80 / 85
新しい仲間は凄い人
涙の昼食はエンドレス
しおりを挟む
うっかり腹ペコ不審者二人組を昼食に誘ってしまったぼくだけど、今は少し後悔しています。
ハルトムートさんたちも、すごい勢いで食べ始めた二人に負けじとガツガツおにぎりを食べていましたが、二人の異常な様子にピタリと手を止めてしまいました。
うんうん、その気持ちわかります。
だって、二人とも最初は「おいしい」「うまい」って上機嫌で食べていたのに、徐々に目が潤んできてグスグスと鼻を鳴らして、とうとう号泣しながらもおにぎりは口に次々と運んでいくという有様。
泣くほどおにぎりがおいしい? いや、なんかもっと違う理由がありそうです。
「なんだ、こいつら」
ハルトムートさんもドン引きしている二人ですが、ベテラン冒険者であるハルトムートさんから見ても、二人はかなりの実力者で種族的にもあまり見かけない組み合わせらしいです。
「元々、ドラゴニュートは他種族とは関わらないからな。考え方もそうだが実力も違い過ぎる。下手したら神の一族と崇めている地方もあるぐらいだ」
「ほへー、神様ですか?」
「あの嬢ちゃんも、突然変異じゃなかったらあの魔力量……、エルフの純血いや、ハイエルフかもしれないな」
「わー、ハイエルフですか?」
ハルトムートさんの言葉に間抜けな返事をするぼくですが、もう二人の食べっぷりと泣きっぷりに唖然呆然なのです。
ビアンカさんも競い合うように食べていたのに、今はテントの端で恐ろしいものを見る目で二人を見ています。
ディータさんは最初、「甘い物は出さないほうがいい」とかスイーツ渡さないと目がギラギラしていたのに、あんまりな食べ方にそっと自分の鞄からクッキーを出して二人の前に差し出していた。
「オスカー、この後どうする?」
「そうですね。午後もダンジョンアタックするつもりでしたが、この二人を放っておけないでしょう」
ただ昼食を分けてあげるだけならいいけど、こんなにおにぎり食べて大号泣していたら、「食べて、はいさようなら」ってできないですよね?
「……理由ぐらいは聞かないと……だが、厄介ごとな気もする」
オスカーさんが手に持ったおにぎりに視線を落として、はぁーっと深いため息を吐き出した。
「だったら、今日はもうギルドハウスに帰ったほうがいいですかね?」
ぼくは、おにぎりだけでなく、少なくなったおかずも追加でお皿に出して思う。
二人の事情がオスカーさんが言うように厄介ごとなら、ダンジョンの広場なんて所で話していいものじゃないだろう。
ここだと、他の冒険者たちに丸聞こえだし、防音の魔道具で遮断してもいいかもしれないけど、そんな秘密ごとを話していると勘づかれたらゴロツキ冒険者たちに絡まれるかもしれない。
ハルトムートさんの見立てどおり、この二人が強者だとしても、ギルド職員がいる前でのトラブルは回避するにこしたことはない。
今日のダンジョンアタック中止にみんなの顔が少し曇るのは、新しいハズレドロップで作る料理を楽しみにしていたんでしょうね。
そして、手ぶらで帰るぼくを見た三人の小さなおじさんたちが喧しく騒ぐのを今から想像して、げんなりとしてしまった。
昼食を済ませ午後の休憩が終わった冒険者たちは、各々動きだす。
ダンジョンアタックに挑戦したり、ギルドの窓口に買取交渉に行ったり、鍛冶屋に武器や防具の修理を依頼したりと忙しい雰囲気が漂ってくる。
でも、ぼくたちのテントの中は静寂の中、咀嚼する音が満ちていた。
……いつになったらお腹いっぱいになるのかな?
ビアンカさんたちはオスカーさんの指示の元、ギルドハウスへ戻る準備を始めている。
ディータさんは馬車を取りに行ったし、ハルトムートさんは買取金をもらいにギルドの窓口まで行き、ついでにこの二人の情報を仕入れてくるはずです。
ぼくとビアンカさんはテントの中の物を魔法鞄にしまい、簡単なお掃除をしています。
……むむ、ぼくの生活魔法であっという間に掃除できるんだけど、ここでぼくの特異なスキルがバレるわけにはいかないので大人しく箒で掃除します。
サッサッと。
「……あのぅ、そろそろいいか?」
オスカーさんが二人の前に座って声をかけようとして数十回目、ようやく話しかけられたみたい。
「……っ!」
「……っぐ、あ、ああ」
急に話しかけられ口いっぱいのご飯が喉に詰まってしまったようなので、ぼくはちょうどいい温度の緑茶を差し出した。
ズズーッ。
お茶を飲んだ二人が途中でクワッと目を大きく見開く。
「「な、なんで緑茶まであるーっ!」」
そして、また二人の目からは滝のような涙が流れだしてしまった。
……あれあれ? ぼくたち無事にギルドハウスへ帰れるのかな?
