ぼくの夢をくれた理学療法士と超能力な患者さんたち

莉桜咲

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ぼくの夢は何だろう?

15.あずさちゃんに会えてラッキー

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 こいのぼりのイベントでスタンプラリーを始めた。まずはブース1へ行った。そこには、おじいさんたちがいた。
「スタンプラリーかい?」
おじいさんが話しかけてきた。
「うん。何すればいいの?」
叶翔かなとが前のめりにきく。
「ここでは問題に答えてもらうよ。」
「簡単なのにしてね。」
叶翔は幼稚園児だからね。
「問題です。こいのぼりは、いつ飾るのでしょうか。」
5月5日のこどもの日でしょ?と思ったけど、叶翔が張り切っているから、黙っておいた。
「うーん。いつだっけ。うーん。幼稚園でこいのぼり作った時に、先生が言ってたんだけど、いつだっけ?お兄ちゃん?」
たく、仕方ないな。
「5月5日のこどもの日。」
「そう、正解。さすがお兄ちゃん。じゃあ、ブース1のスタンプをあげるね。」
「やった。ありがとう。」
答えたのはぼくなんだけど、叶翔が嬉しそう。
ブース1のらんにスタンプをもらった。次はブース2へ。

 「こんにちは。」
叶翔が先に走って、ブース2へ向かった。
「スタンプラリーに来たよ。」
「お、来てくれたんだね。じゃあ、問題だよ。こいのぼりはこいなんだけど、たきを登って進化するよ。何に進化すると思う?」
え?鯉のままじゃないの?
「1、とら、2、りゅう、3、へび。どれだ?」
うーん。形が似ているのは、竜?蛇は細長いし。
「うーん、難しいよ。ヒントないの?」
叶翔がおじいさんにきく。
「そうだな。縁起がよくて、かっこいい生き物だぞ。」
「縁起がいいのって、蛇?お金が貯まるんだよね。かっこいいのは虎?竜もかっこいいか。うーん。お兄ちゃん分かる?」
自信がなかったけど、お兄ちゃんだから、答えよう。
「竜?ですか?」
「そう、大正解。すごいね、お兄ちゃん。さすがだ。」
なんかめられた。
「じゃあ、ここのスタンプをあげるね。」
「ありがとう。」
正解できて嬉しかった。次のブースへ向かった。
「大夢、すごいな。よく分かったな。」
お父さんが嬉しそう。ぼくは小6だから、当然さ。

 早速、次のブースへ。
「おばあさん、今度は何するの?」
叶翔が、ブースにいたおばあさんに声を掛けた。
「よく来たね。ここは、折り紙でこいのぼりを作ってもらうよ。たくさん作って、大きな紙に貼《は》って、近くの老人ホームに飾ってもらうんだ。おじいさんやおばあさんたちに見てもらおうね。」
おばあさんがにっこり。ぼくのおばあちゃんもいつもニコニコしてたな。会いたいな。
「ぼくも作る。」
「さ、こっちへいらっしゃい。」
おばあさんに案内されて、机に座った。ぼくは車いすだから、いすをどけてくれた。
「このお姉さんに教えてもらって作ってね。保育士さんの卵なんだよ。」
お姉さんたちが何人かいた。優しそう。
「よろしくね。」
お姉さんが挨拶してくれた。叶翔が嬉しそう。ぼくもだけど。
「まずは、好きな色を選んでね。」
「ぼくは、青がいいかな。お兄ちゃんは?」
叶翔は青が好き。
「ぼくは緑にしようかな。」
それぞれ選んだ色をもらった。
「まずは、ここを折るよ。」
お姉さんが教えてくれて、作り始めた。そうしたら、あずさちゃんらしき人がブースに来たんだ。少し小さい女の子と一緒に。
「あれ?大夢くん?」
あずさちゃんだ。
「あずさちゃん、来てたんだ。」
学校以外で会えるなんて、ついてるな。
「そうなの。いとこのふうちゃんと、お母さんと一緒に。」
隣には叶翔より少し大きい女の子がいる。
「大夢くんは弟くんと一緒なんだね。」
にこっと笑う。やっぱりかわいいなぁ。
「そうなんだ。どうしてもスタンプラリーをやりたいって言うから。」
「お兄ちゃんのお友達?」
あずさちゃんと話していたら、割り込んできた。
「そうだよ。同じクラスの竹内あずさ。よろしくね。」
あずさちゃんは叶翔にも優しい。
「一緒に作ってもいいですか?」
ブースのお姉さんに許可をもらって、4人で作ることにした。やった。お姉さんの説明通りに作った。ぼくとあずさちゃんは作り終わったけど、幼稚園児の叶翔と、小2のふうちゃんはまだ頑張って作ってる。
「あずさちゃん、上手いね。」
「そう?手先は器用なんだ。小さいときからピアノを習っているし。」
ピアノ、似合うなぁ。
「今日、ふうちゃんが体験レッスンに来たの。その帰りなんだ。」
「そうなんだ。」
「楽しかったよ。先生優しかったし、褒めてくれたの。」
ふうちゃんがにっこり。聞いていたのか。
「今度、大夢くんも来てみたら?」
「もちろん。」
ん?ぼくは考えるより先に返事をしていた。
「ほんと?」
「え、うん、そうだね。膝の調子が良くなってきたらね。」
ピアノだよね?ぼくがピアノを弾ける気がしないけど、もう返事しちゃったし、何よりあずさちゃんが誘ってくれたんだ。後戻りはできない。
「できた。」
一番最後の叶翔が完成した。みんなで、作品を大きな紙に貼った。お姉さんがスタンプをくれた。お姉さんとおばあさんにお礼を言って、テントを出た。

 ぼくのお父さんとあずさちゃんのお母さんが挨拶をした。叶翔はふうちゃんとスタンプラリー台紙を見せ合いっこしている。ふうちゃんたちはこのブースが初めてらしい。
「ママ、大夢くん、ピアノの体験レッスンに来てみるって。」
あずさちゃんが、あずさちゃんのママに言った。
「そうなの?嬉しいわ。今度、お母さんに会った時に、伝えておくね。ピアノの先生にも。」
話が進んでしまった。でも、あずさちゃんのお誘いを断るわけにいかないし。
「あ、ありがとうございます。」
「大夢がピアノかぁ。楽しみだな。」
お父さんが笑ってる。ま、体験だけしてみるのも悪くないだろう。あずさちゃんと一緒だし。スタンプラリーに参加して良かった。まさか、学校以外であずさちゃんに会えるとは。ラッキーだ。サッカーができなくなって、落ち込んでいたけど、こんなラッキーなこともあるんだな。ぼくの心にあったずっしりと重い何かが、少しだけ軽くなった気がした。

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