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第7部 才能と現実の壁
5-2無口な人間同士でも上手く通じ合えるかもしれない
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夜、時間は、たぶん七時すぎ。私は、あくびをしながら、フローターに乗っていた。向かっているのは〈そよかぜ寮〉の七階。ここは『エクセレント・フロア』と言われている。この階だけ、物凄く、豪華なつくりだからだ。
じゅうたんや照明も、凄く豪華。観葉植物も、いっぱい置いてある。あと、サロンや、リラクゼーション・ルームなんかもあった。
ここは、上位階級専用のフロアなので、一般階級は入れない。でも、私は、見習い時代から、ここに通ってた。なぜなら、メイリオ先輩の部屋があるからだ。
上位階級の人の許可があれば、入ってもいい。つまり、姉妹が上位階級なら、いつでも自由に、出入りできる。これも、レイアー契約の、大きな特権。だから、階級の高い人と、姉妹になりたがる人が多い。
でも、私は、そういうのは、全く気にしてない。たまたま、メイリオ先輩が、上位階級だっただけ。おいしいお茶や料理を、ご馳走してくれるから好き。理由は、それだけで十分。
私は、長い廊下を歩き、奥に進んで行く。目的の部屋に到着すると、扉の横のパネルに、軽く触れた。一瞬、青く光ると、ロックが外れ、扉が横にスライドして開く。私の魔力登録もしてあるので、自由に出入りできる。
週の半分は、ここに来てるし。私物も、いっぱい置いてある。だから、自分の部屋みたいな感じだ。
入り口をくぐると、玄関には、たくさんの植木鉢が置いてあった。見たことのない、珍しい植物も、色々置いてある。
メイリオ先輩は、先日、シルフィード・クイーンに昇級してから、部屋を引っ越した。階級によって、割り当てられる部屋が、違うからだ。
ここは、以前よりも、かなり大きな部屋だった。でも、すでに、ハーブの鉢で、埋め尽くされていた。引っ越しの際に、整理したのに、また、増えてる。
私は、足早に進んでいく。奥から、とてもいい匂いが、漂ってきたからだ。ダイニングに着くと、テーブルの上には、豪華な料理が、ずらりと並んでいた。どれも、超おいしそう。
「いらっしゃい、フィニーちゃん。今日は、遅かったのね」
「メイリオ先輩、こんばんは。仕事のあと、ベッドに横になったら、いつの間にか寝てた」
「お仕事、忙しかったの?」
「んー、ぼちぼち。でも、暑いの苦手」
「ウフフッ。今からバテてたら、これからの季節、大変よ」
メイリオ先輩は、小さく微笑む。
ここ最近、物凄く気温が上がって来た。私は、暑いのが超苦手。だから、いつもの倍、体力を消耗する。
私たちはテーブルにつくと、
「大地の恵みに感謝します」
祈りをささげてから、食事を始めた。
寝起きなので、最初は、あまり食欲なかったけど。何口か食べたら、凄く元気になって来た。これは、たぶん、ハーブの効果。
食欲増進とか、消化がよくなったり、体力が回復したり。色んな効果のハーブを、使ってるらしい。メイリオ先輩が、食事の時に、よくハーブの説明をする。よく分かんないけど、おいしいから、あまり気にしない。
「そのストラップ、可愛いわね」
「ん……? クリスにもらった」
テーブルに置いてある、私のマギコンには、小さな風車のストラップが、付けてあった。小物には、特に興味ないけど。もらい物なので、とりあえず付けてある。
「あぁ、最近、フィニーちゃんとよく一緒にいる、新人の子ね」
「一緒にいる訳じゃない。よく会うだけ」
「相変わらず、みたいね」
メイリオ先輩は、意味ありげに、くすくすと笑った。
クリスとは、不思議とよく会う。これだけ敷地が広くて、社員数も多いから、あまり、会う機会はないはずだけど。
「あ、そうそう。フィニーちゃんに、いい物をあげるわ」
メイリオ先輩が、マギコンを操作すると、私の目の前に、空中モニターが現れる。そこに表示されていたのは〈ドルフィン・ランド〉のチケットだった。
「これ、遊園地の入場券?」
「ワンデイパスだから、入場とアトラクションが、一日中、使い放題よ。ペアパスだから、誘って行って来たら?」
「誰を――?」
「もちろん、クリスティアちゃんよ」
メイリオ先輩は、ニコニコしながら答える。
うーん、クリスか……。お互い、無口だから、大丈夫だろうか? でも、たまには、静かなのも、いいかもしれない。風歌は、テンション高いし。ナギサは、別の意味でうるさいし。
〈ドルフィン・ランド〉は、おいしい出店が多いことでも有名だ。グルメファンの間では『B級グルメの聖地』とも言われている。
ストラップもらったし。お礼に、クリスを誘ってみるかな。遊園地には、興味ないけど。おいしい物が、いっぱい食べられるなら、行く価値あるし――。
******
朝、八時ごろ。今日は、会社が休みだ。本当は、ゆっくり、寝てたかったけど。早くに、メイリオ先輩に起こされた。昨日は、メイリオ先輩の部屋に、泊まっていたからだ。朝食のあと、私の身だしなみを、念入りに整えてくれた。
準備が済むと、最後に、色々とアドバイスをされる。〈ドルフィン・ランド〉の見所や、お勧めアトラクションとか。ちょっと、遊びに行くだけなのに、妙に細かい。あと、メイリオ先輩の、エア・カートも貸してくれた。
私は〈そよかぜ寮〉の前で、クリスと合流すると、エア・カートに乗って〈ドルフィンランド〉に向かった。天気もいいし、風もほどよく吹いている。今日は、絶好の食べ歩き日和だ。
十分ほど飛ぶと〈新南区〉が見えて来た。かなり、離れた場所からでも〈ドルフィンランド〉の、大観覧車が見える。今日は平日なので〈新南区〉に続く、ドリーム・ブリッジも、あまり混雑はしていない。
ドリーム・ブリッジの真上を飛び、海を渡ると、ほどなくして、遊園地に到着した。まずは、駐機場に、エア・カートを着陸させる。時間が早いので、まだ、停まっている機体は少ない。
私たちが、正門についたのは、開園の十分ほど前。朝早いのに、すでに、行列が出来ていた。平日なら、空いてると思ったけど。思った以上に、人気があるようだ。
行列の後ろで、ボーッと立っていると、やがて、ゲートが開いた。みんなのあとについて、私たちも、園内に入って行く。今なら、どのアトラクションも、待ち時間なしで行けそうだ。
「どこに、行きたい?」
アトラクションには、あまり興味がないので、クリスに訊いてみる。私の目的は、あくまでも、出店の食べ歩きだ。
「……その……どこでも」
クリスは、いつにも増して、小さな声で返して来る。
どうも、人が多くて落ち着かないらしく、緊張している様子だ。私も、人が多い所は苦手なので、何となく分かる。
二人そろって、無口なうえに、人混みが苦手。どう考えたって、来る場所を間違えてる。でも、メイリオ先輩は『大丈夫』って、自信ありげに、言ってた。本当に、上手く行くんだろうか――?
「じゃ、あれ乗ろう」
私は、周囲を見回して、真っ先に目に付いたアトラクションを、指さした。『スプラッシュ・ドルフィン』という、ジェットコースターだ。
「……」
クリスは、少し考えたあと、無言でうなずく。
二人で、待っている列に並んだが、意外と早く、順番が回って来た。以前、雑誌で見たことがある。非常に人気が高く、一時間から二時間待ちの時も、あるらしい。十分ちょっとで乗れるのは、かなりラッキーだ。
コースタ―に乗り込み、シートベルトを締めて待っていると、ゆっくり坂を登り始めた。どんどん、地上が離れ、高度が上がって行くと、気持ちが高揚してくる。やっぱり、高いところから見下ろすのは、気分がいい。
やがて、頂上に着くと、少しずつ前進を始めた。直後、一気に角度がついて、急降下を始める。一瞬、体が、フワッと浮くような感覚になった。だが、すぐに、天地がひっくり返る。
激しくツイストしながら前進し、そのあとは、上がったり下がったりを繰り返す。想像以上に、激しい動きだ。コースターに乗っている人たちから、黄色い悲鳴が上がった。
全身で風を浴びながら、荷重が上下左右に、激しく切り替わる。普段の飛行では、絶対に味わえない、新鮮な感覚だ。
おぉー!! 超楽しい!
