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ぼくの夢は何だろう?
19.診察
しおりを挟む「男同士の約束だ。叶翔には内緒だぞ。お母さんには、お父さんから言っておくから。」
叶翔が寝てから、お父さんが言っていた。
「うん。明日学校で朔也に行くって言っておくよ。」
「それがいい。朔也くん、喜ぶよ。」
ESランド、楽しみだな。新しいエリアができたんだって。学校であずさちゃんとか女の子たちが言っていた。ぼくも言ったら、話に加われるな。叶翔がちょっとかわいそうだけど、また後でみんなで行くって言ってたから、いっか。チュロスも食べよう。
「おはよう、大夢、今日は学校休んで病院よ。」
朝ご飯を食べようとしたら、お母さんが言った。
「え、今日だっけ?」
朝いつも通りに起きて、お母さんにそう言われたときの絶望感。昨日、朔也が遊びに来て、お父さんがESランドに連れて行っていくれるって言っていて楽しみにしていたから、すっかり忘れてたけど、今日は病院の日なんだ。学校を休んで、病院へ行かないと。はぁ。学校行く気満々だったのに。
「そうよ。昨日も言ったじゃない。病院終わったら、学校行けるよ。」
給食に間に合うだろうか。一気に気分が下がった。まじか。病院だったのか。
「叶翔もご飯食べて準備しちゃって。」
「はーい。」
叶翔が眠そうだ。お父さんはもう会社へ行った。お仕事頑張らなきゃなって。仕方ないから、朝ご飯を食べて、病院へ行くか。ぼくも少しは頑張らないと。今日の朝ご飯は、目玉焼きとヨーグルト、味噌汁。お母さんは目玉焼きにソース、お父さんは醤油をかけるんだけど、ぼくはその日の気分で決めているよ。醤油の方が多いかな。
「こんにちは。大夢くん。体調はどうですか。」
1週間前に診察してくれた、桜川先生。整形外科医というらしい。マッチョな男の先生。
「お膝はまだ痛いです。あと、まだ車いすか松葉杖がないと歩けません。」
「そうだよね。また、痛み止めを出しておくからね。それでは、早速、MRIを撮ってきてね。」
「はい。」
看護師さんに連れられ、お母さんと、トンネルの機械の部屋へ行った。もう慣れてきたよ。終わって待っていたら、呼ばれて、また診察が始まった。
「大夢くん、MRIお疲れさま。では、診察始めるね。」
先生がぼくのお膝をいじいじしている。前にもした気がする。寝っ転がって、お膝を立てて、膝をぐにゅぐにゅ。痛いよ。
「よし、今度は起きて座ってね。」
「はい。」
言われた通り起きた。
「じゃあ、先生と力比べをしよう。」
ん?力比べ?こんなマッチョな先生じゃ、すぐ負けるよ。
「先生が大夢くんの太ももを押すから、負けないように、保ってね。この角度だよ。せーので力を入れて、保つんだ。せーの。」
この角度って、片足だけ膝と股関節を曲げた姿勢なんだ。変なの。
「せーの。」
太ももを下に押された。うう、下がっちゃう。
「よし、いいよ。今度は反対の足。」
ケガしていない方もやるのか。
「せーの。」
こっちは、簡単に下がらなかったぞ。
「今度は膝伸ばしだよ。股関節はそのまま、お膝だけ伸ばしてね。」
言われた通りにしてみた。こうかな。
「そしたら、今度はここ(足首の上あたり)を押すから、お膝を伸ばしたままにしてね。せーの。」
即、膝が曲がってしまった。先生の力強すぎ。まだ痛いし。
「いたっ。」
思わず声が出てしまった。
「ごめんね。痛かったね。よく頑張ったね。反対もいいかな。せーの。」
左はまだいいかな。
「今度は足首だよ。かかとを床に付けたまま、つま先を上げてごらん。それを保ってね、足先を押すから。」
「はい。」
こちらもすぐつま先が下がってしまった。しかも左も。ぼくって思ったより力がないのか。あんなにシュートできたのに。情けなくて、悲しくなってきた。ぼくはエースストライカーだったのに。
「ありがとう。大夢くん。やっぱりケガをして、歩かなかったから、筋力が少し衰えてしまっているよ。今日はリハビリをしていってもらうね。」
リハビリか。痛いのにやだな。サッカーできないのに、そんなこともしないといけないのか。嫌だな。
「はい。」
小さな声で返事をした。隣の部屋で待っていて、少し経つと、白衣を着た人が入ってきた。
「大夢くん、こんにちは。今日のリハビリを担当します、りがっ」
気づいたら泣いていた。嫌だ、やりたくない。サッカーできないのに、そんなことして意味あるの。もうやだ。サッカーできないなんて。もう嫌だよ。ぼくはサッカー選手になりたいのに、嫌だ、嫌だ。
「やだよ。まだ痛いのに、やだよ。うう、リハビリなんてやりたくないよ。サッカーできないのに、やだよ。もうやだよ。」
ぼくは訳が分からず、気付いたら大泣きしていた。
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