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第9部 夢の先にあるもの
2-7年越しっていくつになってもワクワクするよね
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仕事が終わったあとの夜。私は、ユメちゃんの家に来ていた。相変わらず、びっくりするほど、大きいお屋敷だ。でも、何度も来ているので、さすがに慣れてきた。今夜はここで、盛大なパーティーが行われる。
というのも、今日は、十二月二十九日。『送迎祭』が行われる日からだ。向こうの世界だと、三十一日に、年越しをやるけど。こっちの世界では『二十九日』にやるのが、一般的だ。
二十九日に、年越しを終えると。あとの二日間は、新年の準備を行ない、家族と一緒に、のんびり過ごす。これが、この町の古くからの伝統だ。
なお『送迎祭』の日は、親しい人たちと集まって、飲んだり食べたりして、ワイワイ騒いで過ごす。しかも、それが翌朝まで、ずっと続くのだ。
まずは、午後になったら集まって、夜中の『送迎祭』の儀式までは、ひたすら楽しく過ごす。私は、昼間、仕事だったので、夕方から参加していた。
ただ『送迎祭』が楽しみ過ぎて。上位階級に、あるまじき行為だけど、観光案内中も、ワクワクしっぱなしだった。やっぱり、いくつになっても、年越は特別感があって、滅茶苦茶、楽しみなんだよね。しかも、今年は、友人宅で過ごす年越しだし。
ある程度、予想はしていたんだけど。ユメちゃんの家のパーティーは、想像をはるかに超える、豪華さと盛大さだった。物凄く大きなホールのテーブルは、大量の料理やお酒で、あふれ返っていた。
そもそも、一般家庭に、大ホールがあること自体が、普通じゃない。天井には、大きなシャンデリアが輝いており、床には、高級そうなじゅうたんが、一面に敷き詰められている。周囲では、沢山のメイドさんと執事さんが、動き回っていた。
参加者たちは、軽く百名を超えており、みんなドレスやタキシードに身を包み、いかにも、セレブそうな感じがする。ユメちゃんのご両親の知り合いが多いので、実際に、物凄い著名人や、お金持ちの人ばかりだった。
今回、私は、制服で参加している。というのも、こういう、お祝いの場では『幸運の使者』であるシルフィードは、とても歓迎されるからだ。シルフィード自体が、縁起物みたいな感じなんだよね。
あと『友人を何人でも連れて来ていい』と、ユメちゃんに言われたので、親しいシルフィードを、数名、連れて来た。
今日、一緒に来たのは、セラちゃん、ヴィオちゃん、クリスちゃんの、後輩たち三名。彼女たちの、社会勉強になると思って、連れて来たのだ。
残念ながら、同期の子たちはみんな、会社のほうのパーティーに参加するので、こちらには、出席できなかった。大企業の場合、かなり盛大にパーティーをやるため、一人前は、全員、参加するらしい。
大手の場合は、たくさんの社員がいるし。関連企業の人や、お得意様も招待するようなので。仕事に関係ある人との、人付き合いは大事だから、しょうがないよね。
リリーシャさんも誘ったんだけど、ツバサさんと、静かに年越しをやるらしい。アリーシャさんがいたころは、三人で。今は、毎年、二人でやってるんだって。気心知れた人と、静かにやる年越しもいいよね。
ちなみに、一緒に来た三人は、ユメちゃんの家に着いたら、あまりのスケールの大きさに圧倒され、唖然として、しばらく固まっていた。
私は、何度も来ているし、最近は、パーティーに参加する機会も多いので、平気だけど。私も最初のころは、驚きまくっていたので、慣れって大事だよね。
ホールに入ると、真っ先に、ユメちゃんのご両親のところに向かった。まずは、ホストに挨拶をするのが、パーティーに招待された際の、正しい礼儀作法だ。
「本日は、お招きいただき、誠にありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。本日は、お忙しいところ『天使の翼』にご足労いだき、大変、光栄です」
私は、タキシード姿のジークハルトさんに、丁寧に挨拶をする。とても物腰が穏やかで、紳士的な人だった。彼は、アッシュフィールド家の現当主で、政財界では、知らない人はいないほどの、超有名人だ。
「ようこそ、おいでくださいました。まさか『天使の翼』と共に、年を越せるとは、光栄の極みですわ」
「こちらこそ、こんな立派な年越しパーティーに呼んで頂けて、とても光栄です」
エリザベートさんは、相変わらず美しく、全身から気品が漂っている。流石は、王族の血を引く人だ。
「風ちゃん、いらっしゃーい! 超楽しみに待ってたよー」
「こんばんは、ユメちゃん! 私も、一緒に年越しできるの、凄く楽しみにしてたよ」
ユメちゃんは、ドレスで正装しているものの、ノリはいつもと全く変わらない。私たちは、両手をとって、お互いに喜び合う。やっぱり、親友と一緒に年が越せるって、滅茶苦茶、嬉しいよね。
ただ、私たちのやり取りを見て、ジークハルトさんとエリザベートさんは、ちょっと苦笑いしていた。一応、公式の場では、上位階級は、かなりのVIPなので。とはいえ、私は、友達には、普通に接してもらえたほうが嬉しい。
「ねぇ、今日は、朝までいられるんでしょ?」
「うん、私は大丈夫だよ。あとで、一杯お話ししようね」
「えー、今話そうよー。大人ばっかで、つまんないんだもん」
「あははっ。でも、私は、色んな人と、挨拶があるから……」
こういうパーティーに参加したら、片っ端から、挨拶をして回る必要がある。それが、上位階級の、仕事でもあるからだ。それに、こういうところから、人脈が広がって行く。
「ユーメリア。無茶を言ってはいけないよ。『天使の翼』は、お忙しいのだから」
「そうよ。お忙しくて、お疲れなのだから。無理に、引き留めては、ご迷惑よ」
「えー、疲れたなら、私の部屋で休めばいいじゃん。客間に泊まってもいいし」
早速ユメちゃんは、ご両親に、たしなめられる。
「あー、私は大丈夫ですので。今年分の予約は、今日で全て終わりましたし。明日は、会社は午前中だけですし。残ってるのは、年末の大掃除だけですので」
どこのシルフィード会社も、営業は二十九日までだ。あとは、三十日に、大掃除などをして、三十一日からは、一週間、お正月休みになる。なので、当分は、かなりのんびりできるのだ。
「そうですか。いつも、うちの娘がワガママを言って、申しわけありません。もし、無理を言ったら、ハッキリ断ってくださって、結構ですので」
「ちょっと、お父さん! 私は、ワガママなんて言ってないし。あと、風ちゃんは、上位階級としてじゃなくて、普通の友達付き合いしてるだけだから!」
「いや、しかしね、ユーメリア――」
「余計なことを言うと、もう、口きかないから」
ユメちゃんが、ぶーっとむくれると、ジークハルトさんは、困った表情で、あたふたしていた。物凄い権力者なんだけど、相変わらず、娘には弱いらしい。その様子を見て、エリザベートさんは、くすくす笑っていた。本当に仲のいい家族だよね。
一度、ユメちゃんたちと別れると、私は、後輩を連れ、来賓の人たちのところを、順番に回って行く。私が挨拶すると、後ろの三人も、続けて挨拶をする。
クリスちゃんは、おどおどしながら、ちょこんと。セラちゃんは、ちょっと緊張しながら。ヴィオちゃんだけは、流暢に挨拶をしていた。流石は、ナギサちゃんの妹だけあって、正々堂々している。
それにしても、本当に、たくさんの人たちが来ていた。しかも、ニュースなどで見たことのある人たちも、結構いる。議員や行政府の高官、大企業の社長など。とんでもない、大物ぞろいだ。
本来なら、まるで接点もなく、話す機会がない人たちだけど。私が声を掛けると、皆、物凄く丁寧に対応してくれた。『天使の翼』の二つ名は、誰もが知っているようで、私に会えたことを、とても喜んでくれている。