高速で流れていく景色と、風を切りさく感覚を楽しんでいると、あっという間に、スタート地点に戻って来てしまった。ちょっと、物足りないので、もう、一、二周したい気分だ。
でも、隣にいたクリスは、顔色が悪かった。コースターを降りたあと、少しふらついていた。
「大丈夫?」
「――だい――じょう――ぶです」
クリスは、かすれた声で、辛うじて答える。全然、大丈夫そうじゃない。
「とりあえず、ちょっと休もう」
クリスの手を取ると、私は、フードコートに向かった。まだ、開園したばかりなので、ガラガラだ。
私は、クリスを椅子に座らせると、冷たい飲み物を買って来る。飲み物を、そっとテーブルに置くと、彼女の正面に座った。
「もしかして、ジェットコースター、苦手だった?」
「……す……少し」
「遠慮しないでいい。苦手なら苦手って、ハッキリ言えばいい」
「――は――はい。激しく動くのは――苦手――です」
「分かった。のんびりしたの、回ろう」
これは、完全に、私の選択ミスだ。私は先輩なんだから、ちゃんと、後輩を見なければならない。メイリオ先輩みたいに、やればいいのかな? 普段、どんな感じだったっけ……?
私は、メイリオ先輩の行動を思い出す。笑顔――は無理だから、気遣いだ。でも、クリスが喜ぶことって、何だろ?
しばらく休んで、クリスが回復すると、園内を散策する。メリーゴーランドとか、観覧車とか。あとは、歩いて回れる、大人し目のアトラクションを、順番に回って行った。今度は、クリスも大丈夫そうだ。
移動中には、色んな出店で、買い食いもする。園内限定のウイング焼きとか、揚げたてのチュロスとか。おいしい店が多く、全くハズレがなかった。流石は『B級グルメの聖地』と、言われるだけはある。
途中で気づいたけど、クリスは、食べてる時は、とてもいい表情をしていた。普段は、いつも不安げな顔をしている。でも、食べる時だけは、凄く幸せそうな表情になるのだ。幸せそうに食べる姿は、見ていて、とても気分がいい。
あと、私と同じで小柄だけど、意外とよく食べる。食欲で、私についてこれる子は、珍しい。結局、園内の出店を、片っ端から食べまくった。
せっかく遊園地に来たのに、アトラクションはおまけで、完全に、食べ歩きになっていた。でも、クリスは嬉しそうなので、大丈夫だと思う。
そうこうしている内に、日が暮れて来た。色々回っていたら、あっという間に、時間が経ってしまった。最初は、乗り気じゃなかったけど。何だかんだで、結構、楽しんでいたのかもしれない……。
******
夕暮れ時。私とクリスは、ベンチに座って、海を眺めていた。つい先ほどまで、ソフトクリームを食べていたが、食べ終わったあとは、完全に無言だった。まぁ、元々私たち二人は、いつもこんな感じだ。
でも、別に、嫌な感じはしない。私は、うるさい人間が嫌いなので、むしろ、静かで落ち着く。あと、一日中、一緒にいたので、彼女のペースに、慣れたのかもしれない。それに、色々と似てるところが、多い気がする。
しばらく、ボーッと海を眺めたあと、私はクリスに話しかけた。
「今日、楽しめた?」
「――ここ最近で――いえ、私の人生で一番」
