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ぼくの夢は何だろう?
12.ぼくがいるだけで
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「お父さん、お帰りなさい。今日学校へ行ったんだ。みんなと授業を受けて、カレー食べて、あずさちゃんにこれをもらったんだ。」
あずさちゃんがくれたフェルトの手作りのサッカーボールを見せた。
「すごいじゃないか、大夢。学校へ行って授業も受けて来て偉いぞ。それに、プレゼントまで。大夢はモテるんだな、はは。」
ぼくの頭をなでてくれた。久しぶりだ。
夜ご飯はお母さんがハンバーグを作ってくれた。4人で食べた。すごく、おいしかった。
「ハンバーグ、おいしい。」
叶翔が嬉しそうだ。
「おいしいね。」
お父さんが答えた。ぼくは今日、お昼にもおいしいカレーを食べたんだぞ。こっそり自慢した。
叶翔が寝た後、お母さんがケーキを出してくれた。叶翔は寝ちゃったから、明日食べるんだって。カレーにハンバーグにケーキなんて。ぼくの好きなものパラダイスだ。
「大夢、お母さんの話聞いてくれる?」
「なあに?」
お父さんとお母さんと3人でケーキを食べ始めた。ぼくの好きなイチゴのショートケーキ。おいしい。
「お母さん、子供の頃から夢があったの。」
初めて聞いた。
「何の夢?」
「実はアナウンサーになりたかったの。」
アナウンサー?テレビに出る人だ。お母さんは美人だから、なれそうなのに。みんな、お母さんキレイだねって褒めてくれる、ぼくの自慢のお母さん。
「子供の頃からずっと、なりたくて、大学生の時にスクールに通って、就職活動がんばったんだけど、テレビ局に入れなかったの。大学卒業してからも諦められなくて、がんばっていたの。」
そうだったんだ。
「テレビ局を受けたり、アナウンサー事務所のオーディションを受けたり、観光大使に挑戦したり。」
そう、お母さんは結婚する前、ミス元馬だったんだ。前に写真を見せてもらったけど、すごくかわいかった。
「でも、なかなか結果が出なくて、落ち込んでたの。おじいちゃんとおばあちゃんが心配してて。そんなとき、お父さんに出会って。」
「お父さんが一目惚れしたんだ。すごくかわいいなって。」
お父さんが言った。お父さんがお母さんに一目惚れした話は何回も聞いたことがある。
「お父さんに出会って、幸せな家庭を築くのもいいかなって。最後のオーディションを受けて、やり切った後、お父さんと結婚したのよ。」
ふむふむ。よく分らんが大人も大変だな。
「お父さんは、それはそれはお母さんを大事にしてくれて。アナウンサーもいいけれど、他の幸せがあるって気づいたの。結婚式では、おじいちゃんもおばあちゃんも泣いて喜んでくれて。」
前に写真を見たことがあるぞ。お母さん、キレイだったし、お父さんは嬉しそうだった。おじいちゃんとおばあちゃんは泣いていた。
「それから、しばらくして大夢を授かった。かわいくて、かわいくて、幸せで。こんなにかわいい子が来てくれた、もうそれが嬉しくて。」
なんだか恥ずかしいな。
「とっても幸せなの。アナウンサーにはなれなかったけど、お父さんがお嫁さんにしてくれて、大夢がお母さんにしてくれた。パートのお仕事も、お母さん目当てのお客様がたくさん来てくれて、楽しくやっているわ。だからね、大夢。サッカー選手を目指して努力していることはすごく素敵だけど、他にも幸せはきっとあるのよ。」
分かるような分からないような。
「もっと言えば、お父さんとお母さんは、大夢が元気にしているだけで十分幸せなの。何ができても何ができなくても、ただ、生きているだけで。お父さんとお母さんのところに来てくれただけで、十分なの。サッカー選手になれても、なれなくてもいいの。ただただ、元気にいてくれればそれでいいの。いてくれるだけで、幸せなの、とっても。」
お母さんが泣き出した。
「でも、ぼくサッカーがやりたい。サッカー選手になりたい。今まで通り、誉たちとサッカーをしたい。」
ぼくも泣いてしまった。
「そうよね、そうよね。ごめんね。」
何でお母さんが謝るのか。
高校生になって身長が止まって、前十字靭帯とやらの手術をしたとしても、すぐにはサッカーできなんだって。リハビリを長期間がんばらないとサッカーを再開できないんだって。その後、サッカーをまたがんばって、サッカー選手になれるのだろうか。3年以上もやらなかったら、体がなまけちゃうだろうし。周りのみんなは、何年も練習してて、追いつけるだろうか。サッカー選手のほとんどは、ジュニアユースやユース、部活動で、優秀な成績を修めてサッカー選手になっている。その期間が1,2年しかないぼくには無理だろうな。きっと。悲しくて、涙が止まらなかった。ぼくとお母さんは二人で泣いていた。そうだ、ぼくは悲しかったんだ。泣くお母さんを見てもっと悲しかったんだ。お父さんがぼくとお母さんを抱きしめる。抱きしめてもらうのなんて、いつぶりだろう。サッカー以外にやりたいことなんて見付かるのだろうか。
