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第06話 結婚
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それからしばらく経ち、私は部長と結婚した。
式にはお互いの両親、さらには部長兄、秀さんまで来てくれていた。
うちの両親は終始涙をこらえている様子だったが、部長の両親は最後まで無表情を貫いていた。
秀さんには「まさか佐倉さんと凉が結婚するなんてびっくりしたよ」と笑顔で言われてしまった。…私も同感です。
それにしても、初キスが部長になってしまうなんて思ってもみなかった…。まぁ、結婚式でしたキスが初だったなんて誰にも言わずに墓に持っていくけど
「はぁ…」
思わずため息をつくと、隣の運転席に座る人物が話しかけてきた。
「…結婚式を終えたばかりの花嫁のため息じゃないな」
「…当たり前です。…まさか初めてのキスがまさか結婚式になるなんて…あ」
今…口滑らせた?いや、気のせいよね。何も言ってない
「…ほぉ。あれが初めてのキスだったと」
…うわ、言っちゃってたー!
「あ…いや、あの…えっと、その冗談です」
「あーそうかそうか」
…絶対信じてないでしょ、その態度!
結婚式は終えたのだから部長の条件をのんで、これから二人で一緒の部屋に住むことになる。
「…部長こんないい部屋に住んでいたんですね」
案内されて入った部屋をみて驚いてしまった。
マンションの高いところなだけあって窓から見える景色は雄大だし、なんといっても部屋が広いのだ。しかも内装は白が基調となった美しいものだし置いてる家具もまたセンスがいい。
「別にここに元から住んでいたわけじゃない。お前と住むために新しく買ったんだ」
「え!そうだったんですか!…部長、このお家素敵です、気に入りました」
「…そうか」
あちらこちら見回ってはしゃいでる私を眺めて部長は少し微笑んだ。
「…リビングがあっちで、キッチンもあっちで…お風呂がここでトイレは向こうで…個室が三つあって…ん?」
「どうかしたか?」
「部長、個室が三つあるのに、ベッドが一部屋にしかないんですけど…」
「…は?夫婦は一つのベッドで一緒に寝るもんじゃないのか?」
「…へ?」
「あ?」
「いや…そうなんですけど、そういうことじゃなくてですね…」
「なんだ?このスペースあれば十分に二人は寝れるだろ。 なんかあるのか?」
「…えっーと」
…なんて説明したらいいの?
「…」
「部長、年頃の男女が一つ屋根の下、同じベッドで寝て…何か間違いが起きたらどうするんですか!」
「…夫婦なら別にいいだろ。…それ以前にお前相手じゃ間違いを起こす気になんてならねぇよ!」
「それはちょっとひどいです!」
「…あー、分かった。じゃあ、もう一つベッドを業者に頼めばいいんだな?」
「はい…」
「俺のお気に入りのとこ、オーダーしてから1ヶ月以上かからないと届かないからそれまでは我慢しろ」
「え!?1ヶ月?…他のところに頼むという選択肢は…」
「ない」
部長はそう言うとどこかに向かって歩いていった。
慌てて着いていくと、そこはリビングのソファーの前だった。
「…1ヶ月、俺はここで寝るお前はあっちを使え。それならいいだろ?」
「…いいわけないじゃないですか。私がこっちで寝ます」
「それは許さない。仮にもお前は女だし俺の部下だ。体調を崩されたら困る、後、女をこんなところに寝かせられるかよ」
「だったら私も同じです!上司をこんなところで寝かせるわけにはいきません!」
「…俺は慣れてるから別に大丈夫だ」
ソファー争奪戦はしばらく続いた
「もう、いいです。部長、同じベッドで寝ましょう。 お互い反対側ギリギリで寝れば平気でしょう」
「さっき嫌だと言っていただろ?」
「もう、いいんです。こんな下らないケンカ無意味ですし」
「…そうだな。まぁ、でも、お前が決めたんだ。後悔しても知らねぇぞ」
「後悔って…?」
とりあえずケンカは終結したが、気になる言葉が胸にささる。
「…よし、じゃあ夕飯つくるか」
「え?」
「材料は揃ってる。お前も手伝え」
部長はいきなり話を変え、キッチンに向かった。
「え?部長が夕飯?…部長、料理出来るんですか!?」
「当たり前だろ。ずっと一人暮らしだったんだから」
「へぇ…意外」
…部長、どんな風に料理作るんだろ?でも、男の一人暮らしなんてたかが知れているわよね。あまり期待しないでおこう。
そう思って手伝ったものの、出来上がった料理をみて唖然としてしまう。
「部長…料理、上手いんですね」
「…そうか?普通だろ。」
…これが普通だっていうなら、世の中の主婦が泣きますよ?