「そんなに?」
控えめのクリスにしては珍しく、大げさな表現だ。でも、表情を見れば分かる。本当に、満足してる感じだった。
「そういえば、最近、よく会うけど。もしかして、会いに来てた?」
私が質問すると、彼女は、ハッとした表情を浮かべて、固まった。
その後、視線が左右にさまよい、頬を赤らめたあと、小さくうなずいた。クリスは無口だけど、よく見ていると、表情がとても豊かだ。
なるほど。やっぱり、会いに来てたんだ……。
私は、紙袋から、綺麗に包装された、細長い箱を取り出した。移動中、園内のお土産屋で、買っておいたものだ。
「これ、あげる」
私が差し出すと、彼女は静かに受け取った。そのあと、私をじっと見つめて来た。私が頷くと、彼女は、そっと包装紙を開ける。
中に入っていた箱を開けると、そこには、風車型のネックレスが入っていた。彼女は、それを見た瞬間、大きく目を見開く。
「メイリオ先輩に、聴いた。風車の小物には、特別な意味があるって。もしかして、これって、そういう意味だった?」
私は、マギコンを持ち上げて、そこに付いていた、風車のストラップを、彼女に見せる。これは、先日、クリスにもらった物だ。
メイリオ先輩が、言っていた。うちの会社では、風車型の小物を渡すのは、親愛のしるしだと。姉妹になる際に、渡すらしい。そういえば、私も、メイリオ先輩と姉妹になった時、風車型の置時計を、もらった記憶がある。
クリスは、しばらく、ネックレスを見つめていたが、ゆっくり顔を上げると、静かに頷く。夕日のせいか、彼女の横顔は、とても赤く見えた。
「そっか――ゴメン、気付かなくて。その――私たちも、なる――?」
声を掛けると、彼女は、心底、驚いた表情で、こちらに視線を向けてくる。
「でも、私、無口だから。一緒にいても、つまんないかも」
「わ……私も……」
彼女は、大きく首を横に降ったあと答えた。
「それに、滅茶苦茶、大食いだし」
「私も――食べるのは――好き」
それは、知ってる。今日は、結局、一日中、食べてばかりだった。普通だったら、私のペースには、誰もついてこれない。でも、クリスは、黙ってついて来て、黙々と食べていた。無理に、付き合ってる感じではなく、普通に、楽しそうだった。
「んー……。あと、私は、人のペースに合わせるの苦手。だから、いい姉妹になれるか、自信ない」
私とメイリオ先輩が、上手く行ってるのは、常に気を遣って、合わせてくれているからだ。でも、私には、そんな気の利いたことは出来ない。
「――そんなこと――ない。一緒にいるだけで――楽しいです」
彼女は、一生懸命に、声を振り絞って答えた。
そうなんだ? いつも、挙動不審だし、不安そうな表情をしてるから。そんな風に思っているとは、気付かなかった。
私は、どうなんだろ……? 楽しいかどうかは、分からないけど。一緒にいて、嫌な気分にはならない。静かだから、疲れないし。割と落ち着く。
あー、でも、何か危なっかしくて、見てて心配。生まれたての、子ネコを見てる感じ。そもそも、何で、姉妹になろうなんて、言い出したんだろ? これって、どういう感情――?