あずさちゃんがくれたフェルトの手作りのサッカーボールを見せた。
「すごいじゃないか、大夢。学校へ行って授業も受けて来て偉いぞ。それに、プレゼントまで。大夢はモテるんだな、はは。」
ぼくの頭をなでてくれた。久しぶりだ。
夜ご飯はお母さんがハンバーグを作ってくれた。4人で食べた。すごく、おいしかった。
「ハンバーグ、おいしい。」
叶翔が嬉しそうだ。
「おいしいね。」
お父さんが答えた。ぼくは今日、お昼にもおいしいカレーを食べたんだぞ。こっそり自慢した。
叶翔が寝た後、お母さんがケーキを出してくれた。叶翔は寝ちゃったから、明日食べるんだって。カレーにハンバーグにケーキなんて。ぼくの好きなものパラダイスだ。
「大夢、お母さんの話聞いてくれる?」
「なあに?」
お父さんとお母さんと3人でケーキを食べ始めた。ぼくの好きなイチゴのショートケーキ。おいしい。
「お母さん、子供の頃から夢があったの。」
初めて聞いた。
「何の夢?」
「実はアナウンサーになりたかったの。」
アナウンサー?テレビに出る人だ。お母さんは美人だから、なれそうなのに。みんな、お母さんキレイだねって褒めてくれる、ぼくの自慢のお母さん。
「子供の頃からずっと、なりたくて、大学生の時にスクールに通って、就職活動がんばったんだけど、テレビ局に入れなかったの。大学卒業してからも諦められなくて、がんばっていたの。」
そうだったんだ。
「テレビ局を受けたり、アナウンサー事務所のオーディションを受けたり、観光大使に挑戦したり。」
そう、お母さんは結婚する前、ミス元馬だったんだ。前に写真を見せてもらったけど、すごくかわいかった。
「でも、なかなか結果が出なくて、落ち込んでたの。おじいちゃんとおばあちゃんが心配してて。そんなとき、お父さんに出会って。」
「お父さんが一目惚れしたんだ。すごくかわいいなって。」
お父さんが言った。お父さんがお母さんに一目惚れした話は何回も聞いたことがある。
「お父さんに出会って、幸せな家庭を築くのもいいかなって。最後のオーディションを受けて、やり切った後、お父さんと結婚したのよ。」
ふむふむ。よく分らんが大人も大変だな。
「お父さんは、それはそれはお母さんを大事にしてくれて。アナウンサーもいいけれど、他の幸せがあるって気づいたの。結婚式では、おじいちゃんもおばあちゃんも泣いて喜んでくれて。」
前に写真を見たことがあるぞ。お母さん、キレイだったし、お父さんは嬉しそうだった。おじいちゃんとおばあちゃんは泣いていた。
「それから、しばらくして大夢を授かった。かわいくて、かわいくて、幸せで。こんなにかわいい子が来てくれた、もうそれが嬉しくて。」
なんだか恥ずかしいな。
「とっても幸せなの。アナウンサーにはなれなかったけど、お父さんがお嫁さんにしてくれて、大夢がお母さんにしてくれた。パートのお仕事も、お母さん目当てのお客様がたくさん来てくれて、楽しくやっているわ。だからね、大夢。サッカー選手を目指して努力していることはすごく素敵だけど、他にも幸せはきっとあるのよ。」
分かるような分からないような。
「もっと言えば、お父さんとお母さんは、大夢が元気にしているだけで十分幸せなの。何ができても何ができなくても、ただ、生きているだけで。お父さんとお母さんのところに来てくれただけで、十分なの。サッカー選手になれても、なれなくてもいいの。ただただ、元気にいてくれればそれでいいの。いてくれるだけで、幸せなの、とっても。」
お母さんが泣き出した。
「でも、ぼくサッカーがやりたい。サッカー選手になりたい。今まで通り、誉たちとサッカーをしたい。」
ぼくも泣いてしまった。
「そうよね、そうよね。ごめんね。」
何でお母さんが謝るのか。
高校生になって身長が止まって、前十字靭帯とやらの手術をしたとしても、すぐにはサッカーできなんだって。リハビリを長期間がんばらないとサッカーを再開できないんだって。その後、サッカーをまたがんばって、サッカー選手になれるのだろうか。3年以上もやらなかったら、体がなまけちゃうだろうし。周りのみんなは、何年も練習してて、追いつけるだろうか。サッカー選手のほとんどは、ジュニアユースやユース、部活動で、優秀な成績を修めてサッカー選手になっている。その期間が1,2年しかないぼくには無理だろうな。きっと。悲しくて、涙が止まらなかった。ぼくとお母さんは二人で泣いていた。そうだ、ぼくは悲しかったんだ。泣くお母さんを見てもっと悲しかったんだ。お父さんがぼくとお母さんを抱きしめる。抱きしめてもらうのなんて、いつぶりだろう。サッカー以外にやりたいことなんて見付かるのだろうか。
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