19 / 21
番外編
お姫様と王子様
しおりを挟む
「クラスごとに並んでください」
お願い…誰もこっちを見ないで。
「ねぇ、あの人…会長じゃない?」
バ、バレた!?
今すぐにでも走り去りたいのに、ドレスだから無理だ……
「そんなわけないでしょ。だって、男女で出場するっていうルールだよ?」
「女装はダメっていうルールはなかった気がする」
「まあ、そうだけどさ。会長が女装なんてするわけ…」
隼人が僕を見つけて、大きく手を振っていた。
や、やばい……
そう思った時には遅かった。
「優那!」
「「え!?」」
その場にいた人たちが一斉に僕を見る。
穴があったら入りたい……
「すごく似合ってるよ、優那」
「バカ!!!」
「…どうして怒ってるんだ?」
「察してよ」
彼の目には僕しか映っていなかった。
いつもだったら嬉しいけど、今はもう少し周りを見て欲しい。
「移動してください」
係の人の声に隼人は立ち上がって「またあとで」と、やさしく微笑んだ。
それは作られたものではなく、僕だけに見せる“トクベツな”ものだった。
「2年1組は準備をお願いします」
僕の番だ……
移動しようと立ち上がったタイミングで「大和田!」と名前を呼ばれた。
「速水さん!?」
「間に合ってよかった…」
肩で息をしながら、あるものを僕に差し出す。
「はい、大事なブーケ。それと、ベールダウン」
速水さんはそっとベールを下ろしてくれた。
「ありがとう」
「本当に綺麗だよ。結婚式、楽しんで」
結婚式って……
「笑顔だけは忘れちゃダメだからね」
「う、うん」
「急いでくださーい」
「大和田。いってらっしゃい」
速水さんに見送られながら、ステージの袖に移動した。
「続いては2年1組です。テーマは結婚式。カッコいい新郎と綺麗な新婦の愛の誓いを、皆さんで祝福しましょう」
アナウンスが終わって曲が流れ始める。
覚悟を決めて一歩踏み出した。
***
ステージでは隼人が待っていた。
彼に近づきステージの中央まで来る。
少し腰を落とすと、隼人はベールの端を持ってゆっくりとあげた。
隼人の顔が見える。
さっきも彼の姿を見たはずなのに、なぜか一段とかっこよくて……
思わず見惚れてしまった。
「優那」
小声で名前を呼ばれて我にかえる。
えっと、確か次は…二人で客席まで歩くんだっけ。
「目、瞑って」
「え?」
「いいから」
理由はわからないけど、言われた通りに目を瞑る。
「……っ!?」
隼人はにっこりと笑って「誓いのキス」と言った。
客席からは悲鳴に近い歓声が聞こえる。
いや、これはただの悲鳴だ。
「ブーケで隠れてたから大丈夫だよ。ほら、掴まって」
完全に隼人のペースに乗せられている。
速水さんは「菊地がリードしてくれるから」なんて言ってたけど、リードしすぎだよ……
***
視界の端に速水さんが入る。
「笑って」と口角を上げる動作をしていた。
彼女に向けて小さく頷き、チラッと隼人を見た。
彼が眩しい。
まるで魔法にかけられたみたい……
騎士というより、王子様だ。
目が合って、彼はニコッと微笑んだ。
ドキッ——
なに、この感情。
顔が熱くなって、頭がぼーっとする。
注意していたのにドレスの裾を踏んでしまい、グラリと視界が揺れて体が倒れていく。
「姫!」
隼人の声が響く。
気づけば僕は彼の腕の中にいた。
「……隼人」
「大丈夫?」
「う、うん」
「掴まってろよ」
「え…?」
隼人は僕を横に抱きかかえ、歩き始めた。
いわゆる“お姫様抱っこ”で。
驚いたけど、ドキドキが止まらなくて……
僕は自分が思っている以上に隼人のことが好きなんだなって。
「好き」
隼人は目を大きく開いて僕を見る。
今日の僕はどこかおかしい……
これも、魔法なの……?
お願い…誰もこっちを見ないで。
「ねぇ、あの人…会長じゃない?」
バ、バレた!?