自分でも、よく分からない。他人には、まったく興味ないし。面倒なのも、年下も、苦手なのに。
「その……これからも……一緒にいたい……です。だから……姉妹に……」
途切れ途切れで、とても小さな声だった。けど、彼女の目は真剣だった。
「分かった。じゃ、また、食べ歩きに行こう」
「――はい!!」
あぁ、普通に、大きな声も出せるんだ。それに、初めて、ちゃんとした笑顔を、見た気がする。
「じゃ、そろそろ、帰ろう」
私は立つと、手を差し出す。彼女の手を取ると、ゆっくり、立ち上がらせた。
「あっ、そうだ。帰りに、寄って行きたい所がある。おいしい串焼きの店。甘い物食べたら、しょっぱいの食べたくなった」
「……」
彼女は、静かに視線を向けて来た。
「もう、お腹いっぱいだった? それとも、串焼き嫌い?」
「――行きます。まだ――平気。串焼きも――好き」
「そっか、よかった」
私は、クリスの手を引きながら、ゆっくり歩いて行った。いつもと変わらないはずの夕日が、妙に赤く美しく見えた。
何となくだけど、たぶん、上手く行きそうな気がする。性格も似てるし、食べるの好きだし。『大食いに、悪い人はいない』って、誰かが言ってたし。
もし、私に本当の妹がいたら、こんな感じだったのかな……?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『レースのことを訊くなら史上最速の人が一番だよね?』
レースは、他人より速いクルマを手に入れることから始まるんだ
じゅうたんや照明も、凄く豪華。観葉植物も、いっぱい置いてある。あと、サロンや、リラクゼーション・ルームなんかもあった。
ここは、上位階級専用のフロアなので、一般階級は入れない。でも、私は、見習い時代から、ここに通ってた。なぜなら、メイリオ先輩の部屋があるからだ。
上位階級の人の許可があれば、入ってもいい。つまり、姉妹が上位階級なら、いつでも自由に、出入りできる。これも、レイアー契約の、大きな特権。だから、階級の高い人と、姉妹になりたがる人が多い。
でも、私は、そういうのは、全く気にしてない。たまたま、メイリオ先輩が、上位階級だっただけ。おいしいお茶や料理を、ご馳走してくれるから好き。理由は、それだけで十分。
私は、長い廊下を歩き、奥に進んで行く。目的の部屋に到着すると、扉の横のパネルに、軽く触れた。一瞬、青く光ると、ロックが外れ、扉が横にスライドして開く。私の魔力登録もしてあるので、自由に出入りできる。
週の半分は、ここに来てるし。私物も、いっぱい置いてある。だから、自分の部屋みたいな感じだ。
入り口をくぐると、玄関には、たくさんの植木鉢が置いてあった。見たことのない、珍しい植物も、色々置いてある。
メイリオ先輩は、先日、シルフィード・クイーンに昇級してから、部屋を引っ越した。階級によって、割り当てられる部屋が、違うからだ。
ここは、以前よりも、かなり大きな部屋だった。でも、すでに、ハーブの鉢で、埋め尽くされていた。引っ越しの際に、整理したのに、また、増えてる。
私は、足早に進んでいく。奥から、とてもいい匂いが、漂ってきたからだ。ダイニングに着くと、テーブルの上には、豪華な料理が、ずらりと並んでいた。どれも、超おいしそう。
「いらっしゃい、フィニーちゃん。今日は、遅かったのね」
「メイリオ先輩、こんばんは。仕事のあと、ベッドに横になったら、いつの間にか寝てた」
「お仕事、忙しかったの?」
「んー、ぼちぼち。でも、暑いの苦手」
「ウフフッ。今からバテてたら、これからの季節、大変よ」
メイリオ先輩は、小さく微笑む。
ここ最近、物凄く気温が上がって来た。私は、暑いのが超苦手。だから、いつもの倍、体力を消耗する。
私たちはテーブルにつくと、
「大地の恵みに感謝します」
祈りをささげてから、食事を始めた。
寝起きなので、最初は、あまり食欲なかったけど。何口か食べたら、凄く元気になって来た。これは、たぶん、ハーブの効果。
食欲増進とか、消化がよくなったり、体力が回復したり。色んな効果のハーブを、使ってるらしい。メイリオ先輩が、食事の時に、よくハーブの説明をする。よく分かんないけど、おいしいから、あまり気にしない。
「そのストラップ、可愛いわね」
「ん……? クリスにもらった」
テーブルに置いてある、私のマギコンには、小さな風車のストラップが、付けてあった。小物には、特に興味ないけど。もらい物なので、とりあえず付けてある。
「あぁ、最近、フィニーちゃんとよく一緒にいる、新人の子ね」
「一緒にいる訳じゃない。よく会うだけ」
「相変わらず、みたいね」
メイリオ先輩は、意味ありげに、くすくすと笑った。
クリスとは、不思議とよく会う。これだけ敷地が広くて、社員数も多いから、あまり、会う機会はないはずだけど。
「あ、そうそう。フィニーちゃんに、いい物をあげるわ」
メイリオ先輩が、マギコンを操作すると、私の目の前に、空中モニターが現れる。そこに表示されていたのは〈ドルフィン・ランド〉のチケットだった。
「これ、遊園地の入場券?」
「ワンデイパスだから、入場とアトラクションが、一日中、使い放題よ。ペアパスだから、誘って行って来たら?」
「誰を――?」
「もちろん、クリスティアちゃんよ」
メイリオ先輩は、ニコニコしながら答える。
うーん、クリスか……。お互い、無口だから、大丈夫だろうか? でも、たまには、静かなのも、いいかもしれない。風歌は、テンション高いし。ナギサは、別の意味でうるさいし。
〈ドルフィン・ランド〉は、おいしい出店が多いことでも有名だ。グルメファンの間では『B級グルメの聖地』とも言われている。
ストラップもらったし。お礼に、クリスを誘ってみるかな。遊園地には、興味ないけど。おいしい物が、いっぱい食べられるなら、行く価値あるし――。
******
朝、八時ごろ。今日は、会社が休みだ。本当は、ゆっくり、寝てたかったけど。早くに、メイリオ先輩に起こされた。昨日は、メイリオ先輩の部屋に、泊まっていたからだ。朝食のあと、私の身だしなみを、念入りに整えてくれた。
準備が済むと、最後に、色々とアドバイスをされる。〈ドルフィン・ランド〉の見所や、お勧めアトラクションとか。ちょっと、遊びに行くだけなのに、妙に細かい。あと、メイリオ先輩の、エア・カートも貸してくれた。
私は〈そよかぜ寮〉の前で、クリスと合流すると、エア・カートに乗って〈ドルフィンランド〉に向かった。天気もいいし、風もほどよく吹いている。今日は、絶好の食べ歩き日和だ。
十分ほど飛ぶと〈新南区〉が見えて来た。かなり、離れた場所からでも〈ドルフィンランド〉の、大観覧車が見える。今日は平日なので〈新南区〉に続く、ドリーム・ブリッジも、あまり混雑はしていない。
ドリーム・ブリッジの真上を飛び、海を渡ると、ほどなくして、遊園地に到着した。まずは、駐機場に、エア・カートを着陸させる。時間が早いので、まだ、停まっている機体は少ない。
私たちが、正門についたのは、開園の十分ほど前。朝早いのに、すでに、行列が出来ていた。平日なら、空いてると思ったけど。思った以上に、人気があるようだ。
行列の後ろで、ボーッと立っていると、やがて、ゲートが開いた。みんなのあとについて、私たちも、園内に入って行く。今なら、どのアトラクションも、待ち時間なしで行けそうだ。
「どこに、行きたい?」
アトラクションには、あまり興味がないので、クリスに訊いてみる。私の目的は、あくまでも、出店の食べ歩きだ。
「……その……どこでも」
クリスは、いつにも増して、小さな声で返して来る。
どうも、人が多くて落ち着かないらしく、緊張している様子だ。私も、人が多い所は苦手なので、何となく分かる。
二人そろって、無口なうえに、人混みが苦手。どう考えたって、来る場所を間違えてる。でも、メイリオ先輩は『大丈夫』って、自信ありげに、言ってた。本当に、上手く行くんだろうか――?
「じゃ、あれ乗ろう」
私は、周囲を見回して、真っ先に目に付いたアトラクションを、指さした。『スプラッシュ・ドルフィン』という、ジェットコースターだ。
「……」
クリスは、少し考えたあと、無言でうなずく。
二人で、待っている列に並んだが、意外と早く、順番が回って来た。以前、雑誌で見たことがある。非常に人気が高く、一時間から二時間待ちの時も、あるらしい。十分ちょっとで乗れるのは、かなりラッキーだ。
コースタ―に乗り込み、シートベルトを締めて待っていると、ゆっくり坂を登り始めた。どんどん、地上が離れ、高度が上がって行くと、気持ちが高揚してくる。やっぱり、高いところから見下ろすのは、気分がいい。
やがて、頂上に着くと、少しずつ前進を始めた。直後、一気に角度がついて、急降下を始める。一瞬、体が、フワッと浮くような感覚になった。だが、すぐに、天地がひっくり返る。
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全身で風を浴びながら、荷重が上下左右に、激しく切り替わる。普段の飛行では、絶対に味わえない、新鮮な感覚だ。
おぉー!! 超楽しい!