白いご飯はちょうどよく炊き終わっており、鮭は脂がちょうどよくのっていてとても美味しそうだ。出しから作ったお味噌汁もいい匂いをさせている。もちろん他の料理たちも最高に食欲をそそるものばかりだ。
「いただきます」
食べてみると、やはりとても美味だ。
「部長…最高です。ありがとうございます」
「いや、そこまでじゃないだろ。大げさすぎだ」
部長との夫婦二人きり最初の食事は一生思い出に残る最高のものとなった。
式にはお互いの両親、さらには部長兄、秀さんまで来てくれていた。
うちの両親は終始涙をこらえている様子だったが、部長の両親は最後まで無表情を貫いていた。
秀さんには「まさか佐倉さんと凉が結婚するなんてびっくりしたよ」と笑顔で言われてしまった。…私も同感です。
それにしても、初キスが部長になってしまうなんて思ってもみなかった…。まぁ、結婚式でしたキスが初だったなんて誰にも言わずに墓に持っていくけど
「はぁ…」
思わずため息をつくと、隣の運転席に座る人物が話しかけてきた。
「…結婚式を終えたばかりの花嫁のため息じゃないな」
「…当たり前です。…まさか初めてのキスがまさか結婚式になるなんて…あ」
今…口滑らせた?いや、気のせいよね。何も言ってない
「…ほぉ。あれが初めてのキスだったと」
…うわ、言っちゃってたー!
「あ…いや、あの…えっと、その冗談です」
「あーそうかそうか」
…絶対信じてないでしょ、その態度!
結婚式は終えたのだから部長の条件をのんで、これから二人で一緒の部屋に住むことになる。
「…部長こんないい部屋に住んでいたんですね」
案内されて入った部屋をみて驚いてしまった。
マンションの高いところなだけあって窓から見える景色は雄大だし、なんといっても部屋が広いのだ。しかも内装は白が基調となった美しいものだし置いてる家具もまたセンスがいい。
「別にここに元から住んでいたわけじゃない。お前と住むために新しく買ったんだ」
「え!そうだったんですか!…部長、このお家素敵です、気に入りました」
「…そうか」
あちらこちら見回ってはしゃいでる私を眺めて部長は少し微笑んだ。
「…リビングがあっちで、キッチンもあっちで…お風呂がここでトイレは向こうで…個室が三つあって…ん?」
「どうかしたか?」
「部長、個室が三つあるのに、ベッドが一部屋にしかないんですけど…」
「…は?夫婦は一つのベッドで一緒に寝るもんじゃないのか?」
「…へ?」
「あ?」
「いや…そうなんですけど、そういうことじゃなくてですね…」
「なんだ?このスペースあれば十分に二人は寝れるだろ。 なんかあるのか?」
「…えっーと」
…なんて説明したらいいの?
「…」
「部長、年頃の男女が一つ屋根の下、同じベッドで寝て…何か間違いが起きたらどうするんですか!」
「…夫婦なら別にいいだろ。…それ以前にお前相手じゃ間違いを起こす気になんてならねぇよ!」
「それはちょっとひどいです!」
「…あー、分かった。じゃあ、もう一つベッドを業者に頼めばいいんだな?」
「はい…」
「俺のお気に入りのとこ、オーダーしてから1ヶ月以上かからないと届かないからそれまでは我慢しろ」
「え!?1ヶ月?…他のところに頼むという選択肢は…」
「ない」
部長はそう言うとどこかに向かって歩いていった。
慌てて着いていくと、そこはリビングのソファーの前だった。
「…1ヶ月、俺はここで寝るお前はあっちを使え。それならいいだろ?」
「…いいわけないじゃないですか。私がこっちで寝ます」
「それは許さない。仮にもお前は女だし俺の部下だ。体調を崩されたら困る、後、女をこんなところに寝かせられるかよ」
「だったら私も同じです!上司をこんなところで寝かせるわけにはいきません!」
「…俺は慣れてるから別に大丈夫だ」
ソファー争奪戦はしばらく続いた
「もう、いいです。部長、同じベッドで寝ましょう。 お互い反対側ギリギリで寝れば平気でしょう」
「さっき嫌だと言っていただろ?」
「もう、いいんです。こんな下らないケンカ無意味ですし」
「…そうだな。まぁ、でも、お前が決めたんだ。後悔しても知らねぇぞ」
「後悔って…?」
とりあえずケンカは終結したが、気になる言葉が胸にささる。
「…よし、じゃあ夕飯つくるか」
「え?」
「材料は揃ってる。お前も手伝え」
部長はいきなり話を変え、キッチンに向かった。
「え?部長が夕飯?…部長、料理出来るんですか!?」
「当たり前だろ。ずっと一人暮らしだったんだから」
「へぇ…意外」
…部長、どんな風に料理作るんだろ?でも、男の一人暮らしなんてたかが知れているわよね。あまり期待しないでおこう。
そう思って手伝ったものの、出来上がった料理をみて唖然としてしまう。
「部長…料理、上手いんですね」
「…そうか?普通だろ。」
…これが普通だっていうなら、世の中の主婦が泣きますよ?
白いご飯はちょうどよく炊き終わっており、鮭は脂がちょうどよくのっていてとても美味しそうだ。出しから作ったお味噌汁もいい匂いをさせている。もちろん他の料理たちも最高に食欲をそそるものばかりだ。
「いただきます」
食べてみると、やはりとても美味だ。
「部長…最高です。ありがとうございます」
「いや、そこまでじゃないだろ。大げさすぎだ」
部長との夫婦二人きり最初の食事は一生思い出に残る最高のものとなった。
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