19 / 43
ぼくの夢は何だろう?
18.ESランドに釣られて
しおりを挟む朔也が帰った。ゲームして、楽しかったな。書道教室か。ぼくは座って何かをするより、体を動かしていることの方が好きなんだけどな。ケガをしてから、サッカーどころか、歩くことさえできないし。早く歩けるようになりたいな。サッカーもしたいな。でも、手術しないとできないって。涙がこぼれそう。叶翔とお母さんがお風呂に入ってるから、いなくて良かった。ぼくは悲しくなった。すると、ドアが開いて、
「ただいま。」
って、お父さんの声がした。ぼくは、お出迎えできないから、椅子に座って待っていたら、リビングに来た。
「おかえり、お父さん。」
スーツ姿のお父さんはかっこいい。
「ただいま、大夢。今日の学校どうだったか?」
「普通に楽しかった。今日は放課後、朔也が遊びにきたんだ。」
「それは良かったな。大夢を気にかけてくれているんだな。」
お父さんがスーツを脱ぎながら、話している。
「うん。一緒にゲームをしたんだ。それで、書道教室に一緒に来ないかって。」
お父さんの手が止まった。
「書道?」
びっくりしている。
「うん。朔也は字が上手いんだ。書道教室に通っていて、いつも先生に褒められてる。」
「そうか、それで大夢を誘ってくれたんだな。」
お父さんが部屋着に着替え始めた。
「うん、でもぼく、字が下手だし、座っているの好きじゃないんだ。」
「そうか。」
「朔也には考えておくって言ったんだけど、やめておこうかな。」
「そうなのか、もったいないな。でも、大夢の気持ちが一番だしな。ただ、せっかく友達が誘ってくれたんだ。行ってみるだけ、行ってみたらいいんじゃないか。体験だけでも。」
「うーん。」
「よし、行ってみたら、ご褒美にお父さんがESランドに連れていってやるぞ。」
ESランド?!ESランドとは、Enjoy Specialランドのことで、まさに夢の国なんだ。ぼくの好きな乗り物がたくさんあって、キャラクターもたくさんいて。すごく楽しい場所なんだ。最後に行ったのは、ぼくが小1の時。幼稚園の時は毎年、ぼくの誕生日に連れて行ってもらってたんだけど、最近、入園料が高くなっちゃって、あんまり連れて行ってもらえなくなっちゃった。大人一人1万円もするんだって。誕生日に連れて行ってって頼んだことがあったんだけど、ESランドじゃなくて、近くの元元遊園地になった。入園料だけで、ESランドの1回と元元遊園地4回が同じなんだって。
「ESランド?ほんとに?」
「今年の夏に、叶翔のお泊り保育があるよね。その日に、こっそり2人で行っちゃおう。」
ESランド。しかも、お父さんと二人きり。叶翔はかわいいけれど、叶翔が産まれてから、お父さんとお母さんは叶翔にばっかりべったりしている。ぼくはもう小6だし、お兄ちゃんだから、我慢できるけどさ。お父さんと2人なんて嬉しいな。
「やった。でも、高いんでしょ?高くなったってお母さんが言ってたよ。」
「大丈夫。今年の夏のボーナスが、いつもより期待できそうなんだ。お父さん、仕事で成果を上げて、偉い人に褒められたんだぞ。」
ボーナスというのは、お仕事で褒められるともらえるらしい。お父さんがたまに、ボーナスのために頑張るかって言っている。
「すごいね。ESランド嬉しいな。じゃあ、書道教室に行かないとね。それから、後で叶翔も連れて行ってあげようね。」
さすがに、ぼくだけじゃ、叶翔がかわいそうだから。
「大夢は優しいな。」
お父さんが、ぼくの頭をなでてくれた。最近、よくなでてくれるんだ。
やった。ESランドだ。叶翔には悪いけど、お父さんと二人で行きたい。朔也に誘われたし、歩けるようになったら書道教室に行ってみるか。
0
あなたにおすすめの小説
夜寝たくなくて朝起きたくない
一郎丸ゆう子
絵本
大人のための絵本です。現代人って夜寝たくなくて朝起きたくない人が多いな、でも、夜は寝ないと困るし、朝は起きないとなんないなんだよね、なんて考えてたら出来たお話です。絵はcanvaで描きました。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
ぽんちゃん、しっぽ!
こいちろう
児童書・童話
タケルは一人、じいちゃんとばあちゃんの島に引っ越してきた。島の小学校は三年生のタケルと六年生の女子が二人だけ。昼休みなんか広い校庭にひとりぼっちだ。ひとりぼっちはやっぱりつまらない。サッカーをしたって、いつだってゴールだもん。こんなにゴールした小学生ってタケルだけだ。と思っていたら、みかん畑から飛び出してきた。たぬきだ!タケルのけったボールに向かっていちもくさん、あっという間にゴールだ!やった、相手ができたんだ。よし、これで面白くなるぞ・・・
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる