて割り開く。これでは閉じることすらできない。

「それでいい、それでいいのよ。その感覚が気持ちいいってこと」

「これが、きもちいってこと?」

「そう、快感、なの」

内股に手が這って、上へ上へとあがってくる。もどかしくてもどかしくて、でも恥ずかしくてひたすら顔を背けることしかできなかった。

「力抜いて、力んじゃダメ」

薄い布越しに秘所を触られてどうしても身体に力が入ってしまう。

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