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でも、隣にいたクリスは、顔色が悪かった。コースターを降りたあと、少しふらついていた。
「大丈夫?」
「――だい――じょう――ぶです」
クリスは、かすれた声で、辛うじて答える。全然、大丈夫そうじゃない。
「とりあえず、ちょっと休もう」
クリスの手を取ると、私は、フードコートに向かった。まだ、開園したばかりなので、ガラガラだ。
私は、クリスを椅子に座らせると、冷たい飲み物を買って来る。飲み物を、そっとテーブルに置くと、彼女の正面に座った。
「もしかして、ジェットコースター、苦手だった?」
「……す……少し」
「遠慮しないでいい。苦手なら苦手って、ハッキリ言えばいい」
「――は――はい。激しく動くのは――苦手――です」
「分かった。のんびりしたの、回ろう」
これは、完全に、私の選択ミスだ。私は先輩なんだから、ちゃんと、後輩を見なければならない。メイリオ先輩みたいに、やればいいのかな? 普段、どんな感じだったっけ……?
私は、メイリオ先輩の行動を思い出す。笑顔――は無理だから、気遣いだ。でも、クリスが喜ぶことって、何だろ?
しばらく休んで、クリスが回復すると、園内を散策する。メリーゴーランドとか、観覧車とか。あとは、歩いて回れる、大人し目のアトラクションを、順番に回って行った。今度は、クリスも大丈夫そうだ。
移動中には、色んな出店で、買い食いもする。園内限定のウイング焼きとか、揚げたてのチュロスとか。おいしい店が多く、全くハズレがなかった。流石は『B級グルメの聖地』と、言われるだけはある。
途中で気づいたけど、クリスは、食べてる時は、とてもいい表情をしていた。普段は、いつも不安げな顔をしている。でも、食べる時だけは、凄く幸せそうな表情になるのだ。幸せそうに食べる姿は、見ていて、とても気分がいい。
あと、私と同じで小柄だけど、意外とよく食べる。食欲で、私についてこれる子は、珍しい。結局、園内の出店を、片っ端から食べまくった。
せっかく遊園地に来たのに、アトラクションはおまけで、完全に、食べ歩きになっていた。でも、クリスは嬉しそうなので、大丈夫だと思う。
そうこうしている内に、日が暮れて来た。色々回っていたら、あっという間に、時間が経ってしまった。最初は、乗り気じゃなかったけど。何だかんだで、結構、楽しんでいたのかもしれない……。
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夕暮れ時。私とクリスは、ベンチに座って、海を眺めていた。つい先ほどまで、ソフトクリームを食べていたが、食べ終わったあとは、完全に無言だった。まぁ、元々私たち二人は、いつもこんな感じだ。
でも、別に、嫌な感じはしない。私は、うるさい人間が嫌いなので、むしろ、静かで落ち着く。あと、一日中、一緒にいたので、彼女のペースに、慣れたのかもしれない。それに、色々と似てるところが、多い気がする。
しばらく、ボーッと海を眺めたあと、私はクリスに話しかけた。
「今日、楽しめた?」
「――ここ最近で――いえ、私の人生で一番」
「そんなに?」
控えめのクリスにしては珍しく、大げさな表現だ。でも、表情を見れば分かる。本当に、満足してる感じだった。
「そういえば、最近、よく会うけど。もしかして、会いに来てた?」
私が質問すると、彼女は、ハッとした表情を浮かべて、固まった。
その後、視線が左右にさまよい、頬を赤らめたあと、小さくうなずいた。クリスは無口だけど、よく見ていると、表情がとても豊かだ。
なるほど。やっぱり、会いに来てたんだ……。
私は、紙袋から、綺麗に包装された、細長い箱を取り出した。移動中、園内のお土産屋で、買っておいたものだ。
「これ、あげる」
私が差し出すと、彼女は静かに受け取った。そのあと、私をじっと見つめて来た。私が頷くと、彼女は、そっと包装紙を開ける。
中に入っていた箱を開けると、そこには、風車型のネックレスが入っていた。彼女は、それを見た瞬間、大きく目を見開く。
「メイリオ先輩に、聴いた。風車の小物には、特別な意味があるって。もしかして、これって、そういう意味だった?」
私は、マギコンを持ち上げて、そこに付いていた、風車のストラップを、彼女に見せる。これは、先日、クリスにもらった物だ。
メイリオ先輩が、言っていた。うちの会社では、風車型の小物を渡すのは、親愛のしるしだと。姉妹になる際に、渡すらしい。そういえば、私も、メイリオ先輩と姉妹になった時、風車型の置時計を、もらった記憶がある。
クリスは、しばらく、ネックレスを見つめていたが、ゆっくり顔を上げると、静かに頷く。夕日のせいか、彼女の横顔は、とても赤く見えた。
「そっか――ゴメン、気付かなくて。その――私たちも、なる――?」
声を掛けると、彼女は、心底、驚いた表情で、こちらに視線を向けてくる。
「でも、私、無口だから。一緒にいても、つまんないかも」
「わ……私も……」
彼女は、大きく首を横に降ったあと答えた。
「それに、滅茶苦茶、大食いだし」
