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ぼくの夢は何だろう?
32.あずさちゃんへのお礼
しおりを挟む今日は月曜日。学校が終わってお母さんが迎えに来てくれた。車の中で、
「今日、あずさちゃんちにご招待されたよ。」
とお母さんが言った。何だと?英会話教室で全然英語ができなくて落ち込んでいたぼくに朗報だ。
「お母さんが連絡したのよ。お礼がしたいって伝えたら、今度はあずさちゃんちにって。叶翔もぜひ来てねって。やったわね、大夢。」
やった。ぼくは嬉しい。とても嬉しい。
「ハーバリウムとお土産のストラップをあげようっと。」
「頑張って作ったもんね。」
うん、夏休みの宿題の工作以外で初めて何かを作ったよ。
「楽しみだな。」
叶翔の幼稚園に寄って、家に荷物を置くのとあずさちゃんへのプレゼントを取りに家に帰った。ぼくは寝ぐせが付いてないか確認して、出発した。
「あずさちゃんに会えるね。やった。」
叶翔が喜んでいる。ぼくもとても喜んでいる。
「叶翔、お行儀よくしないとダメだぞ。」
「分かってるって。」
あずさちゃんちに着いたって。あずさちゃんちはマンションなんだ。車を降りると、マンションのエントランスにあずさちゃんが立っていた。
「あずさちゃん。お待たせ。」
「大夢くん、叶翔くん、大夢くんのママ、こんにちは。」
「あずさちゃん、今日はよろしくね。」
お母さんが言った。
「叶翔くん、待ってたよ。さ、中に行きましょう。」
あずさちゃんが案内してくれた。エントランスに入って、エレベーターに乗って、あずさちゃんたちの部屋に着いた。
「ママ、大夢くんたち来たよ。」
「いらっしゃい。」
エプロン姿でお出迎えしてくれた。
「こんにちは、あずさちゃんのお母さん。」
ぼくが挨拶して、叶翔も、
「こんにちは。」
って挨拶した。
「今日はお呼ばれありがとうございます。叶翔まで。」
「いいえ、こちらこそ。来てくれて嬉しいです。さ、散らかっているけど上がってください。」
中に案内された。素敵なお部屋。散らかってなんかないぞ。すごくキレイだ。お花が飾ってある。ぼくの家とは大違い。おもちゃが散らばってるし。いつもお母さんに片付けなさいって怒られるんだ。ダイニングテーブルのイスに座った。あずさちゃんのお母さんが、何やら用意してくれているみたいで、いい匂いがする。
「大夢くん、ピアノ教室行ってくれたんだよね。どうだった?」
う、ピアノ教室か。思い出したくないけど、仕方ない。あずさちゃんの質問には答えないと。
「うん。難しくて全然できなかったんだ。チューリップ?を教えてもらったんだけど、右手でしか弾けなくて。」
「そうなんだ。右手だけでもすごいじゃない。先生喜んでいたよ。」
あずさちゃんは優しいな。
「そう?それなら良かった。ぼくはピアノできないから、習うのは難しいかな。ごめんね。あずさちゃん。せっかく誘ってくれたのに。」
「ううん、いいのよ。もし、またやりたくなったらやればいいし。他にやりたいことが見つかるかもしれないし。」
あずさちゃんは本当に優しいな。
「あずさちゃん、ありがとう。」
何ていい子なんだ。
「お待たせしました。ガドーショコラが焼けましたよ。良かったらみんなで食べてね。」
おいしそう、いい匂い。
「ママのガドーショコラとってもおいしいの。みんなで食べよう。」
みんなでいただいた。おいしかった。紅茶も入れてくれたよ。おいしいんだね。叶翔は小さいからオレンジジュース。
食べ終わって、あずさちゃんのお母さんとぼくのお母さんが叶翔にピアノを習わせてはどうかって話をいているすきに、あずさちゃんに、プレゼントを渡した。
「あずさちゃん、これ、サッカーボールとピアノ教室のお礼。お母さんと作ったんだ。ハーバリウム。それから、水族館のストラップ。」
お母さんがハーバリウムをラッピングしてくれて、良かった。かわいくなってる。
「え、いいの?素敵ね。大夢くんが作ってくれたの?」
嬉しそうに笑ってくれた。かわいい。
「うん。」
「ありがとう。こっちのペンギンもかわいい。バッグに付けるね。」
あずさちゃんの方がかわいいよ。
「実は、大夢君くんをピアノ教室に誘ってあげるようにお願いされたの。だから、ちゃんと見学行ってくれて嬉しかったよ。」
ピアノ教室の先生、生徒が減って落ち込んでたって言っていたもんね。あずさちゃんは優しいな。
「ピアノは無理でも、他に何か楽しいこと見つかると思うよ。」
そうだなぁ。見つかるといいんだけど。でも、ピアノも書道も英会話教室も無理だったからなぁ。他に何かあるのかなぁ。
その後、あずさちゃんがピアノを聞かせてくれたよ。エリーゼのためにっていう曲なんだって。とっても上手だった。さすがあずさちゃん。
あずさちゃんの優しさに癒されて、ぼくらは家に帰った。ピアノできたら、あずさちゃんと一緒に通ったりできたんだけどなぁ。まぁ。ぼくには難しいから無理か。
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