話す内容は、シルフィード業界について。また、この町の政治や経済について。政財界に影響力のある人ばかりなので、難しい話が多い。ただ、ビジネスとしてだけではなく、皆、真剣に、この町の発展を考えているようだ。
一昔前なら、さっぱり、分からなかったと思うけど。上位階級になってからは、毎日、ニュースを見て勉強しているので、その手の話題にも、対応が可能だ。
私も、この町の政治経済に、少なからず、影響を与える側の人間になったので、真剣に考えなければならない。皆、様々な分野のエキスパートなので、話しをするのは、とても勉強になる。
一通り、あいさつを回り終えると、私たちは、ユメちゃんの場所に戻った。後輩の子たちは、緊張と人の多さのせいか、だいぶ疲れてるみたいだし。ちょっと、休憩したほうが、いいかもしれない。
「ユメちゃん、お待たせ。あいさつ回り、終わったよ」
「お帰り、風ちゃん。もー、超暇だったよー。遅ーい!」
ユメちゃんは、ブーッとふくれた顔をする。
「ゴメン、ゴメン。思ったよりも、人が多くて。それに、話している内に、楽しくなっちゃって」
最初は、私に難しい話が出来るかどうか、心配だったけど。政治や経済の話も、実際にやってみると、中々おもしろい。私も、この町が大好きだし。シルフィード業界はもちろん、この町を、もっと発展させたい気持ちは、強いので。
「相変わらずだよねー、風ちゃんの、コミュ力お化けは。何で、初対面のおじさんたちと、あんなに楽しそうに話せるの? 私には、絶対に無理だよー」
「流石は、風歌先輩です! あんなに凄い人たちと、全く物おじせずに、自然な感じで話せるなんて。滅茶苦茶、カッコよかったです。私では、初対面の偉い人たちとは、まともに話せないです」
ユメちゃんの言葉に反応して、セラちゃんが、目をキラキラさせながら語る。
一応、この二人には、コミュニケーション講義をやってるんだよね。二人とも、元々かなり人見知りな性格だ。でも、ここ最近、だいぶ自然に、人付き合いが、出来るようになってきていた。
「んー、特に深くは、考えてないんだけどねぇ。それに、みんな、凄くいい人たちだったから、話やすかったよ」
パッと見、怖そうだったり、気難しそうな感じの人でも。実際に話してみると、みんな、優しい人ばかりだった。
「それは、風ちゃんが、特別なの。これだから、コミュ力のある人は」
「その通りです。風歌先輩のコミュ力は、この町でも、トップレベルですから」
「たぶん、シルフィードの中で、一番だと思うよ」
「ですよねー。私もそう思います!」
ユメちゃんとセラちゃんは、私の話題で盛り上がる。
「まぁ、でも、実際に凄いですよ。人付き合いの上手さは、抜群だと、ナギサお姉様から、聴いていましたけど。これほどとは、思いませんでした。礼儀作法も、完璧にできていましたし」
「えっ、そう? ヴィオちゃんにそう言ってもらえると、嬉しいなぁ」
ヴィオちゃんは、ナギサちゃんの妹だけあって、礼儀作法や気品は、完璧だ。その彼女に、お墨付きをもらえるのは、純粋に嬉しい。
ただ一人、クリスちゃんだけは、モジモジとして、何もしゃべらない。先ほどから不安そうに、あちこちに、視線を泳がせている。
時折り、料理のほうに視線が向かっているので、きっと、お腹が空いているのだろう。でも、彼女の性格的に、知らない人がいる所に行くのが、怖いのだと思う。
「とりあえず、夕飯にしようか? みんなも、お腹空いたでしょ? まだ、夜も長いから、しっかり、腹ごしらえしておかないとね」
私が提案すると、クリちゃんの目が、キラキラと輝く。ここら辺は、フィニーちゃんと、そっくりだ。
「ねぇ、せっかくだから、私の部屋に行こうよ。まだ『送迎祭』の儀式まで、時間があるし。料理は、リチャードに、運んでもらうから」
「そうだね。ちょっと、休憩させてもらおうかな」
そんな訳で、私たち五人は、ぞろぞろと、ユメちゃんの部屋に向かうのだった……。
******
時間は、深夜0時の少し前。私たちは、再び、大ホールに移動していた。つい先ほど『送迎祭』の、十二回目の鐘が鳴って、お祈りを終えたところだ。今年も、手作りの『幸運の玉』を用意し、しっかり、十二回、感謝とお祈りを行った。