「私も――食べるのは――好き」
それは、知ってる。今日は、結局、一日中、食べてばかりだった。普通だったら、私のペースには、誰もついてこれない。でも、クリスは、黙ってついて来て、黙々と食べていた。無理に、付き合ってる感じではなく、普通に、楽しそうだった。
「んー……。あと、私は、人のペースに合わせるの苦手。だから、いい姉妹になれるか、自信ない」
私とメイリオ先輩が、上手く行ってるのは、常に気を遣って、合わせてくれているからだ。でも、私には、そんな気の利いたことは出来ない。
「――そんなこと――ない。一緒にいるだけで――楽しいです」
彼女は、一生懸命に、声を振り絞って答えた。
そうなんだ? いつも、挙動不審だし、不安そうな表情をしてるから。そんな風に思っているとは、気付かなかった。
私は、どうなんだろ……? 楽しいかどうかは、分からないけど。一緒にいて、嫌な気分にはならない。静かだから、疲れないし。割と落ち着く。
あー、でも、何か危なっかしくて、見てて心配。生まれたての、子ネコを見てる感じ。そもそも、何で、姉妹になろうなんて、言い出したんだろ? これって、どういう感情――?
自分でも、よく分からない。他人には、まったく興味ないし。面倒なのも、年下も、苦手なのに。
「その……これからも……一緒にいたい……です。だから……姉妹に……」
途切れ途切れで、とても小さな声だった。けど、彼女の目は真剣だった。
「分かった。じゃ、また、食べ歩きに行こう」
「――はい!!」
あぁ、普通に、大きな声も出せるんだ。それに、初めて、ちゃんとした笑顔を、見た気がする。
「じゃ、そろそろ、帰ろう」
私は立つと、手を差し出す。彼女の手を取ると、ゆっくり、立ち上がらせた。
「あっ、そうだ。帰りに、寄って行きたい所がある。おいしい串焼きの店。甘い物食べたら、しょっぱいの食べたくなった」
「……」
彼女は、静かに視線を向けて来た。
「もう、お腹いっぱいだった? それとも、串焼き嫌い?」
「――行きます。まだ――平気。串焼きも――好き」
「そっか、よかった」
私は、クリスの手を引きながら、ゆっくり歩いて行った。いつもと変わらないはずの夕日が、妙に赤く美しく見えた。
何となくだけど、たぶん、上手く行きそうな気がする。性格も似てるし、食べるの好きだし。『大食いに、悪い人はいない』って、誰かが言ってたし。
もし、私に本当の妹がいたら、こんな感じだったのかな……?
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次回――
『レースのことを訊くなら史上最速の人が一番だよね?』
レースは、他人より速いクルマを手に入れることから始まるんだ
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『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
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北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
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スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
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「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
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味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
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酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
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都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
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異世界転生したおっさんが普通に生きる
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異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
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