彼が獣になる瞬間

高福あさひ

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ガクガクと揺さぶられる身体、与えられる快楽はとても大きく、脳内はその快楽の処理に追いつく事はできていない。されるがままに快楽を受け入れるしかない。

「もっ、むりぃ」

「まだだ、まだイけるよな、凛」

左手で易々とシーツに縫いとめられている私の両手は何の意味もなさず、馨は右手で顔を背けがちな私の頬に触れる。足に力は元から入らないし、馨の長い脚が間にあるからそもそも抵抗など封じられている。

「やらっ、もうおかしくなっちゃ、う」

「もっとおかしくなれっ!!俺しか感じられないくらいに、俺しかわからないくらいにっ!!」

「やぁあっ、あああああっ」

「なあ、凛、りん、りん、りんっ」

ガツガツと貪るように腰を押し進められて、先ほど見つかった一番弱い場所にあたる。ソコが弱いってわかってて馨はニヤリと笑みを浮かべた顔でお願いなんて一つも聞いてくれない。

「かお、るぅ、狂っちゃうよぉ…」

過ぎた快楽は私を意識のない世界へと誘った。





















「んっ」

ふ、と眼が覚めた。まだ覚醒しきっていない頭であたりを見渡せばそこに馨がいない。それがひどく不安で泣きそうなくらい怖い。

「かおる、かおる、どこ?」

慌ててガバリ、と起き上がればあまりの腰の重さに足を動かすことが難しい。それでも足を動かしてベッドから立とうとすればストン、と落ちてしまう。股関節が痛いし、足が震えて立てない。立ててもすぐに座り込んでしまう。これでは探しに行くことすらできない。

「ああ、ごめんなさい!!凛、大丈夫よ」

ポタリと自分の意思で止められなかった雫が落ちていく。どうしようもなくて肩を震わせていると馨が慌てたようにこっちへ来た。

「かおる?」

「ええ、私よ。ごめんなさいね、ちょっとお風呂に行ってたの」

「えへへ、馨だぁ」

急に気分が明るくなって、ぎゅうっと馨に抱き着くと馨も優しく抱きしめ返してくれる。とても嬉しくてグリグリと馨に頭を押し付けると頭を撫でてもくれる。

「甘えんぼさんねぇ、凛は。どう、身体は」

「めっちゃ痛い…。でもすごく幸せ」

「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。幸せなんて、男冥利に尽きるわ」

大きな掌で頭を撫でて、ベッドに腰掛けて私を抱きしめて、そう馨は言った。恋人同士のような甘い雰囲気と錯覚してしまいそうなくらい空間には穏やかな空気が流れている。

「馨、私のこと綺麗にしてくれたんだよね。ありがとう」

「当然のことよ。いきなり終わった直後にお風呂なんて入れないし、これくらいさせてちょうだい」

「私、馨がいなきゃ生きてけないかも…」

「ふふ、じゃあ一緒に住む?ちょうど引っ越しでもしようかなって思ってたところよ」

「でもなぁ、馨に彼女ができたときが困るんだよねぇ」

ぽそり、馨はイケメンでエリート街道を走っているからつい、本音が出てしまった。だって、馨に彼女ができたらいつもみたいに相手にしてもらえなくなる。それはすごく嫌だ。

「私が凛を蔑にするなんてことはないわ。それに、ルームシェアってよくない?」

「たしかにいいけど、私ずっと家にいるのに全然その、家事とかできないしむしろ汚くしちゃうし」

「いいわよ、私がお世話してあげる。逆にいつも凛の家に行って家事するよりも一緒に住んでた方が私が楽できるし何より凛の助けになれるわ。私はそっちの方がいい」

「馨が嫌じゃないなら、私は一緒がいい」

「なら決まりね」

あれ、馨に抱いてもらってからなんでルームシェアの話になったんだ?ピロートーク的なの一切ないんだけど…。まあ、それが私たちらしいっちゃらしいけどさ。

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