チョコレートの甘さと共に、今年一年の、様々な記憶を思い出した。滅茶苦茶、忙しくて、駆け足の一年だったけど。特にトラブルもなく、本当に、よい一年だった。全ての月と、この町の全ての人たちに、感謝の気持ちで一杯だ。
今、ホールの中では、執事さんやメイドさんたちが、参加者に、グラスを配っている最中だった。私は、お酒が飲めないので、ノン・アルコールのシャンパン。飲み物を手にすると、皆、ぞろぞろと、テラスに向かっていった。
儀式中は、庭のイルミネーションやライトは、全て消えているので、真っ暗だ。でも、おかげで、星空がよく見える。静寂に包まれる中、皆、沈黙して、時を待つ。何だか、物凄くドキドキしてきた。
しばらくすると『ドーン!』と、派手な音と共に、夜空に、大きな花火が打ちあがる。その瞬間、庭の灯りが、一斉にともった。
と同時に、皆、一斉に声をあげる。
「大地の恵みに感謝を! 海の恵みに感謝を!
この町で過ごせたことの幸運に感謝を!
世界中の人々に、愛と平和と祝福を!」
「乾杯!!」
お祝いの言葉が終わると、グラスをかかげたあと、一気に飲み干した。
乾杯が終わると、再び、周囲がにぎやかになった。上流階級の人ばかりなので、ちょっと大人し目だけど。みんな素敵な笑顔で、新年を喜び合う。
続いて、みんなでハグをする。親しい人たちでハグをするのが、この町の新年のあいさつだ。
私は、ユメちゃんや、後輩たちを、ギュッと抱きしめる。セラちゃんと、ユメちゃんは、凄く喜んでたけど。ヴィオちゃんと、クリスちゃんは、滅茶苦茶、照れていた。やっぱ、後輩たちは、可愛いなぁー。
その後、私は、他の人たちの所に行き、手当たりしだいに、ハグして回った。でも、みんな『プリンセスとハグできるなんて、今年は最高の年になりそうだ』と、大喜びしてくれた。
一通り、ハグして回ると、再び、みんな所に戻って来て、声を掛ける。
「みんな、今年もよろしくね。あと、夢に向かって、お互いに頑張ろうね」
「うん。風ちゃんに、負けないように、頑張るよ!」
「私も、風歌先輩を目指して、頑張ります!」
ユメちゃんも、セラちゃんも、滅茶苦茶テンションが高く、早くもやる気満々だ。
「まぁ、私も、もちろん頑張りますよ。頂点、目指すんで」
ヴィオちゃんは、あくまでも、クールに。
「わ――私も、頑張ります……」
クリスちゃんは、相変わらず声は小さいけど、目に力が入っていた。
本当に、いい一年だった。でも、それは、私の周りに、素敵な人たちが、沢山いたからだ。優しくしてもらったことは、もちろん。必死に頑張る人を見て、私も頑張ろうって、強く思えたからだ。
今年もまた、最高の一年になるように。たくさんの人と仲良くなって、絆を大事にしよう。あと、たくさんの人の、役に立てるように頑張ろう。もう一つ、自分の地位に見合った人間になれるよう、さらに努力していこう。
私は、夜空にあがり続ける、美しい花火を見ながら、決意を新たにするのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『私は仕事をしている時が一番幸せかも』
本当に愛する仕事を見つけたら、あなたはもう労働をすることはない
というのも、今日は、十二月二十九日。『送迎祭』が行われる日からだ。向こうの世界だと、三十一日に、年越しをやるけど。こっちの世界では『二十九日』にやるのが、一般的だ。
二十九日に、年越しを終えると。あとの二日間は、新年の準備を行ない、家族と一緒に、のんびり過ごす。これが、この町の古くからの伝統だ。
なお『送迎祭』の日は、親しい人たちと集まって、飲んだり食べたりして、ワイワイ騒いで過ごす。しかも、それが翌朝まで、ずっと続くのだ。
まずは、午後になったら集まって、夜中の『送迎祭』の儀式までは、ひたすら楽しく過ごす。私は、昼間、仕事だったので、夕方から参加していた。
ただ『送迎祭』が楽しみ過ぎて。上位階級に、あるまじき行為だけど、観光案内中も、ワクワクしっぱなしだった。やっぱり、いくつになっても、年越は特別感があって、滅茶苦茶、楽しみなんだよね。しかも、今年は、友人宅で過ごす年越しだし。
ある程度、予想はしていたんだけど。ユメちゃんの家のパーティーは、想像をはるかに超える、豪華さと盛大さだった。物凄く大きなホールのテーブルは、大量の料理やお酒で、あふれ返っていた。
そもそも、一般家庭に、大ホールがあること自体が、普通じゃない。天井には、大きなシャンデリアが輝いており、床には、高級そうなじゅうたんが、一面に敷き詰められている。周囲では、沢山のメイドさんと執事さんが、動き回っていた。
参加者たちは、軽く百名を超えており、みんなドレスやタキシードに身を包み、いかにも、セレブそうな感じがする。ユメちゃんのご両親の知り合いが多いので、実際に、物凄い著名人や、お金持ちの人ばかりだった。
今回、私は、制服で参加している。というのも、こういう、お祝いの場では『幸運の使者』であるシルフィードは、とても歓迎されるからだ。シルフィード自体が、縁起物みたいな感じなんだよね。
あと『友人を何人でも連れて来ていい』と、ユメちゃんに言われたので、親しいシルフィードを、数名、連れて来た。
今日、一緒に来たのは、セラちゃん、ヴィオちゃん、クリスちゃんの、後輩たち三名。彼女たちの、社会勉強になると思って、連れて来たのだ。
残念ながら、同期の子たちはみんな、会社のほうのパーティーに参加するので、こちらには、出席できなかった。大企業の場合、かなり盛大にパーティーをやるため、一人前は、全員、参加するらしい。
大手の場合は、たくさんの社員がいるし。関連企業の人や、お得意様も招待するようなので。仕事に関係ある人との、人付き合いは大事だから、しょうがないよね。
リリーシャさんも誘ったんだけど、ツバサさんと、静かに年越しをやるらしい。アリーシャさんがいたころは、三人で。今は、毎年、二人でやってるんだって。気心知れた人と、静かにやる年越しもいいよね。
ちなみに、一緒に来た三人は、ユメちゃんの家に着いたら、あまりのスケールの大きさに圧倒され、唖然として、しばらく固まっていた。
私は、何度も来ているし、最近は、パーティーに参加する機会も多いので、平気だけど。私も最初のころは、驚きまくっていたので、慣れって大事だよね。
ホールに入ると、真っ先に、ユメちゃんのご両親のところに向かった。まずは、ホストに挨拶をするのが、パーティーに招待された際の、正しい礼儀作法だ。
「本日は、お招きいただき、誠にありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。本日は、お忙しいところ『天使の翼』にご足労いだき、大変、光栄です」
私は、タキシード姿のジークハルトさんに、丁寧に挨拶をする。とても物腰が穏やかで、紳士的な人だった。彼は、アッシュフィールド家の現当主で、政財界では、知らない人はいないほどの、超有名人だ。
「ようこそ、おいでくださいました。まさか『天使の翼』と共に、年を越せるとは、光栄の極みですわ」
「こちらこそ、こんな立派な年越しパーティーに呼んで頂けて、とても光栄です」
エリザベートさんは、相変わらず美しく、全身から気品が漂っている。流石は、王族の血を引く人だ。
「風ちゃん、いらっしゃーい! 超楽しみに待ってたよー」
「こんばんは、ユメちゃん! 私も、一緒に年越しできるの、凄く楽しみにしてたよ」
ユメちゃんは、ドレスで正装しているものの、ノリはいつもと全く変わらない。私たちは、両手をとって、お互いに喜び合う。やっぱり、親友と一緒に年が越せるって、滅茶苦茶、嬉しいよね。
ただ、私たちのやり取りを見て、ジークハルトさんとエリザベートさんは、ちょっと苦笑いしていた。一応、公式の場では、上位階級は、かなりのVIPなので。とはいえ、私は、友達には、普通に接してもらえたほうが嬉しい。
「ねぇ、今日は、朝までいられるんでしょ?」