今すぐにでも走り去りたいのに、ドレスだから無理だ……
「そんなわけないでしょ。だって、男女で出場するっていうルールだよ?」
「女装はダメっていうルールはなかった気がする」
「まあ、そうだけどさ。会長が女装なんてするわけ…」
隼人が僕を見つけて、大きく手を振っていた。
や、やばい……
そう思った時には遅かった。
「優那!」
「「え!?」」
その場にいた人たちが一斉に僕を見る。
穴があったら入りたい……
「すごく似合ってるよ、優那」
「バカ!!!」
「…どうして怒ってるんだ?」
「察してよ」
彼の目には僕しか映っていなかった。
いつもだったら嬉しいけど、今はもう少し周りを見て欲しい。
「移動してください」
係の人の声に隼人は立ち上がって「またあとで」と、やさしく微笑んだ。
それは作られたものではなく、僕だけに見せる“トクベツな”ものだった。
「2年1組は準備をお願いします」
僕の番だ……
移動しようと立ち上がったタイミングで「大和田!」と名前を呼ばれた。
「速水さん!?」
「間に合ってよかった…」
肩で息をしながら、あるものを僕に差し出す。
「はい、大事なブーケ。それと、ベールダウン」
速水さんはそっとベールを下ろしてくれた。
「ありがとう」
「本当に綺麗だよ。結婚式、楽しんで」
結婚式って……
「笑顔だけは忘れちゃダメだからね」
「う、うん」
「急いでくださーい」
「大和田。いってらっしゃい」
速水さんに見送られながら、ステージの袖に移動した。
「続いては2年1組です。テーマは結婚式。カッコいい新郎と綺麗な新婦の愛の誓いを、皆さんで祝福しましょう」
アナウンスが終わって曲が流れ始める。
覚悟を決めて一歩踏み出した。
***
ステージでは隼人が待っていた。
彼に近づきステージの中央まで来る。
少し腰を落とすと、隼人はベールの端を持ってゆっくりとあげた。
隼人の顔が見える。
さっきも彼の姿を見たはずなのに、なぜか一段とかっこよくて……
思わず見惚れてしまった。
「優那」
小声で名前を呼ばれて我にかえる。
えっと、確か次は…二人で客席まで歩くんだっけ。
「目、瞑って」
「え?」
「いいから」
理由はわからないけど、言われた通りに目を瞑る。
「……っ!?」
隼人はにっこりと笑って「誓いのキス」と言った。
客席からは悲鳴に近い歓声が聞こえる。
いや、これはただの悲鳴だ。
「ブーケで隠れてたから大丈夫だよ。ほら、掴まって」
完全に隼人のペースに乗せられている。
速水さんは「菊地がリードしてくれるから」なんて言ってたけど、リードしすぎだよ……
***
視界の端に速水さんが入る。
「笑って」と口角を上げる動作をしていた。
彼女に向けて小さく頷き、チラッと隼人を見た。
彼が眩しい。
まるで魔法にかけられたみたい……
騎士というより、王子様だ。
目が合って、彼はニコッと微笑んだ。
ドキッ——
なに、この感情。
顔が熱くなって、頭がぼーっとする。
注意していたのにドレスの裾を踏んでしまい、グラリと視界が揺れて体が倒れていく。
「姫!」
隼人の声が響く。
気づけば僕は彼の腕の中にいた。
「……隼人」
「大丈夫?」
「う、うん」
「掴まってろよ」
「え…?」
隼人は僕を横に抱きかかえ、歩き始めた。
いわゆる“お姫様抱っこ”で。
驚いたけど、ドキドキが止まらなくて……
僕は自分が思っている以上に隼人のことが好きなんだなって。
「好き」
隼人は目を大きく開いて僕を見る。
今日の僕はどこかおかしい……
これも、魔法なの……?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
雪色のラブレター
hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。
そばにいられればいい。
想いは口にすることなく消えるはずだった。
高校卒業まであと三か月。
幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。
そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。
そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。
翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。
溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん
315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。
が、案の定…
対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。
そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…
三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。
そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…
表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。
王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
悠と榎本
暁エネル
BL
中学校の入学式で 衝撃を受けた このドキドキは何なのか
そいつの事を 無意識に探してしまう
見ているだけで 良かったものの
2年生になり まさかの同じクラスに 俺は どうしたら・・・
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
たけむら
BL
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
何でも出来る美形男子高校生(17)×ちょっと詰めが甘い平凡な男子高校生(17)が、とある生徒からの告白をきっかけに大きく関係が変わる話。
特に秀でたところがない花岡李久は、何でもできる幼馴染、月野秋斗に嫉妬して、日々何とか距離を取ろうと奮闘していた。それにも関わらず、その幼馴染に恋人はいるのか、と李久に聞いてくる人が後を絶たない。魔が差した李久は、ある日嘘をついてしまう。それがどんな結果になるのか、あまり考えもしないで…
*別タイトルでpixivに掲載していた作品をこちらでも公開いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる