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石を見つけましょう

私以外は集合してました

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ルネが泣き止んでから、改めてお茶を飲んだ。
少し冷めてしまったが、泣いて水分を失って喉が渇いているルネには丁度いいだろう。
甘いお菓子も追加で出して、さっさとルネの手に握らせてしまう。
もそもそと恥ずかしそうに口に運ぶが、口元はニヨニヨと嬉しそうだった。
そうして穏やかな時間を過ごしていると、ギャーギャーと喚く声が聞こえてくる。

あれは、セヴランか?
半ばセヴランが泣きながら走ってきて、私の顔を見るなりリオネルを指差して文句を言い出した。
リオネルと一緒だったので、怪我の心配はしていなかったが精神的な負担までは考えてなかったな、そういえば。







「酷いんですよ!リオネルってば大型蜘蛛魔獣と遊んで、蜘蛛に囲まれた私のことを無視して・・・。ものすっごく怖かったし、倒すの大変だったんですから!」

「・・・そうか。こっちは大玉に追いかけられて飛び込んだ部屋がたまたま転移部屋だったので、ゆっくりと君たちを待つことができたよ」

ニッコリと持っていたティーカップを持ち上げて、麗しのエルフは私たちを優雅に迎えた。
なにそれ、ズルい。

私は子供のように頬をぶうっと膨らましたが、その横をリオネルがスタスタと通り過ぎ、ルネの隣にちょこんと座ってお菓子に手を伸ばしていた。
なにそれ、ズルい。

私も休みたいし、お茶飲みたいし、お菓子も食べたいし・・・帰りたいです。
ガックリと項垂れてアルベールの隣に座りました。
いつもは優しくないアルベールが、珍しく手ずからお茶を淹れてくれました。

「ありがとうございます」

受け取ってコクリとひと口。

「それで、鉱石は見つかりましたか?」

「・・・どうして、それを?」

アルベールは胡散臭い笑顔をそのままに、ここディナールの町では誰もが知っている運命の鉱石の逸話を教えてくれた。
ここディナールの町では、運命の鉱石に纏わる話は幾つもあるがその真偽のほどは定かではない。
そのひとつに、希少種の亜人の運命の鉱石は、鉱山ダンジョンで発見されることと、その際に試練を与えられその試練を乗り越えられた者だけが手にすることができるということ。

「試練?」

「ええ。だから、セヴランとリオネルが遭遇した魔獣は、その試練だったかもしれませんね。これだ!と思う鉱石を手に入れたのでは?と」

「・・・はい」

私は自分の魔法鞄から、ひと抱えの鉱石を採り出す。
その鉱石は・・・銀色に輝いているのにどこか透き通るような不思議な色合いをしていた。

「ミスリル・・・ですかね?」

「はい。私が対峙していた蜘蛛の中でも、一番大きい魔獣からドロップしたものです」

「では、リオネルは?」

「リオネルが倒したボス級の蜘蛛からドロップした鉱石がありました・・・が、リオネルは興味が無かったらしく私が預かっています」

こちらです、と魔法鞄から取り出す銀色と金色と黒色が斑な鉱石。

「・・・ふむ。オリハルコンでもなさそうな・・・アダマンタイトかも?」

「やっぱりレアものですよね?あの子ったら知らんぷりで捨てて行こうとしたんですよ?自分の武器を作らないなら売ればいいのに・・・」

根っからの商売人である私にとっては、リオネルの行動は理解ができませんよ。
ふたりで行動していた時間は僅かで、その時間のほとんどを魔獣との戦闘に費やしていたのに・・・このずっしりと感じる疲労感。

恨みがましくチラリとリオネルを見ると、彼にしては珍しく照れた表情で、赤い石を両手で捧げ持ってルネに渡そうとしていた。

「あーっ!」

私がリオネルを指差し大きな声で叫ぶと、ペチリと軽い音を立ててアルベールに後頭部を叩かれた。

「うるさいですよ」

「だって。あれ。例のボス級魔獣の目玉ですよ!」

私の衝撃の告白に、リオネルから受け取ろうと手を伸ばしていたルネの動きがピタリと止まる。
アルベールは、リオネルの手の中の赤い珠をマジマジと観察した。

「ほう、いい物ですね。これってキラータランチュラの魔眼です」

「た・・・高いんですか?」

俗物な質問をした私を一瞥したあと、アルベールはリオネルの頭を撫でて褒めている。

「アルベール。これ・・・どうしたらいいですか?」

結局、リオネルから受け取ったルネが困った顔で尋ねる。

「魔道具の核にしてもいいですし、アクセサリーにしてもいいと思います。ガストンさんに頼んで作ってもらいましょう。鍛冶師と細工師はおなじような物ですから」

違うと思いますが・・・もう、私は何も口を挟みません。
大人しくお茶とお菓子でひと休みしてますよ・・・。
しかし、そんな私のささやかな願いも叶わないのだった。






「だあーっ!」

ゴーレムを倒して拾い物をして、やれやれと腰をトントンと叩いていたら、また底が抜けて落下した。
またかよ!と悪態を吐いても落ちているのは止められない。
今度の落下時間は短かったが、上手に着地が出来ずに尻餅着いた・・・イタタタ。

キョロキョロと周りを見ると、ルネとリオネルのちびっ子組みと、アホ面して呑気に茶を飲んでいるヘタレ狐と、青筋を立てて笑っている嫌味エルフがいた。

「おう!お前ら無事か?」

スチャッと片手を上げてご挨拶。
しかし、そんなことではアルベールの気を逸らすことはできなかった。

「貴方・・・。ヴィーはどうしたんですか!一緒ではないのですか!」

ガックンガクンと胸倉を掴まれて激しくシェイクされる俺。
うげぇっ・・・首、締まっている、苦しいっ!
俺はアルベールの手を力を込めて振りほどき、ゴホンゴホンと咳をする。

「それが・・・、はぐれちまって。お嬢は一緒じゃないのか・・・」

言い訳するみたいで心苦しいが、アルベールの怒りを収めるためにもあの大玉から逃げたときから話し始めた。

俺だって、お嬢のことは心配なんだよっ、ちくしょう!

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