「うん、私は大丈夫だよ。あとで、一杯お話ししようね」
「えー、今話そうよー。大人ばっかで、つまんないんだもん」
「あははっ。でも、私は、色んな人と、挨拶があるから……」
こういうパーティーに参加したら、片っ端から、挨拶をして回る必要がある。それが、上位階級の、仕事でもあるからだ。それに、こういうところから、人脈が広がって行く。
「ユーメリア。無茶を言ってはいけないよ。『天使の翼』は、お忙しいのだから」
「そうよ。お忙しくて、お疲れなのだから。無理に、引き留めては、ご迷惑よ」
「えー、疲れたなら、私の部屋で休めばいいじゃん。客間に泊まってもいいし」
早速ユメちゃんは、ご両親に、たしなめられる。
「あー、私は大丈夫ですので。今年分の予約は、今日で全て終わりましたし。明日は、会社は午前中だけですし。残ってるのは、年末の大掃除だけですので」
どこのシルフィード会社も、営業は二十九日までだ。あとは、三十日に、大掃除などをして、三十一日からは、一週間、お正月休みになる。なので、当分は、かなりのんびりできるのだ。
「そうですか。いつも、うちの娘がワガママを言って、申しわけありません。もし、無理を言ったら、ハッキリ断ってくださって、結構ですので」
「ちょっと、お父さん! 私は、ワガママなんて言ってないし。あと、風ちゃんは、上位階級としてじゃなくて、普通の友達付き合いしてるだけだから!」
「いや、しかしね、ユーメリア――」
「余計なことを言うと、もう、口きかないから」
ユメちゃんが、ぶーっとむくれると、ジークハルトさんは、困った表情で、あたふたしていた。物凄い権力者なんだけど、相変わらず、娘には弱いらしい。その様子を見て、エリザベートさんは、くすくす笑っていた。本当に仲のいい家族だよね。
一度、ユメちゃんたちと別れると、私は、後輩を連れ、来賓の人たちのところを、順番に回って行く。私が挨拶すると、後ろの三人も、続けて挨拶をする。
クリスちゃんは、おどおどしながら、ちょこんと。セラちゃんは、ちょっと緊張しながら。ヴィオちゃんだけは、流暢に挨拶をしていた。流石は、ナギサちゃんの妹だけあって、正々堂々している。
それにしても、本当に、たくさんの人たちが来ていた。しかも、ニュースなどで見たことのある人たちも、結構いる。議員や行政府の高官、大企業の社長など。とんでもない、大物ぞろいだ。
本来なら、まるで接点もなく、話す機会がない人たちだけど。私が声を掛けると、皆、物凄く丁寧に対応してくれた。『天使の翼』の二つ名は、誰もが知っているようで、私に会えたことを、とても喜んでくれている。
話す内容は、シルフィード業界について。また、この町の政治や経済について。政財界に影響力のある人ばかりなので、難しい話が多い。ただ、ビジネスとしてだけではなく、皆、真剣に、この町の発展を考えているようだ。
一昔前なら、さっぱり、分からなかったと思うけど。上位階級になってからは、毎日、ニュースを見て勉強しているので、その手の話題にも、対応が可能だ。
私も、この町の政治経済に、少なからず、影響を与える側の人間になったので、真剣に考えなければならない。皆、様々な分野のエキスパートなので、話しをするのは、とても勉強になる。
一通り、あいさつを回り終えると、私たちは、ユメちゃんの場所に戻った。後輩の子たちは、緊張と人の多さのせいか、だいぶ疲れてるみたいだし。ちょっと、休憩したほうが、いいかもしれない。
「ユメちゃん、お待たせ。あいさつ回り、終わったよ」
「お帰り、風ちゃん。もー、超暇だったよー。遅ーい!」
ユメちゃんは、ブーッとふくれた顔をする。
「ゴメン、ゴメン。思ったよりも、人が多くて。それに、話している内に、楽しくなっちゃって」
最初は、私に難しい話が出来るかどうか、心配だったけど。政治や経済の話も、実際にやってみると、中々おもしろい。私も、この町が大好きだし。シルフィード業界はもちろん、この町を、もっと発展させたい気持ちは、強いので。
「相変わらずだよねー、風ちゃんの、コミュ力お化けは。何で、初対面のおじさんたちと、あんなに楽しそうに話せるの? 私には、絶対に無理だよー」
「流石は、風歌先輩です! あんなに凄い人たちと、全く物おじせずに、自然な感じで話せるなんて。滅茶苦茶、カッコよかったです。私では、初対面の偉い人たちとは、まともに話せないです」
ユメちゃんの言葉に反応して、セラちゃんが、目をキラキラさせながら語る。
一応、この二人には、コミュニケーション講義をやってるんだよね。二人とも、元々かなり人見知りな性格だ。でも、ここ最近、だいぶ自然に、人付き合いが、出来るようになってきていた。
「んー、特に深くは、考えてないんだけどねぇ。それに、みんな、凄くいい人たちだったから、話やすかったよ」
パッと見、怖そうだったり、気難しそうな感じの人でも。実際に話してみると、みんな、優しい人ばかりだった。
「それは、風ちゃんが、特別なの。これだから、コミュ力のある人は」
「その通りです。風歌先輩のコミュ力は、この町でも、トップレベルですから」
「たぶん、シルフィードの中で、一番だと思うよ」
「ですよねー。私もそう思います!」
ユメちゃんとセラちゃんは、私の話題で盛り上がる。
「まぁ、でも、実際に凄いですよ。人付き合いの上手さは、抜群だと、ナギサお姉様から、聴いていましたけど。これほどとは、思いませんでした。礼儀作法も、完璧にできていましたし」
「えっ、そう? ヴィオちゃんにそう言ってもらえると、嬉しいなぁ」
ヴィオちゃんは、ナギサちゃんの妹だけあって、礼儀作法や気品は、完璧だ。その彼女に、お墨付きをもらえるのは、純粋に嬉しい。
ただ一人、クリスちゃんだけは、モジモジとして、何もしゃべらない。先ほどから不安そうに、あちこちに、視線を泳がせている。
時折り、料理のほうに視線が向かっているので、きっと、お腹が空いているのだろう。でも、彼女の性格的に、知らない人がいる所に行くのが、怖いのだと思う。
「とりあえず、夕飯にしようか? みんなも、お腹空いたでしょ? まだ、夜も長いから、しっかり、腹ごしらえしておかないとね」
私が提案すると、クリちゃんの目が、キラキラと輝く。ここら辺は、フィニーちゃんと、そっくりだ。
「ねぇ、せっかくだから、私の部屋に行こうよ。まだ『送迎祭』の儀式まで、時間があるし。料理は、リチャードに、運んでもらうから」
「そうだね。ちょっと、休憩させてもらおうかな」
そんな訳で、私たち五人は、ぞろぞろと、ユメちゃんの部屋に向かうのだった……。
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時間は、深夜0時の少し前。私たちは、再び、大ホールに移動していた。つい先ほど『送迎祭』の、十二回目の鐘が鳴って、お祈りを終えたところだ。今年も、手作りの『幸運の玉』を用意し、しっかり、十二回、感謝とお祈りを行った。
チョコレートの甘さと共に、今年一年の、様々な記憶を思い出した。滅茶苦茶、忙しくて、駆け足の一年だったけど。特にトラブルもなく、本当に、よい一年だった。全ての月と、この町の全ての人たちに、感謝の気持ちで一杯だ。
今、ホールの中では、執事さんやメイドさんたちが、参加者に、グラスを配っている最中だった。私は、お酒が飲めないので、ノン・アルコールのシャンパン。飲み物を手にすると、皆、ぞろぞろと、テラスに向かっていった。
儀式中は、庭のイルミネーションやライトは、全て消えているので、真っ暗だ。でも、おかげで、星空がよく見える。静寂に包まれる中、皆、沈黙して、時を待つ。何だか、物凄くドキドキしてきた。
しばらくすると『ドーン!』と、派手な音と共に、夜空に、大きな花火が打ちあがる。その瞬間、庭の灯りが、一斉にともった。
と同時に、皆、一斉に声をあげる。
「大地の恵みに感謝を! 海の恵みに感謝を!
この町で過ごせたことの幸運に感謝を!
世界中の人々に、愛と平和と祝福を!」
「乾杯!!」
お祝いの言葉が終わると、グラスをかかげたあと、一気に飲み干した。
乾杯が終わると、再び、周囲がにぎやかになった。上流階級の人ばかりなので、ちょっと大人し目だけど。みんな素敵な笑顔で、新年を喜び合う。
続いて、みんなでハグをする。親しい人たちでハグをするのが、この町の新年のあいさつだ。
私は、ユメちゃんや、後輩たちを、ギュッと抱きしめる。セラちゃんと、ユメちゃんは、凄く喜んでたけど。ヴィオちゃんと、クリスちゃんは、滅茶苦茶、照れていた。やっぱ、後輩たちは、可愛いなぁー。
その後、私は、他の人たちの所に行き、手当たりしだいに、ハグして回った。でも、みんな『プリンセスとハグできるなんて、今年は最高の年になりそうだ』と、大喜びしてくれた。
一通り、ハグして回ると、再び、みんな所に戻って来て、声を掛ける。
「みんな、今年もよろしくね。あと、夢に向かって、お互いに頑張ろうね」
「うん。風ちゃんに、負けないように、頑張るよ!」
「私も、風歌先輩を目指して、頑張ります!」
ユメちゃんも、セラちゃんも、滅茶苦茶テンションが高く、早くもやる気満々だ。
「まぁ、私も、もちろん頑張りますよ。頂点、目指すんで」
ヴィオちゃんは、あくまでも、クールに。
「わ――私も、頑張ります……」
クリスちゃんは、相変わらず声は小さいけど、目に力が入っていた。
本当に、いい一年だった。でも、それは、私の周りに、素敵な人たちが、沢山いたからだ。優しくしてもらったことは、もちろん。必死に頑張る人を見て、私も頑張ろうって、強く思えたからだ。
今年もまた、最高の一年になるように。たくさんの人と仲良くなって、絆を大事にしよう。あと、たくさんの人の、役に立てるように頑張ろう。もう一つ、自分の地位に見合った人間になれるよう、さらに努力していこう。
私は、夜空にあがり続ける、美しい花火を見ながら、決意を新たにするのだった……。
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次回――
『私は仕事をしている時が一番幸せかも』
本当に愛する仕事を見つけたら、あなたはもう労働をすることはない
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『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
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酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
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酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
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都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
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おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
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パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
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独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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