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石を見つけましょう

手を繋ぎました

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なんだかんだトラブルにガッツリ巻き込まれたゴダール男爵領地を後にして、数日。
魔獣馬が牽く馬車に乗って揺られていると、ようやく見えてきました!最初の目的地ボーヌの町。
途中の村にも町にも立ち寄らず、ここまでただひたすらに進んだわよ。

「だって、宿屋のベッド固いし、飯が旨くないし」

「風呂に入れないし」

「「馬車の方が快適だし」」

という理由で、ずっーと馬車泊でした。
馬車を快適に改造しすぎたかな?

「小さな村や町では、魔獣馬を扱える厩は無いですから、どちらにしろ野宿で良かったのでは?」

魔獣馬・・・カヌレとブリュレも慣れたら可愛いんだけど、そりゃそうよね。

「慣れたらって・・・こいつらお嬢の作る飯が目当てだぞ?」

リュシアンが言うことは無視。
だって、この子たち神狼族のリュシアンと白虎族でカリスマスキル持ちのリオネルには恭順しているし、実力的にアルベールには敵わないと知っているから逆らわないもん。
私に対して大人しいのは、怖い貴方たちの仲間だからじゃないの?

「ルネに対してはリオネルが庇護してるのが分かるからでしょうけど、ヴィーさんに対しては逆らうとご飯おやつ抜きになるからでしょ。あいつら、私に対しては完全に下に見てバカにしてますからね!」

それは、セヴランが魔獣馬にいつまで経ってもビビッているからだと思う。

そんなこんなで楽しく旅をして、ボーヌの町へと入ります。
結構、町に入るために並んでいた旅人や冒険者の人達の列が長かったけど。
さすが、「王都への道」と言われる交易の中心地ね。
門番の人に身分証明書として全員の冒険者ギルドのカードを提示したときに、情報収集。

「え?宿には泊らない方がいいの?」

「ああ。ここら辺の宿はかなり高いらしい。貴族や商人が泊るから比較的高値になったとか。冒険者なら専用の広場があるから、そこでテント張れって」

ああ・・・、そうなんだ。
でも、広場を利用するなら無料だし、魔獣馬用の厩で高い管理料を取られることもない。
その代わり、トラブルは自己責任でなんとかするようにとのこと・・・。
教えてもらった道を通り、町の中心地からやや離れた広場に着く。

「ああ・・・これ、キャンプ場じゃない?」

もの凄い広い平地と、あちこちに水場とトイレが設置されている。
少人数用のテントがポツポツと張られていて、大所帯用のテント?小屋?はある程度広場の隅に作られている。

「あっちが空いてますから、あちらでテントを張りましょう」

アルベールの示した所まで、みんな馬車を降りてトコトコと徒歩で移動する。
キョロキョロと辺りを見回すが、家族の冒険者パーティーや、女性同士のパーティー、ソロ冒険者もいて様々だ。
中には、行商人らしき団体もいる。

アルベールの指示どおりにテントをふたつ張って、近くの木にカヌレとブリュレを繋ぐ。
すぐに餌箱と水桶を用意して、蹄をチェック!

馬車はテントに隠れるように止めて、テントからこっそり馬車に入れるように細工する。
勿論、テントで寝泊まりしないからだ。

水場もそこそこ近いし、周りの人を見ると家族で広場を利用しているグループだったから、揉め事になることもないだろう。
男だけのパーティーだと、暴力沙汰とかお酒を飲んで暴れたりとか、問題だらけだもんね。
私たちのグループも子供連れだと分かって、周りの人たちも安心したようだった。

馬車の中で全員にクリーン魔法をかけて、移動中の土埃などの汚れを清めて、少し動きやすい普段着に着替える。

「とりあえず、冒険者ギルドに行っておきましょう」

「「「はーい」」」

なるべく冒険者は大きな町や村に立ち寄ったときには、冒険者ギルドに報告することが推奨されている。
正直、低ランク冒険者には意味の無い行動だが、高ランク冒険者の場合は、何か不慮の事態に陥ったときのヘルプ要員として重宝されるため、報告するとギルド職員に喜ばれる。
下手をすると、そのギルドで埋もれている厄介な依頼を押し付けられることもあるそうだ。

今回、冒険者ギルドに赴くのは、そういう事情とは別に、これから向かう鉱山の町ディナールの情報を仕入れるため。
坑道の地図とかも売っているらしいよ?

「では、リュシアンはリオネルと。セヴランはルネと手を繋いでください」

「「えっ?」」

誰と誰が不満の声を上げたかはスルーするけど、なして子供組みは大人組みと手を繋ぐのよ?
ちなみに私のお手々は、既にアルベールとしっかり繋がれている。

「冒険者ギルドはボーヌの町の中心地にありますからね。そこに行くまでの人の多さを舐めてはいけません。迷子になりますよ!」

めっ!て顔で言われたけど・・・そんなに人が多いの?

「アラスの町より?」

「あれはまだまだですよ。この町の人の多さも王都に比べたら、随分少ない方です」

「あー・・・。そうだな。俺もこんなに賑やかな町は久しぶりだから忘れてたよ」

ほら、しっかり握れよとリオネルに言いながらリュシアンはリオネルに手を差し出す。

「そうでしたね。すっかり忘れてましたが、交易地として有名なら人の多さも酷いものでしょう」

セヴランもルネに紳士的に手を差し出す。

「冒険者ギルドを出たら、私は個人的に買いたい物があるので別行動になりますが、できたらセヴランに付いてきて欲しいんです」

「私ですか?」

ええ、とにこやかな笑顔のアルベール。

「おいおい!その後はお嬢の希望で食料を買い込むんだろう?俺ひとりでガキの面倒なんて無茶だ!」

いやいや、私の中身はアラサーですし?
しかもこちらで生まれて育った分を足し算するとアラフォー・・・ゴホンゴホン。
子供の面倒は、私でもできます!

「なんで、お嬢が胸張ってんだよ。一番危ないのはリオネルで次に怪しいのはお嬢だからな・・・」

リュシアンに疲れた声でダメ出しされたけど、なんでよっ!失礼ね!

さあ、ボーヌの町に出発よ!


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