オスカーさんたちと顔を見合わせ、ぼくは泣いている二人を見て途方に暮れるのでした。
ハルトムートさんたちも、すごい勢いで食べ始めた二人に負けじとガツガツおにぎりを食べていましたが、二人の異常な様子にピタリと手を止めてしまいました。
うんうん、その気持ちわかります。
だって、二人とも最初は「おいしい」「うまい」って上機嫌で食べていたのに、徐々に目が潤んできてグスグスと鼻を鳴らして、とうとう号泣しながらもおにぎりは口に次々と運んでいくという有様。
泣くほどおにぎりがおいしい? いや、なんかもっと違う理由がありそうです。
「なんだ、こいつら」
ハルトムートさんもドン引きしている二人ですが、ベテラン冒険者であるハルトムートさんから見ても、二人はかなりの実力者で種族的にもあまり見かけない組み合わせらしいです。
「元々、ドラゴニュートは他種族とは関わらないからな。考え方もそうだが実力も違い過ぎる。下手したら神の一族と崇めている地方もあるぐらいだ」
「ほへー、神様ですか?」
「あの嬢ちゃんも、突然変異じゃなかったらあの魔力量……、エルフの純血いや、ハイエルフかもしれないな」
「わー、ハイエルフですか?」
ハルトムートさんの言葉に間抜けな返事をするぼくですが、もう二人の食べっぷりと泣きっぷりに唖然呆然なのです。
ビアンカさんも競い合うように食べていたのに、今はテントの端で恐ろしいものを見る目で二人を見ています。
ディータさんは最初、「甘い物は出さないほうがいい」とかスイーツ渡さないと目がギラギラしていたのに、あんまりな食べ方にそっと自分の鞄からクッキーを出して二人の前に差し出していた。
「オスカー、この後どうする?」
「そうですね。午後もダンジョンアタックするつもりでしたが、この二人を放っておけないでしょう」
ただ昼食を分けてあげるだけならいいけど、こんなにおにぎり食べて大号泣していたら、「食べて、はいさようなら」ってできないですよね?
「……理由ぐらいは聞かないと……だが、厄介ごとな気もする」
オスカーさんが手に持ったおにぎりに視線を落として、はぁーっと深いため息を吐き出した。
「だったら、今日はもうギルドハウスに帰ったほうがいいですかね?」
ぼくは、おにぎりだけでなく、少なくなったおかずも追加でお皿に出して思う。
二人の事情がオスカーさんが言うように厄介ごとなら、ダンジョンの広場なんて所で話していいものじゃないだろう。
ここだと、他の冒険者たちに丸聞こえだし、防音の魔道具で遮断してもいいかもしれないけど、そんな秘密ごとを話していると勘づかれたらゴロツキ冒険者たちに絡まれるかもしれない。
ハルトムートさんの見立てどおり、この二人が強者だとしても、ギルド職員がいる前でのトラブルは回避するにこしたことはない。
今日のダンジョンアタック中止にみんなの顔が少し曇るのは、新しいハズレドロップで作る料理を楽しみにしていたんでしょうね。
そして、手ぶらで帰るぼくを見た三人の小さなおじさんたちが喧しく騒ぐのを今から想像して、げんなりとしてしまった。
昼食を済ませ午後の休憩が終わった冒険者たちは、各々動きだす。
ダンジョンアタックに挑戦したり、ギルドの窓口に買取交渉に行ったり、鍛冶屋に武器や防具の修理を依頼したりと忙しい雰囲気が漂ってくる。
でも、ぼくたちのテントの中は静寂の中、咀嚼する音が満ちていた。
……いつになったらお腹いっぱいになるのかな?
ビアンカさんたちはオスカーさんの指示の元、ギルドハウスへ戻る準備を始めている。
ディータさんは馬車を取りに行ったし、ハルトムートさんは買取金をもらいにギルドの窓口まで行き、ついでにこの二人の情報を仕入れてくるはずです。
ぼくとビアンカさんはテントの中の物を魔法鞄にしまい、簡単なお掃除をしています。
……むむ、ぼくの生活魔法であっという間に掃除できるんだけど、ここでぼくの特異なスキルがバレるわけにはいかないので大人しく箒で掃除します。
サッサッと。
「……あのぅ、そろそろいいか?」
オスカーさんが二人の前に座って声をかけようとして数十回目、ようやく話しかけられたみたい。
「……っ!」
「……っぐ、あ、ああ」
急に話しかけられ口いっぱいのご飯が喉に詰まってしまったようなので、ぼくはちょうどいい温度の緑茶を差し出した。
ズズーッ。
お茶を飲んだ二人が途中でクワッと目を大きく見開く。
「「な、なんで緑茶まであるーっ!」」
そして、また二人の目からは滝のような涙が流れだしてしまった。
……あれあれ? ぼくたち無事にギルドハウスへ帰れるのかな?
オスカーさんたちと顔を見合わせ、ぼくは泣いている二人を見て途方に暮れるのでした。
29
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる